7 天才?
遅くなりました。今日から仕事が始まるので更新も頻繁にはいかないかもしれません......。
気長に待っていただけると幸いです!
とりあえずフェンリルが敵でないことを伝えなければ大変なことになりそうだ。
「おれがしょうかんしたんだよ。」
ここでドヤ顔。
「レオルス、こんな時に冗談はやめなさい。」
一言で否定された!悲しい。でもよく考えればこんな子供が召喚できるなんて誰も思わないよな。俺だって信じがたい。しかし、うーんどうしたものか。
......思いつかないので、フェンリル何とかしてよ!神種なんでしょ!とかいう無茶振りをしてみる。
(了解した。主よ。)
了解されちゃったよ。どうするつもりなんだろう。
「主の父母よ、我を疑うのであれば少しばかり力を見せるとしよう。」
フェンリルが言うなり俺の部屋が冷気で包まれた。みるみるうちに氷漬けになり、その様子を見ていた俺以外は皆呆気にとられポカーンとしている。いや、俺も十分驚いてるからね?というかちょっと、かなりやり過ぎたのでは?
「ふむ。今の我では1%の力しか出せぬようだ。主が成長すればもっと凄いものを見せてやれるのだが......。」
なるほど、召喚獣ってのは主人の力量に影響されるんだっけ。しかし1%でこれって本来の力どんだけ凄いんだよ。考えただけで恐ろしい。神種は伊達じゃないってことか......。
そろそろ父さん達こっち側に戻って来ないかなーと思っていると、父さんが一番に復活したらしい。さすが元Sランク冒険者!精神力も備わっているようだ。
「......色々言いたいことはあるが、この際目を瞑るとする。
その紋章を見る限り、フェンリルがレオルスと盟約を結んだというのは事実みたいだしな。レオルスに害が及ぶこは無いだろう。何より俺はまだ死にたくない。」
何だか物騒な単語が聞こえたが聞かなかったことにしておこう。俺にはまだ早い単語だ。
それより気になるのは紋章......って何だろう。
「そうね。私もテレンスに賛成よ。
レオルス、左手に紋章が浮かんだでしょう?
使役獣が初めて力を使った時に現れるのよ。つまりフェンリルは間違いなくレオルスの使役獣、という証明になるわ。」
母さんの言った通りだ。俺の左手の甲に氷華のような紋章が浮かび上がっていた。しかもこれフェンリルが力を使うと光るようだ。
「我は主と共に在る事に決めた。如何なる敵が来ようとも我が在る限り主には傷一つ付けられまい。」
頭を少し下げスリスリと俺に体を擦り付けてくるフェンリル。お、おうどうした。お前そんなキャラだったのか!?その仕草が可愛いく見えて耳のとこを撫でてやる。すると気持ちよさそうに目を細めた。
今俺の部屋では、巨大な狼が幼児に大人しく撫でられているという不思議な光景が繰り広げられている。しかし最高の毛並みだな。怖いくらいにサラサラとした手触りが癖になりそうだ。
フェンリルを撫でる俺の顔はだらしなく緩みきっていることだろう。自覚がある分相当なものだと思う。でも仕方ないだろう?だって気持ちいいんだもん。
「うちの子って何であんなに可愛いのかしら。」
「俺たちの子供だから当たり前だろう。しかしあれは可愛いどころじゃないな。色んな意味でやばいぞ。」
「天使ですわ。」
「同じ種族だとは思えません。」
「......コホン。」
皆コソコソ何話してるんだろう。俺だけ仲間外れは寂しいんだけど......。
すると母さんがハッとした顔になって
「それよりテレンス!レオルスは1歳なのに初級どころか上級魔法を使ったのよ!?天才ってレベルじゃないわ!今すぐ家庭教師を雇わないと!まずは文字の読み書きから歴史学でしょ......ああ、魔法の勉強からの方がいいのかしら。」
何やらすごく興奮している様子の母さん。いつものおっとりした感じを微塵も感じさせない雰囲気にちょっとビビる。
「おれ、もじならよめるよ?」
「ええ、そうね。って今何て言ったのかしら。」
「とうさんのほんでおぼえたんだ。まほうも、ほんでみたとおりにやったらできたよ。れきしも、すこしだけどおぼえた。」
またポカーンとしてる。どうしたんだ皆。
そりゃ最初は何も読めなかったよ?知識だってゼロだったし。だが俺は父さんの書斎にこもることである程度の知識を身につけたわけだ。どうだ凄いだろう!って当たり前のことだから威張れはしないのだが。
なので家庭教師をつけるならその辺は大丈夫だから、魔法の事とか魔法の事とか魔法の事とか.......魔法の事を是非とも習いたい。
あれ?母さん泣いてる。奥様...とか言ってテレサも涙ぐんでる。なぜだ。
「天才だわ!ねえテレンスうちの子天才よ。どうしましょう!」
「そうだな!早速優秀な家庭教師を探してくる。」
「ええ。私も知り合いに誰かいないか当たってみるわ。」
父さんは言うなり、物凄い勢いで準備を整え家を飛び出した。今から探しに行くの?そんなに急がなくてもいいんじゃないか。誰か止めろよ......。なぜだか他の皆もどこかやる気に溢れた目をしどこかへ行った。さすがにテレサ、リリア、アインスは家にいるけど。そんな張り切らなくても良くないですか。
部屋に残ったのはもふもふの毛並みを堪能する俺とだらんと気持ちよさそうにされるがままになっている伝説の魔獣には見えないフェンリルだった。さっきまでのオーラは全くない。そんなんでいいのか神種。因みに俺の部屋の氷は皆がコソコソ話してる時にフェンリルが解いた。
騒ぐだけ騒いで皆どっかいっちゃったし修行の続きでもするかな。なんだかんだ時間経ってるし魔力も回復したとこだろう。ついでに新しい魔法も試そうかな。
フェンリルを連れいつもの修行場所、庭の隅っこに来た。
(主よ。魔法を使うのであろう?我を召喚したのならば氷魔法も使えるはずだ。)
(マジ?)
マジで?俺、氷魔法使えちゃうの。これは早速使うべきだな。
えーと、確か初級氷属性魔法は......
”氷雨”!
念じると空中に無数の氷の粒が現れた。おお、本当に使えた!
水属性魔法も使えるし、いずれ混合魔法も試してみたい。まだ解明されてないし未知の魔法だから当分は無理だろうけど......。
なんだかこう毎日同じことの繰り返し、単純な作業というか......。やっぱ飽きるよなあ。でも戦闘するには早すぎるし(怖いの嫌だし)本も読み尽くしたし。父さんが早く家庭教師を見つけてきてくれるまで退屈しそうだ。
まあこの修行を乗り越えてこそ強くなれるし、将来的には冒険者になるつもりな訳だからやれるとこまでやるしかない。俺はまだまだスタートラインにすら立ってない魔導師なんだからな!努力を怠ればそのツケが回ってくるんだ。
この健康な肉体をくれた女神様に感謝して第二の人生を謳歌するんだ。父さんや母さんが誇れる立派な息子になって親孝行もしたい。そう考えるってことは俺は少しは前世への未練があるのかもしれないな。
俺はいつも通り魔力切れ寸前まで魔法を使いまくり、その頃には日も落ち始めた。