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第50話 パーティ(3)




「……え」


「お、戻ってきたか」


 クレアの手にはハウリングベアの討伐証明部位を入れているらしきカバンが。

 シャルもそちらに反応して顔を上げ、俺も座っていた切り株から腰を上げた。

 クレアたちが駆け寄ってくる。 

 シャルと離れて寂しかったのかルーシーも傍にやってきた。


「もしかしてもう終わらせたの?」


 シャルとルーシーの頭を撫でながらクレアに答える。


「たまたま群れに出くわしてな」


 探知に偶然引っかかった。

 それがなければおそらく勝敗に関しては危なかっただろう。


「正直ここまでハンデあるなら絶対勝てると思ってたわ……この森は私の方が詳しいのに」


 クレアの後ろのミアが凄く自慢気な顔をしていた。

 ご主人様は凄いとか思ってくれてるのだろうか?

 まあ、俺もミアにそう思ってほしくて頑張ったところはある。


「でも、群れって言うことは複数いたのよね? 大丈夫だったの?」


「そんな多くなかったから大丈夫だったぞ? シャルもいたしな」


 シャルを撫でると気持ち良さそうに喉を鳴らした。

 10匹はいたけど俺とシャルの相手ではなかった。

 不意をついたから楽だったし。

 それにクレアの言っていた通りシャルはかなり強かった。

 素早さでも力でもハウリングベアを圧倒していた。


「……シャルもいたからだろうけど、意外と強いのねベルって」


「ご主人様ですからね!」


 と、ミアが嬉しそうに答える。

 だけどクレアは少し悔しそう。


「負けた方が言うことを聞く、だっけ?」


 うぐっとクレアが呻いた。

 覚えていたようだ。

 さて、どんなことをさせようか。

 ひどいことはさせないけど、軽すぎても面白くない。

 俺が頭を悩ませているとクレアが言ってくる。


「くっ、いいわ! 負けたからには何でも言うこと聞くわよ! 何が良い? 今日一日私もご主人様って呼ぼうか?」


「なるほど、それも悪くない」


 冗談交じりにそう言うとクレアは「えっ」と、自分の発言を後悔していた。

 顔を引き攣らせているクレアを見て俺はあくどい笑みを浮かべた。

 それも面白そうだ。

 悪くないかもな……そう思っているとミアが慌てた様に言ってくる。


「ご、ご主人様!? いけません! そ、それはっ、それだけはいけません!」


「駄目なのか? 仲間が出来るぞ?」


「ご主人様の奴隷は私だけなんです! ご主人様に他の奴隷なんてできたら……わ、私は一体どうすれば!?」


 わなわなと震えながらミアがそんなことを言う。

 どうすればと言われても……どうもしなくてもいいのでは?


「って、随分集めたわね……多いんだけど」


「なんか高く売れる気がしてな」


「だからってこんなに持ってこなくてもよかったんじゃない? 重いだろうし。それだけ強いんだったらお金なんてすぐ集めれるでしょう?」


「お金に困ったことがないから言えるんだよ」


 呆れたように言うクレアについ不機嫌に返してしまう。

 やば、と思って口を閉じるが少し遅かった。

 クレアは少し驚いている。


「な、なによ? どうしたの?」


「あ……いや、悪い」


 咄嗟に謝ったが気分は晴れない。

 何でもないと誤魔化して俺は背を向けた。





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