プロローグ
彼は、大野涼也。
容姿普通、勉強やスポーツが特別得意な訳でもない。基本的におとなしく、優しい性格の持ち主である。
そんな彼は今。
《異世界》で、英雄になろうとしていた──。
「なあなあ涼也!」
ドンッ、と、走りながらぶつかってきたのは、彼の同級生の、有岡慧だ。
「ちょっ、痛いなあ(笑)。どうしたの?」
「これ、見ろよ!」
彼が意気揚々と掲げたのは、異世界が舞台の、ハイファンタジー系ライトノベルだった。
「ん~? 本? それが何だっていうのさ」
「いやあ、これ、いっぺん読んでみ? 絶っっ対、ハマるから!!」
涼也は、彼の言葉を疑った。彼はいつも、こうして本やらアニメやらを勧めてくるから、またかとしか思えなくて、断る理由を考え始めた。
もう高校二年生にもなる彼が何で今更に、ファンタジーラノベなど読むのか不思議でならないが、その無邪気な目の輝きを無下に出来ずに困る。
──このときの彼等は、知らなかった。
本など読まずとも、そんな世界へと逝くことになるのを──。
ただの処女作です。
どうか暖かく見守ってくださると幸いです。
欲を言えば、評価やコメントをして頂けると…(・ω・`)