はじめまして
ピンポーン。
ピンポーンピンポーン。
ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポー
「っだあああぁぁぁ! こんな時間に誰だよ!」
ベッドから上体を起こし、俺、比々野幸二郎は叫んだ。枕元のスマホを確認すれば、既に正午も過ぎよく聞くカラスの曲がもうすぐ流れそうな時間だった。
ピンポーンピンポーン。
俺がスマホ片手に寝癖のひどい頭をガシガシとかいている間も玄関の呼び鈴はなり続けている。
俺の部屋は二階の一番奥で玄関から一番遠い。重い足取りで部屋を出て階段を降りていく。
「今日は何も頼んでないはずなんだけどなぁ」
引きこもり歴もそこそこ長く、殆どの生活用品は通販で何とかしている、が今日到着予定の荷物はない。それにこんなにしつこい訪問者は初めてだった。
階段を降りている間もなりやまない呼び鈴。
だんだん腹が立ってきた。歩く速度を早め、靴も履かずに外開きの玄関ドアを勢いよく開けた。
「どちらさまですかっ」
……。
「あ?」
開けたドアの向こうには、誰もいなかった。
なんだか寒気がしたのは昨夜寝落ちするまで見ていたホラー映画のせいだろうか。
我が家は裏通りに面した戸建て、両隣共に戸建てで住んでいるのはどちらも老夫婦で面識だけはある。向かいには古いアパート入居者は把握していない。
近所の悪ガキもこの辺りまで入ってくることはない。
「なんだったんだ」
……大きなもやもやを抱えながら、ドアを閉めようとした時だった。
「あ、あのー」
そんな声が聞こえてきた。女でも男でもない、例えるならあの某AIロボットのような機械的な声だった。
もう一度確認したが外には誰もいない。
「あー、いやいや外ではなくて」
「外じゃなかったらどこだよ!」
とツッコミをいれた時気づいた。
玄関が違うことに。
「いやー、お初にお目にかかります。私は玄一郎といいます。本日からこの家の玄関となりました、よろしくお願いしますー」
機械的な声は自己紹介をはじめた。
「玄関??」
玄関ドアの内側を確認すれば、そこには大きめのタブレットサイズの液晶画面にドットの顔文字がニコニコと笑っていた。
「はぁ!?」
我が家に謎の玄関が現れた日だった。
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