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氷天の魔導師  作者: 蓮
1章 幼少期
2/15

0 死んだらしい

初めまして。この度は”氷天の魔導師”に興味を持っていただきありがとうございます。拙い文ではありますが、余った時間の暇つぶし程度に読んで頂けたらと思います。

 苦しい、苦しい。呼吸ができない。酸素を求めて必死に口を動かし両手を伸ばす。

 嫌だ、嫌だ。俺は、俺はまだ死にたくない...!


 まだ、生きたいんだ。








 目を開くと真っ白な何もない空間にいた。

 確か病院のベッドでいつもの発作が起きて...何とかナースコールを押したところまでは覚えてる。けどその後どうなったんだ?あんだけ苦しかった呼吸も今は何ともない。てかここは何処なんだ?さっぱりわからん。一体何が起こってるんだ...。


 俺が困惑していると突然目の前が白い光に包まれた。何だこれ。めっちゃ眩しい!

 しばらくして反射で瞑った目を恐る恐る開くと

 「こんにちは。結城礼央さん。」

 美女がいた。


 「あの?」

 目の間には金髪金瞳の真っ白な服を身にまとった美女がいる。しかも背中には真っ白な翼が。これなんてファンタジー?夢なのか?それとも天からのお迎え?俺には十分あり得るなハハハ。いや笑えねえよ。


 「こら!人が話しかけてるのに無視することないでしょう?」

 俺が唖然としてると美女が怒鳴った。あまりにも驚きすぎて少々トリップしていたらしい。


 「あ、えっとすみません。ここは何処なんです?」

 とりあえず謝って今の状況説明を請う。


 「ふん。まあいいわ。結論から言うと貴方は死んだのよ。私こと、この女神様が貴方の魂を呼び出してこうやって会話をしている訳。ここまでオーケー?」

 め、女神!?それにちょっと待て。今サラッと死んだとか言ったよな?まあ余命を3年も伸ばしたんだ。長生きしたもんだよ。孤独にも頑張ったよ俺...。


 「聞いてるの?もういいわ続きを話すわよ。私だって暇じゃないんだから。

 呼び出した理由は一つよ。若くして死んでしまった貴方を可哀想に思ったこの女神様が、もう一度人生をやり直す機会を与えてあげるようと思ってここに呼んだ訳なの。別に世界を救えとかじゃないわ。単に前世の記憶はそのままに転生させてあげるってだけよ。感謝しなさい。」


 転生だと...。なんて、なんて最高なんだ!そう、俺はまさに今異世界転生ものの小説にどハマりしていたのだ。

 小さい頃から病院のベッドから動くこともままならなかった為、ありとあらゆる本を読んでいたのだ。勉強も嫌いじゃなかったのでやれるだけやった。しかしそれだけでは暇を潰せず金だけは持っていた名ばかりの両親に様々な本を買ってもらった。その中にあったのが異世界転生小説だったのだ。それはもう来る日も来る日も俺の脳内はファンタジーで埋め尽くされていた。その憧れとも言える異世界転生がまさか自分に起こるなんて。思いもよらない幸運に俺は踊りだしたい気分をなんとか抑え女神に向き合う。


 「女神様!感謝します!」

 泣きながら言った俺に少し引き気味の女神。そりゃ死んだっていうのに涙流して喜んでる変な奴と思われても仕方ないだろう。前世に未練なんかないし、夢の異世界転生ができると知ればそりゃ感謝もするさ。


 「なんだか分からないけど喜んでもらえてよかったのかしら...?

  まあ聞き分けのいい子は好きよ。ご褒美に貴方には特別なプレゼントをあげるわ。」


 なんかさっきからこの女神の話し方が女王様にしか聞こえないんだが。女神ってもっと優しくて包容力とかあるんじゃないの?見た目は完璧だけど中身がコレジャナイ感すごい。本当に女神なのかよ...?


 「あら、失礼ね。これでも女神ですけど?」

 眉をピクピクさせながら怒りの篭った声で女神が言う。

 なんで俺の思ってること分かるんだ!?こええ。


 と、俺が畏怖の目を向けると女神はとんでもないことを言った。

 「人間如きの思考なんて丸見えよ。なんたって女神様ですから。それ以上私を侮辱する様ならせっかくのご褒美もなしかしらね...。せっかくとっておきを上げようと思ったのに残念だわ。」


 「待ってください!すみませんでした女神様!ご褒美くださいいいいい!」

 ご褒美なしと聞いて黙ってはいられない俺は即座に謝った。そりゃもう全力で。だってチートとまでは行かずとも貰えるもんはもらっとかなきゃな。俺の第二の人生がかかっているんだから。


 「ふん。分かればいいのよ。いい?面倒な説明はしないわよ。

 今から貴方が転生する世界は剣と魔法の世界ハイランド。そこで精一杯生きる事ね。」

 なんとかご褒美なしは回避できたようだ。あぶねえ。脅された気もするが考えないでおこう。怖いし。




 「せいぜい好きなように生きる事ね、少年。」

 女神が微笑みながら両手を広げる。瞬間俺は白い眩い光に包まれ意識が途切れるのを感じた。

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