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防犯なう(仮)  作者: 喜多谷真洋
2/6

どっちだよ!

「いやぁーなかなか起きていただけないのでどうしたものかと思ってました」

ドットの荒い顔文字が口をパクパクさせている。

「何だコレ」

とりあえず玄関の段差に座って玄関ドアをながめてみる。

よくみても、どうみても玄関ドアだった……。中央の液晶画面を除けば。

「うん。これは。琴枝(ことえ)さんだな」

喋る玄関を放置して、俺は唯一の身内に連絡するために自室に向かう。


ベッドの上に投げ出されていたスマホを手にとった。大して、というか一件しか登録されていないアドレス帳を開いて通話をタップした。

『はいよー』

コール音も短く、相手はすぐに電話に反応してくれた。

「あの玄関、琴枝さんがやったんですよね?」

挨拶抜きで単刀直入に聞いた。

『久しぶり、よく寝てたな。工事の音も気づいてなかっただろ? くくっ』

嬉しそうに相手が笑うのに心底嫌になる。

電話の相手は、唯一の身内、俺の母親だ。父親は数年前の事故で居なくなった。まあ、その辺はさらりと流しておこうか。

「琴枝さん。あの喋る玄関気持ち悪い、撤去を希望する!」

『却下却下。いつまでも親のすねかじりながら引きこもりさせるつもりはないんだよ。玄一郎の事は任せる。あれはまだ試作機だけど、壊したら私が会社クビにされるからな? いままで通り引きこもりたいなら。玄一郎とせいぜい仲良くしろ。じゃあな』

……言いたいことだけ言ってきりやがった!

「引きこもらせたいのか、引きこもらせたくないのかどっちだよ」

要するに、俺が爆睡してる間に玄関を取り替えられたって事か……。

つまらなさすぎたホラー映画をうらみたい。いや、怖かったけどさ。

ため息を吐きながらベッドにたおれこんだ。

眠い。

寝よう。現実逃避だ。

起きたら、玄関は元通り喋らない事を願いたい。

そして俺は目を閉じた。



「あのー、玄関のカギかけておきますか?」

突然聞こえた機械的な声に俺は飛び起きた。

愛用のパソコン画面にあのドットの荒い顔文字が口をパクパクさせていた。

「うわあぁぁぁぁ!」

驚いた、驚くだろ!


おかげで眠気はぶっ飛んだ。

不定期更新。


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