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氷天の魔導師  作者: 蓮
1章 幼少期
3/15

1 転生したらしい

さていよいよ異世界です。

そして冒頭に戻る訳だが。


 なぜか呼吸がしにくくかなり苦しい。俺は転生したはずだ。つまり前世の発作とはおさらばだし健康体を手に入れたはず。呼吸が苦しいなどあるはずないなのに。

 もしかしてまた難病患ってて呼吸がしにくいとか?流石にないよな...?そうだとすればシャレにならないぞ女神よ。

 あとさっきから感じる、とても心地良く柔らかな何かに包まれている気がするものは何なのだろう。そして視界が真っ暗である。てかそろそろ窒息しそうなんですが誰か助けれくれませんか。


 と俺が若干命の危険を察していると


 「◎△$♪×¥●&%#!?」

 「$×◯!」

 「△!◉#△!」


 目の前の人?達が何やら言い合っている。同時に呼吸が楽になり視界が明るくなった。

 た、助かった...。転生後早速死ぬとか悲しすぎるもんな。しかし今の俺は視界にモヤがかかっており、かろうじて見える物のシルエットが分かるくらいだ。多分生まれたてだからだろう。つまり何が起きているのかさっぱり分からん。

 俺の目の前には人らしきシルエットが3つある。恐らく両親と産婆といったところだろうか。


 苦しくない呼吸は久しぶりだ、というか初めてかもしれない。呼吸だけでこんなにも感動するなんて思わなかった。女神様様だな。

 安心した俺はどっと疲れが押し寄せてきたのか、強い睡魔に襲われそのまま眠りについた。






ーーーーーーーーーー


 第二の人生へ転生してから1週間経った。


 その間に得られた情報は、俺の名前がレオルスという事だけ。皆んなが俺に向かって連呼するので多分合っているはずだ。

 しかしそれ以外はさっぱりだった。この世界について知ろうにも、まず言葉が分からないのだ。


 と言うわけで、やっと目もバッチリ見えるようになったので今日から勉強を始めようと思う。前世での唯一の得意分野だったのでやる気満々だ。いや、それ以外できる事がなかっただけだけど......。


 しかしどうやって勉強しようか。言葉も文字も分からないので困る。そもそもこの世界の文字はどんな物なのかまだ見た事がない。書斎とかないのかなー。

 とりあえず当分の間、移動手段はハイハイだな。やってみるか。


 ......。


 できない!よく考えたら生後1週間でハイハイなんて出来るわけないよな...。

 少しの間なんとかして身体を動かそうと試みるが、やはり手足をバタつかせるだけで終わった。仕方ない。まずは自由に身体を動かす練習からだな...。


 今後の目標を立てていると部屋に誰か入ってきた。


 「$♪×¥●&、レオルス。」


 母さんだ。相変わらず何を言っているか分からないが、俺の名前だけは聞き取れた。

 母さんは俺を抱き上げると、とても綺麗な笑顔を向けた。眩しい...。

 俺の母さんはそりゃもうもの凄い美人だ。栗色のウェーブのかかった長い髪に紫色の瞳、まるで聖女のようだ、見た事ないけど。名前はフィルと言うらしい。


 と、いつの間にか来ていたこれまた恐ろしい程のイケメンが母さんと俺を笑顔で見つめている。

 察してるとは思うがこの超絶イケメンが俺の父さんだ。名前はテレンス。青みがかった銀髪に鋭い金色の瞳。もう二人並ぶと一枚の絵のようだ。眩しすぎるわっ!

 この世界の顔面偏差値はかなり高いのか?それともこの二人が規格外なのか。どっちにしろリア充爆発しろ。


 母さんが抱っこしてくれたお陰で窓の外が見える。豊かな緑がたくさんあり、畑とかもある。多分小さな村とかなんだろう。

 早く、外に出てみたい。

 そんな思いが俺の胸に込み上げる。




 あれから更に3週間経った。


 俺はようやくハイハイが出来るようになり、俺の世話係っぽい乳母の目を盗んでは屋敷のあちこちを動き回るようになった。俺がいなくなると乳母は必死に探し出し、俺を見つけると呆れたようなそれでいて優しげな目を向けるのだ。うん、この人はいい人だな。


 あちこち行くうちにこの家の広さが大体分かった。

 まず俺がいつもいる子供部屋だろう部屋は二階にある。二階には他に3つ部屋があった。一階には広いリビングがあり、他に2部屋あった。見た感じ、十分裕福なんじゃないだろうか。貧乏ではなさそうでホッとした。餓死とか嫌だもんな。


 そして今日俺は父さんの書斎であろう部屋を見つけた。

 子供部屋と廊下を挟んで右側にある部屋だ。すっかり慣れたハイハイでこっそり中に入ると、そこには大量の本が所狭しに並んでいた。

 こ、これだ!俺が探し求めていた知識の源、本!


 俺は興奮気味に近くにあった本棚に近寄り、目に付いた一冊を手に取ってみた。

 くすんだ青い背表紙のその本には”一から始める言葉と文字”と書かれていた。


 そう書かれて...、ん?何で読めるんだ。もしかして天才なのか?

 動揺しつつもう一度本の表紙を見る。

 やはり”一から始める言葉と文字”と読める。前世で言う平仮名や漢字といったものは一切ない。しかし読めるのだ。何故だ...。もしかしたらこれが女神様からのご褒美なのかもしれない。ありがとう女神様!

 まあ読めるに越した事はないし、何たって知識を得るにはどの世界でも本が一番だろう。俺は手に持っていた本を仕舞い、近くにあった”創造主の世界ハイランド”を手に取った。


 本によると、この世界はハイルランドという名らしい。そこには人族が住むダミア大陸、獣族が住むハンプトン大陸、魔族が住むカストル大陸がある。人族と魔族は1000年の間争いを続けており、今尚も続いている。獣族は我関せずといった感じらしい。

 また他にもエルフの住む地や伝説とされる竜の存在など何ともワクワクする内容がてんこ盛りだった。当然魔物も存在しそれらを倒す冒険者もいるらしい。まさにファンタジーだ。


 そんな感じで本に夢中になっているとドアが開く音がし乳母がすごい形相で俺に近寄ってきた。

 やべえ、怒られる。俺は反射的に体を硬くした。


 「レオルス様!ああもうこんな所に居らっしゃるとは。心配しましたよ。本をお読みになられて居たのですか?

 そのお歳で本に興味を持たれるなんて、やはり偉大なるご両親の血を受け継いでおられますね。将来が楽しみですわ!」


 文字が読めたと思ったら今度は言葉まで分かるようになってしまった。まじかよ...。チートすぎるぞ。何はともあれ勉強する手間が省けてラッキーだ!

 てか今偉大なるご両親って言ったよな?父さんと母さんって凄い人なのか。やっぱり剣士と魔導師とかなのかな。テンプレで行くと俺に稽古とかしてくれるんだよな。そうに違いない。ああ今から楽しみだ。


 その後乳母に子供部屋までつれられ、お昼寝の時間ですよと寝かしつけられた。やはり幼児の身体なのでお昼寝は必要みたいだ。横にされるなり眠気が襲ってきた。続きは起きたらだな。

 他にも気になる本は山ほどあったし、ああ、早く続きが読みたいな。

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