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ファースト異世界人

「なんでポルンが浮いてんたんだよ!。ゼッテー見間違いだろ?」

でっかい厳つい兄ちゃんが、どこから出てきたんだよと大声あげつつ後方から突如やってきた。

なんか、遠くに見えんのは馬にしては脚多いのもいるよ?

騎乗してんのは……甲冑みたいなの着てるし、銀色の。

甲冑というか、フルプレートっていうのかなアレ。


ポルン?ってりんごか?

あのりんごがポルン?

というか、外国人風な人達が話す言葉が日本語だけど、それどういうことかな。

5不思議目?

そうなのか?

助かりますが、すごく助かるけど、この状況で私出てっていいのか。


常識を!

異世界常識とマナーと知識をください!!

切に希望します!!

チー鱈とクラッカーならできる限り融通致します。結構生産できそうだし。

誰か真面目にこのトンデモ展開について私に説明してくれないですか。


「いや、あれだけぽつんと浮かんでたんだ…。魔法か?」

マントの長いの羽織った兄ちゃん(ゴツくない)がりんごッぽい(ポルンっていうらしい)のを検分している。

「意味あるか?ポルンだぜ。

ポルン浮いたところで、なんになるんだよ」

2mほどの身長で胸板厚い最初に登場した金色短髪兄ちゃんは声高に文句言ってる。

彼は、私の心臓までポルンと同じく破裂させる程驚かせたポルンバラバラ事件の原因らしい短刀を回収して腰ベルトに装着。

短刀を定位置に戻して、そのまま辺りを警戒。

「ちっ。やっぱポルンかよ。…なんかの布石か?」


ラップカッパに身を包んでいて、たまたま座っていた(腰抜かしていた)私は透明人間化しているようで、皆さま私のことは総出で無視です。

「道中もおかしかったですし、至る所で結界らしき所がありましたね。」

深緑色した長いマントの黒髪サラサラ兄ちゃんは思慮深い顔をしかめてる。

金髪兄ちゃんより年上なのか、25歳ぐらい?

キレイな顔立ちしてますよね。

「いきなり弾かれて、前に進めねぇから、手探りであいてるとこまで、手でたどってと、いちいち調べることになったな。

当初の予定と狂ってきて、ほんとなんなんだよ。意味とかあんのか?」

わかんねーわと頭カキカキ、筋肉男子は言うてるけど。


結界ですと?

そんなのありましたか?

私の後ろから来たこの方達が通った道は私も通過してきたはず。

結界………見えない障害………弾かれた…



ワタクシですかね?

それ、やっぱり。

面倒だからって、切らずにそのまま木と木を跨いで巻きつけたからか。

それにしてもラップは獣から見えないだけじゃなくて人間にも見えないのか。

へえぇ。


まずくない?

意図してないのに、結界とか言われてるんだけど。

どこまで伸びるかな〜限界まで伸ばしてみようって実験しただけだし。

私が仕出かしたことがバレたら、全くない悪意を捏造されるかも?

いやいやいや、尋問とか、ひ弱い私には、絶対無理!


「どうでしたか?結界魔法に関係ありそうでしたかぁー」

さらに後ろから新しくだれか参加してきたよ。

「結界に規則性はなかったですね。

何かの戦術の下準備なのか、魔道士の魔力強化修練なのか、そうではなく他の理由があるのか。今のところ、その意味する事が見えません」

甲冑男を背に乗せた脚4本増加馬(おまけによく見ると折り畳んだ翼みたいなのが着いてるし)も近づいてきました。

私は見えてないよね?大丈夫よね?

内心かなり切迫詰まってます。


脚多め馬、その馬を引いた多分私より年下らしい軽め茶髪くん、ゆっくりこちらに近づいてきます。甲冑男も乗一緒です。

「結界と関連してそうですか〜?」

黒髪魔法使いにきいてる。

甲冑は動きません。乗ったまま。

フルプレート?アーマー?が重いのか?


「いや、ポルンしかないし、特に変わったこともない。小刀も回収したけど、ポルン自体は変わったものではないように見えるな。

小刀にも特に腐食とか変色はみられないし……よくわかんね」


「魔法陣の設置もありませんでしたが……。

先程から、人の気配を感じてるんです、というか、微弱ですが人の魔力…ですね」


「本当か!」


さっき片付けた小刀を、一瞬の間に手に握り直して、もう一度ゆっくりと首を巡らし、警戒態勢を取った。

魔法使いも、なんかブツブツ言ってるし。

何言ってんのか聞こえないけど、小声で何か呪文のようなの唱えながらコートの隠しポケットから、小さなもの握って細かく手を複雑に動かしだしたよ?!


その頃、アワアワしていた私は、自分史上最大で気配消して現場から離れる努力をしてました。

具体的には、身体がラップから出ないように、四つ足でソロソロ距離を取ってます!

明らかに銃刀法違反だよ?

甲冑男なんて、大剣持ってんよ?


ファースト異世界人は農民とか散歩中のおばさんとかが良かったよ!


「 今更、あれは結界じゃなくてラップです。やっかいなことして迷惑かけてごめなさい」

とか言えない……。

このまま、この離れた所で死んだ…いえ気絶した振りして、善良な外国人を演じて今を乗り越えるべきでは?

小市民な心が焦って、オタオタしています。


現地の人が捜索しているとこから少し距離を取れた40代名前を桂花梨(かつらかりん)

亀のごとき速度でも、やっと大木後ろに隠れられたんでホッとしてます。

ラップをコソコソ取ってひとまとめにし、身体が隠れるように作ったラップの塊を盾にしてます。

隠れられるように小さく丸まってみたよ。


透明ラップはマジックミラーみたいな効果があるらしく、こちらからは見えるけど、逆は見えない。

マジックミラーは鏡なので、映ったものがそのまま反射して見える。

だから、鏡の正面にあるものが、そのまま同じものがある。

けれど、このラップは世界の法則性を無視してます。

このラップは私の後ろの景色をそのまま写し取ってラップに反映しているようです。

つまり、私の後ろの景色がそのまま写っているのです。


つまり、ラップ正面に立つ人にとって、私がいない景色が見えているのです。

全方位ラップで包めば、透明人間ができるはず。

さっきから、全員に存在を無視されていれば、私にだって、ラップの特殊効果がわかります。

すご〜い6不思議〜。


もちろん、触ってみれば、ここに何かあるとかわかるだろう。私がラップ後ろに隠れている以上、本当は全てを模写しきれてないかもしれない。

勘が働く人には通じないかもしれない。


とりあえず、今は前だけね!

全方位カバーしたら、全く見つけてもらえず、このままでは、現地人との交流が図れないじゃない。

とにかく、無難に見つけてもらうために、徐々に気配を出していって、発見されなければ。

できれば、平民の人が良かったけど。

このまま、ここでさまよって、あげく、盗賊とかに遭遇したら目も当てられない。

今のところ、今まで人の気配がなかったので、ここで彼らを逃すのは大変なのでは?

怖いけど、とにかく前進あるのみです!


「大きな魔力量は感じられますが、攻撃してくるような陣や呪………は、感知できません。」

「こっちも殺気やら気功やらは肌では感じ取れねぇわ」

「どうしましょうかーエトムント様?」

「…とにかく、早めに戻らないといかんな。……変わったこともないし、怪しくともどうにもできないなら、もう良いだろう。

……行くぞ。」

エトムント様とは銀色甲冑ですが、声がこもってて、年齢は読めないね。

身分は高そうだ。

そうしてみんなで踵を返して戻るようなので、慌ててひきとめるべきか悩みに悩んでた。


「誰だ?! そこにいるのはっ!」

気付けば、短刀首に当てられたよ!


「……これはさっきから漂っていた魔力。

力の方向性がないようですね。危険なものは感じられません」


「なんで、こんなとこにいる?」


甲冑が両手まとめあげられ短刀当てられた私にボソボソ言うたよ?

痛いし、心臓ドキドキしてるし、金髪睨んでるし、半分泣いてるよ。

前がぼんやりしてるから、涙目で情け無い顔になってるよ。

私が。


「アー、あんまり害なさそうですねぇ、エトムントさま?」


「……そのようだ。……魔力も問題なさそうだということだし、少し手加減してやれ…」


そうなんです!

金髪野郎は、今度は無理やり私の両手を地面に押し付けてくるから強制土下座ですよ!!


半泣きだったのが、ウルウル

「ふぇぇ…」

泣いてしまいました。


オフィスレディには命の危険があるような事務所や営業先なんかないんだから!


「あーあ、泣いちゃった。僕、泣いてる女の子慰める技術とかないからね」


「うっせーなっ。知るかよ。んなとこで、コソコソしてるコイツが悪いんだろ?!ヨルンは黙っとけ」


「ヨルンは、今のうちにエトムント様に水とちょっとした腹に溜まるものを用意してもらえますか?私とディクルトはこの女の子に質問しておきますね」


「わかりましたー。珍しく、かなり濃い毛色ですし、変わったお召し物ですからねー。

よろしくお願いしますねー」


「私は用を足してくるか。早めに戻る。その間ディクルトとエルマールに少し任せる」

甲冑と軽め茶髪、エトムントとヨルンっていう人達が遠ざかった。


残された私どうなる?

どうすればいいの?

これから先が分からなくて

真っ青です。


誰か異世界常識とマナーと知識をください!





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