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チー鱈とクラッカーは人気商品になりました。

異世界産の馬事情は、全くわかりません。

でも、抜け毛でエネチャージしたお陰なのか、馬は私に対して友好的で、無問題で乗馬できました。

背は高いけど、背中は広いし安定感があり、クッション代わりに布みたいなのを敷いてくれたので、快適です。

小腹が空いたらチー鱈とクラッカー食べてます。

一緒に乗ってるエルマールさんにも、あげました。

ところで、甲冑団長は甲冑脱いで、横を歩いてます。甲冑は魔道具だそうで、軽いんですってよ!異世界すごい。


あれ中世の本物の鎧だったら30キログラム以上あるんだって。重いし嵩張るし、冬は寒いし、夏は暑いらしいと友達がウンチクを語ってくれてた。

映画とかで装着する人は大変だねー、自力で走れるのかなぁ、ああ、だから馬に乗ってんだな、歩けないもんね、そんな会話をした事を思い出す。


電気と魔法という、エネルギーの方向性が違うと他も色々変わるんだね。

質量保存の法則だっけ、そこんとこどうなの。脱いだ甲冑どこいった。そんな指関節一つ分の魔石に変化とかおかしいでしょ。

重量と空間を無視した非常識な拡張バッグがある時点で、理解することは諦めてたけどさ。


これは、こうゆうもの。

すごい機能の道具だと、使い方を覚えていくしかない。テレビとか携帯電話と同じよ。使い方を覚えていこう。携帯電話の根本的な仕組みとか大体の日本人は知らないものね。


団長は600超え(見た目年齢40歳)のナイスミドル。いい歳の取り方しましたね、という出来上がった大人の逞しさを持つ、傷ありながらも渋さ光る厳しい顔立ち。

眼光鋭いながら、千思万考、知性が隠れる瞳はピーコックグリーン。

鮮やかな深い緑の目と比べ、落ち着いたフォレストグリーンの髪色に、ミディアムヘアで毛先を軽く仕上げたヘアスタイル。手櫛で整えるのも楽ながら、スタイリング剤付けたらビシッと決められる長さもあるという。

うん、いい男です。


躯体が大きく、脚も多い馬(軍馬らしい)だけど、大人全員は当然乗れないので、順番に騎乗している。私は15分も歩けば遅れてしまい、ついていけなくなるので、基本乗ってます。馬の操縦が出来ない私の相方は交代で変わり休憩を兼ねるようだ。


乗りっぱなしで申し訳ございません。


今の同乗者はエルマールさん。

この人、結構、研究肌なのか、質問が多い!

服装から、肌の色、持ち物など、思いつくことを丁寧ながら、ズカズカ、ズケズケ?聞いてくる。


恋人とか、旦那はいなかったですよ?それが何か?


迷惑かけてないんだから、独身生活謳歌しててもいいじゃない。すみませんねー。ええ、ええ、ずっーと一人暮らしですが、それが?

一人暮らし長いと何か?

人生半分一人暮らしですけど、それがなんでしょうか。フーンだ。


流石に恋愛関係や私生活を根掘り葉掘り聞きはじめたら、機嫌が悪くなることを理解したのか、違う話題に転換してきました。


確かに、結婚に憧れを持った時もあったんだけど。でも結婚した友達が薄い笑顔しか浮かべなくなったのを見て、積極的に動こうと思えなくなった。そんなの結婚した人によるのは、わかってる。

でも、結婚届出してまで、自分に縛りつけたいと思うような人もいなかった。


ひまわりみたいな笑顔が大好きだった友達の結婚後の変わり様は衝撃的だった。

自分にいい人を選べる自信がなくて、一人でもなんとかできてしまう生活が案外楽しくて、このままでいいんじゃないかと、少し目をつぶって思考を閉ざす。


よくあることね?


どうせ、異世界転移したって、心配するのは親兄弟だけだし、それも1ケ月はいないことに気づかないだろう。私には父、母、弟、妹がいるけど、弟妹は結婚してすでに子供がいる。私だけが結婚歴なくて独り身だった。

ワラワラと寄り付く姪と甥っこはとてもかわいい。小遣いも弾んでしまうから、余計愛想がよくなったのか。会いたいな。


勤務先は流石に連絡してくるだろうけど。だてにお局さまに入りつつあるほど長いこと同じとこで働いてない。私しか知らないファイルと資料たくさんあるし。

混乱してるだろう、仕事が立て込みスケジュールがこなせなくなってるだろう。少しは私の有り難みを思い知れば良い。


友達は落し物をよくする私が、また携帯落としたか壊したか、そんな検討つけて、連絡とれないけど、電話してきたら聴いて笑ってやろうとか、その程度か?


1年程度なら間があいても大丈夫な気がしてきた。虚しい。


なんだか、自分の人間関係の希薄さ加減にクサクサしてきたんで、透明バッグに入れてたチー鱈とクラッカーを食べてます。

エルマールさんに貰った飾り気のない簡易なバッグに、透明バッグを入れた。

私流、バッグインバッグ。

透明バッグから出し入れしているようには見えないように工夫したのです。


だって、透明バッグに手を突っ込んでたら、腕半分なくなったように見えるよね?

不審なことこの上なくない?

普通びっくりするよ。


私が、おつまみを食べてたら、研究員っぽい副団長エルマールさんが私ももっと頂きたいですと食いついてきました。

さっきあげたけど、どうも足りないらしい。

確かに2本のチーズ鱈は少なかろう。

でも、渡すのはいいけど、お腹壊しても知りませんよ?なんせ異世界食べ物ですから、食あたりとかが心配。それに、取っても取っても現れる不思議食材で、私自身もよくわからない物だし。


わざわざ異世界の食べものですと説明するつもりもないけど。異世界のつまみですと言った後で何ですか、どうしてですかと聞かれても、私が分からない以上、答えられないし。


エルマールさんにチー鱈を試しにさらに2本渡してみたけど、食いつきがすごい。

そして、さっきから、両手出して待ってるんだけど、さっき渡したんだから手を引っ込めて下さい。目でもっとくれと語られても知りません。無一文な私にたからないでってば。

なるだけ気づいてない振りしてエルマールさんを放置してますが、断ってるのに、しつこいです。


食べてみてエルマールさんの身体の具合に問題なければ、明日はもう少しあげてもいいかなって思うけど、私は医療系のお仕事に携わってなかったんで、知識も経験もありません。お腹下しても自分で治癒して下さいとしつこくお願いしておきました。


視線に耐え切れず、今また根負けして1本追加しました。

決してケチだからじゃないからね?


「…やはり、これには」


あまり変わり映えしない森の景色を眺めてたら、追加でおつまみをもう貰えないと諦めたエルマールさんが声をだしました。


「ハイ?」


「すごいですよカリンさん!」


「さっきいただいた『おつまみ』のことですが食べた途端に…」


「はぁ、チー鱈を食べた途端に…」


「そうなんですよ、即時です、瞬時、すぐにです、食べた途端になんですよ」


40歳すぎてもまだ耳遠くなってませんから、聞こえてます。意味不明なのは、私の頭が残念だからじゃないはずだ。


「食べた途端何ですか?」


ひらめきました。


「 あっ………桶はココです」


ささっと目的のものを探します。


「巻き添えはいやなんで、正確に場所把握して吐いて下さいね」


慌て気味に深めの桶を引き寄せてエルマールさんの前にトンと置きました。

新聞紙とかあったら中に入れておくけど、代わりになりそうなものほかにあるかな。

食べ慣れてない異世界食だから、どこか無理があったんでしょうか。強請られても追加しなければよかった。いや、あれだけしつこかったから自業自得か。


「え、なんですかこれ。……いえ、違います!」


「そうですか、ハイハイそうですね。わかりましたから」


そっと目をそらしてあげた方がいいですか?

恥ずかしいですものね。


「違いますよ?吐き気や気持ち悪さはありませんから桶はいりません。私が言いたいのは別のことですよ。すごいんですよ、大変なことを見つけました」


だから、なんだよ!

桶いらないなら、突発的にエルマールさんに何かありましたか?

さっきから、すごいのはよくわかったから早く何か言ってくれませんか?

情報がなく、単語しか話してくれないのでやっぱり意味不明で、意思疎通が図れてません。


「これです、これこれ。このいただいた食べ物に魔力回復効果があるのです。最初少しだけ味見した時にはわかりませんでしたが、食べ進むにつれて、魔力回復効果の発露を実感したんです。追加でいただいた物で自分自身の回復量の確認もしました!」


魔力回復?

何でしょうか?

ほかのメンバーも興味深いようで、少し距離が縮まり耳を傾けてるようだ。


「……そうですか〜?…今まで特に感じませんでしたけど」


魔力とか感じなかったよ?

あくまでチー鱈です。お酒の友ってなだけで、他に副次効果は認められません。


とはいえ、ないはずなんだけど、異世界不思議効果なんでしょうか。

私にはその効果がちっとも発揮されてないんですけど、エルマールさんだけ不公平じゃないのか。


というか、本当かなぁ。

エルマールさんが、さっきから美味しいし、携帯できる形だしと大変な気に入り様で、絶賛してますが、テンション高くて思い違いしてませんか。ほらすごく美味しいもの食べたりしたら、仕事が捗る気がするじゃない?

私だけかな。


「カリンさん。わかってますか?」


正面から熱視線を受けましたがすぐ、お見受けする限り理解されてませんねと断言された。

そんなにわかりやすいのだろうか、私の顔。まぁ、確かに理解していません。


「魔力回復したって、どうしたら感知出来るんですか?」


ええっ、そこから?ってリアクションされました。


「多分、カリンさんから感じる魔力は、溢れこぼれた魔力を他人が感知していると思うのです。今のカリンさんは魔力が満たされてるので、これ以上入らない。お腹がいっぱいなのと同じで魔力が足りない空腹感がない。だから、魔力回復で身体が温まったり、気力が蘇る感覚もないから、その回復効果が理解できないのでは?」


「…………ハッ、そうですね。そうかもしれません、魔力って使ったことないですから。もし魔力っていうのがあっても、減ってないはずです」


「お腹すいてないのに常時おつまみ食べてたら、お腹が減ったことも、足りないと思うこともないですよね?」


「そうですね、ええ、わかったような気がしてきました。魔法使ったことがないから、魔力減ることないですもんね、魔力に対する欠乏感とかあるわけないですね。魔力回復した感がなくても仕方ないですね」


そうですね、なんとか理解できたように思います。

でも、魔力使うとしても、どうやって?

私が手から火出したり、エルマールさんがやってたみたいな呪文ぶつぶつして敵をサーチするようなことができる気がしません。


「カリンさんも、変わってますが、この嗜好品も今まで見たことがありません」


……この人ナチュラルに私を変わり者言いましたが。前、ディクルトさんとヨルンくんの二人のこともちょっとディスってたよね?

案外口悪いの?


「魔力の回復ですか?魔力は寝れば回復すると聞いた事があります(ライトノベルで)が、補充するためのお薬とかあるんでしょうか?」


基本的なことからコツコツと覚えていくしかない。知らないことばっかりです。


「こちらでは魔力回復する魔道具が2つほどありますね」


「やっぱりあるんですね(小説でもあったよ)」

「ですが、欠点があってそれぞれ問題があるんです」


「問題がある?」


「はい。まず使い捨ての消耗品に魔法薬があります。魔法薬は液体状のものなんですが、比較的安価で販売されております。

魔法師、魔法士ともに学園修了課程の必須課目に魔法薬、動力薬、ちなみに動力薬ですが、これは体力がなくなる際に使用するものです、の作製があるんです。仕事として魔法を扱う場合、修了課程後の修了試験に合格していることが必要なので魔法使いなら誰でも基本的な魔法薬、動力薬とも精製可能です。

ただし、作製者の力量で薬の評価は決まります。

そのため価格も商業ギルドなどで個々に効力を鑑定し、それぞれに価格がきめられ変わります。

ギルドで購入できる薬草を素材に精製出来るため、供給量と価格に問題はありません」


「はぁ、そうですか」


で、なにが問題?


「ただその薬ですが、液体であるため、持ち運ぶための筒あるいは容器が必要なんです」


「まぁ、普通は要りますよね」


「薬には使用期限があり、やはり精製後すぐが一番効果が認められ、時間経過とともに薬用効果が薄れてきてしまいます」


「確かにそうですよね、飲み薬みたいなものだから固形物より足も早そうです」


とれたて、出来たてがいいのは当然ですよ。


「そのため、時間停止可能な容器の開発や劣化防止の性能強化した添加剤なんかの開発に力を入れてはいるものの、思うようにはかどってないんですね、今のところ」


「そうなんですか…そこは仕方ないですね、これからも開発頑張ってください?」


としか言いようがない。


「開発費用が嵩み、時間経過につれ、次第に経費削減の声が出始めてしまいまして、方向転換や発想を変えたりもしたいのですが、可能性ある素材はほぼ検証済みで、これからも見込めそうにないのが現状でして…」


苦渋の顔です。


「はぁ、そのような事になってますか。気苦労するのは大変ですね?日々お疲れ様でございます」


ねぎらって、流しておきました。


「ええと、魔法薬は供給量に問題ないけど、劣化するし持ち運びが大変ということですね。じゃあ、ほかの、もう一つの魔道具っていうのはどうなんですか?」


日本のサラリーマンと同じような悲哀をエルマールさんに見ました。上からの無茶ぶり、下から突き上げ、中間管理職の哀愁ですね、今の話しの内容に関係ないですが。


「もう一つの魔道具の魔石にはそういう使用期限が基本的にないのです。石に込められた魔力はずっとそのまま石の中にあり、使わない限り効果が石に残っている事を認められております」


「そうなんでか」

私今持ってますよ、と隠しポケットから出してくれたのは黒い色の石でした。


「黒玉といいますが、200の記念として配られているものです。私は指輪にしています」


「へぇぇー、キラキラ綺麗です!」

200の記念って、成人式で市町村がくれる記念品みたいなものかな?指輪とか、なんだか豪華です。


「魔石はもともとは、小型魔獣が死亡した際に魔石化し地中に埋まったものを掘り出したものや魔獣を冒険者や猟師が殺して魔石を採取するなどでしか取れません。どちらも魔獣が関わっているものなんです。


偶然魔石を地中や山の壁面から発見しても、他の貴石のように、地層として存在する訳ではないため、量産できません。特に大きな魔力を内包できる程の大きさのある魔石や純度の高い魔石は、大型魔獣を狩ることが前提なんです。


大型魔獣はギルドの評価上でも高位の冒険者ではないと難しい場合が多く、必然的に高額になってしまいます。

魔石についても、擬似魔石や魔力定着法の解析などにも手をつけてますが、先が見えていないです…はぁぁぁ」


一気に話しされてしまい、ついていけてないかもしれない…。言葉はわかりますが、基礎がないので理解するのに時間かかってしまいます。


「ええと、えっと、うーん?魔石ですか?まだよくわかりません、ごめんなさい。

今まで魔獣に遭遇したことないので、想像しかできないですし、魔石も見てみましたが、キレイとしか感想は。

あ、大きな鳥は見ました。動物は全部魔石があるんでしょうか」


ラップに激突失神した鳥いましたね。大きかった。


「魔の森にいる獣は魔獣です。人が飼っている獣は愛玩動物でも食用でも、もとは魔獣ですが、長く魔の森を離れていたためなのか魔獣とは異なった成長を見せておりまして、屠殺しても魔石は出ません」


ふーん、じゃ、量産は無理そう。

魔の森にいて、魔力蓄える必要があるのかな。


「…ということで、カリンさんのこの、ちーずたらは軽量で、筒などの容器もいらないと良い点が多いのです。素晴らしい!!

製造方法はご存知ですか?失礼ながらカリンさん自身で作れたりしませんか?魔力ありそうな髪色ですものね。さっきから残量気にせずに食べてますよね。私に対価なく渡していただけるくらいですし。

そういう点を見る限り、貴重で手放せないという扱いをされてないですね、この『おつまみ』」


随分と革新的なものらしい、チー鱈。


「カリンさんが自分で作れるから残量が気にならないのか、カリンさんのいたところでは全く希少性のない扱いだったのか。

カリンさんの今後については十全に私たち、魔法騎士団が全力で応援致しますので、魔力回復薬の開発打開策の突破に協力いただけませんか?」


「早口です!ちょい、いえかなり唐突の勧誘に理解できないところが…?」


それに、迫力あって、怖いです。

美麗なお顔が近すぎて緊張します!


「そうですねぇ、カリンさんは女性ですので、最初は寮のようなところで過ごされたらどうでしょう?」


「聞いてない!!人の話聞いてない、この人!」


突然話しが切り替わったよ!

あれ、寮?みんなで共同住宅の寮ですか。無知な私でもなんとか暮らしていけそう…。

それはいいですね!

いや、違う。

なんか、魔石からイキナリ私の今後に突然変わった!


それからは怒涛の質問攻めでした。

なんで、ハイ?え?

チー鱈が何ですか?

製作方法ですか?

知りませんよ。

じゃあ、どうやったら作れるんですか?

いっぱいありそうでしたよね、明日も渡してくれるって言ってたましたし。どこに持ってるんですか?って。

いえ隠してません、ちょっと!勝手に私のマイバッグ漁ろうとしないでください。

入ってないでしょう?

は?増やし方ですか?私だって知りたいですよ。

なんか置いたら増えるんで。

え?

そうですね。私にしか出来ないんじゃないですか?

どうしてかなんて知りませんよ。鞄に入れたら増えるんで。

え?

鞄は私の命の次に大事なのにダメですダメです、あげません、貸しません。

第一、私以外触っても増えないはずですよ。

だから!勝手にマイバッグを漁ろうとしないで!バッグに秘密は多分ないです。

え?ああ、それならいいですよ。

チー鱈渡して研究なら存分にどうぞどうぞ。

どうしたら、こうとかわかるわけないでしょ?

お店で買えるんですよ。

原理とか、そんなん解るぐらい頭良かったら、ここで迷子になるなんてことあります?!

どこで買えるか言えるなら、私がここにいるわけないでしょ?!

以上のような、質問とか問答を繰り広げました。


なんだか、すごくうちとけたような気が致します。

気のせいかな。

研究員が必死なのはわかった、うん。


「盛り上がるのはいい事だが、ちずたらだったかちーずたーらだかのことは、今後要研究だ。

次はカリンが持ってるそっちの丸いのだが、今度は私が食そう」


そうこうしているうちに、団長が割り込んできました!


「団長!私も試したいです」


エルマール研究員はぶれません。異色の食べものでも果敢に挑戦できるんです。

綺麗な顔なのに…なんか、残念な…。


「お前は魔力補充効果の方を時間と量とで具体的に報告して欲しいんだ。こっちのも、変わり種なら、単体での効用と副作用なんかを考慮したいしな」


団長がなにかカッコいい。

指導者的な何かが感じられるよ。

流石年長者で団長です。


「…その通りですね」


ただ、エルマール研究員と団長が知らない内に勝手にイロイロ決めていきそう。

それ、私の持ちモノなんですけど。


「では、カリン。私にも、その小さいくらっかー?というものを食わせてくれ。

量だけならちーずたーら2本とくらっかー1枚が同等程度か?」


発音がまだ変ですけど。


「団長?クラッカー渡すのは良いですけど、私の意見も反映してくださいよ?所有権は私にあるんですよ?

忘れてるようですが、私の意思確認をしてくださいよ?」


「わかった。じゃ、渡しなさい、そのくらっかーとかいうのを」


流された!


「これ、食べてすぐにお腹痛くなったりしたら中止して下さいね?!

私のとこでは、普通の食べ物ですけど、こっちじゃ、わからないんですか…ら…だから!!

ゆっくり食べて欲しかったんですってば!

なんで言った端から、丸呑みするんですか!

職位が高いんだから、少しは警戒して当然でしょう?!え?なんですかその手は」


「同じ数量で数値化とかするから1枚でいいでしょ?ならなんで追加要求するんですか?

1枚単位でいくらの数値を測るんですよね、この場合。未知の食材でなんでそんなにチャレンジ精神発揮するかな?!」


「いや、念のため保存って言いますけど、保存するつもりないでしょう?さっき、おー美味いなこれ、もう少し貰っとこう、屋敷まで遠いしなって!聞こえたよ?小声だったけど、心の声が聞こえたから!」


「だから!動力薬の代わりになるな、これ、とか言われても、その薬見たことないし、飲んだことないしわかりません」


「え?作り方ですか?知ってる訳ないですよね?一般市民が魔法薬作れるんですか?

ダメですよねー、そうでしょうー?

同じことでしょうー?買って食べれても作り方知ってる人は少ないでしょ、そうですよ」


「だから、あげませんから!鞄はダメですからね!!見えないんでしょ?この鞄?本人登録した人しか使用でき……

あ、だめです。やめてください!!

破れたらどうしてくれるんですか?!私が直せる訳ないでしょ!多分繊細なんだから、気をつけてくださいって、言ってんのに、ひっぱらないでってば。ここにあるでしょ?」


「見えないのは仕方ないじゃないですか、登録してないんだから。なんで、登録したいって言われても、私の生命線なのにそんな簡単にできな……

あ、持ってかないでください、子供じゃないんですから、背が高いからって届かないとこでぶらぶらさせないで!!」


「何聞いてたんですか。もう、追加は1枚だけですからね?わかりました?」


「出しおしみですって?!何ですか失礼でしょうが!今食べたの返してください!!

本当に明日問題なければ、追加でお渡ししますから。ハイハイ、約束しましたよ。

結構な体力使う任務だからって、こんな得体の知れないものをアテにしたらダメですよ?!体力はよく寝て良く食べてが基本なんですから、はしょっちゃだめですからね!」


こんな感じですが、団長とも親しく?なれたかしら。

ダンディなのは風態だけでした。

こっちは騎士団漢組、ガンガンいくぜ!だった。


「カリン、オレくらっかーな」


「カリーン、僕はちーずたらでいいよ?」


それから、あなたたち。

誰があげるなんて言いました?

あんたらまで調子乗ってんじゃない!

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