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氷天の魔導師  作者: 蓮
1章 幼少期
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9 友だち

すみません。かなり久しぶりの更新となってしまいました......。そしていつの間にか、たくさんのブックマークもありがとうございます!!週1くらいの更新頻度を目標に頑張ります!

 なんだかんだと時が過ぎるのは早く5歳になった。え?色々飛ばしすぎだって?そりゃまあ何もなかったわけじゃないけどそれはまた別の機会に、ね?

 なんたってご都合主義だから仕方ないよね!


 使える魔法は水・氷の2属性がそれぞれ上級、こっそり火属性も使えるようになった。なんでも神級魔法からは消費する魔力も桁違いになり、リスクが高く危険なので成人するまでは使ってはいけないと法律で決まっているんだそうだ。

 勿論そんなこと知らない俺は前に一回やろうとしてレイラにこっぴどく「死ぬ気ですか!」って怒られた。めちゃくちゃ怖くてチビりそうでした。お陰でレイラといい母さんといい女性は怒らせたら恐ろしいという教訓を得た。


 今日は授業が休みなので俺は村の外にある森に来ている。実は家から出たのはこれが初めてだったりする。引きこもりじゃなくて危ないからダメだって口煩く言われてたからだからな!

 外に出ることはもちろん内緒だ。バレたら怒られるっていうか大惨事になりそうだけど......。けどほら子供って好奇心旺盛な生き物だろ?今の俺は子供なんだし本能には抗えないんだよ。


 それにこの森は対して強い魔物とかがいるわけでもなく、出てもせいぜいスライムだから大丈夫だろう。決して自分の力を過信しているわけじゃないぞ?むしろどのくらい通用するのか試したくてずっとうずうずしてたんだ。とうとう我慢できなくなった俺は欲望に負けてこうしてこっそりと森に来たわけだが......。


 「なんか前に家から見た時より妖しい雰囲気が漂っているような......。うーん、遠くから見てたからそう感じたのかな?」

 

 不気味な感じだ。森だからこんなもんなのかな。ちょっと怖いしあまり奥には行かないで散策してみるとするか。ついでにフェンリルにも出てきてもらおう。一人じゃ心細いし。

 フェンリルはやっぱり異空間に戻るのは嫌らしく家の中だけなら常に召喚してる状態だ。最初は恐れ多いと距離を置いていた皆も今じゃ可愛っている。ペットみたいだぞ、いいのかそれで。仮にも神級魔獣なのに。


 まあ今日は外に出るから一旦戻ってもらってたけどね。村の人に見られると大騒ぎになるから気をつけろって注意されたし。

 しっかし大きくなったなあ。初めて会った頃は体長1mくらいだったのに今じゃ3mくらいになってる。しかしフェンリルによるとまだまだ成長するらしい。なんでも俺の成長と比例するとかなんとか言ってたっけ。


 (ふう、やはりあそこは窮屈だ。......なんだこの嫌な気配は。)


 出てくるなり険しい顔つきのフェンリル。どうしたんだろう。この森の空気が悪いとか?俺もはっきりとは分からないけど多少は感じたし、神級魔獣であるフェンリルも俺以上に何かを感じたのかもしれない。


 (やっぱこの森なんだか不気味だ。そう思わない?)


 (ああ。邪悪な気配がプンプンする。恐らくだが魔物がいる。それも中級といったところか......。主、気をつけよ。)


 マジで!?ここってスライムくらいの弱い魔物しか出ないんじゃなかったの!?聞いてないぞ!どうしよう俺まだ死にたくないよ。


 (主よ、そう慌てるな。あのような雑魚共、我と主がいれば一瞬で倒せる。)


 (ほ、ほんと?俺死なない?)


 (有り得んな。)


 (よかったあ......。)


 フェンリルが居てくれてよかった。俺一人じゃパニックになって不意を突かれてあっけなく死ぬなんてことになっていたかもだし。そんな死に方冗談じゃないよ。

 でもなんで中級の魔物がいきなり現れたんだろうか。

 その時


 「きゃー!こっちこないで!!」

 

 「フェンリル、いくぞ!」


 考えながら進んでいると悲鳴が聞こえた。俺はほぼ無意識に悲鳴が聞こえた方へと走り出していた。

 思ったよりも近くだったようでその原因はすぐに見つかった。


 複数の魔物が小さな少女に襲いかかろうとしているところだったのだ。大勢で女の子一人を襲うなんて、クズだな。俺は怒りが湧いてくるのを感じた。母さんの「女の子を守ってこそ、強い男なのよ」という教えの通り俺はあの子を魔物たちから救わなければ。


 どうせ魔物を戦うために森に来たんだ。丁度いい機会じゃないか。

 敵はゴブリンが3匹。ファンタジー系の物語によく出てくるように、緑色の肌をしており腰に布を巻いている。手には恐らく木製であろう棍棒のようなものが握られている。全身汚れておりかなり酷い容姿だ......。


 丁度いいし、火属性の魔法を打ち込んでみるか。

 俺は声に出さず念じた。


 ”火球ファイアボール”!

 俺の放ったおよそ10の火球ファイアボールはもの凄いスピードでゴブリン目掛けて飛んで行った。ただの火球ファイアボールじゃないぞ?大きさは普通だが威力は強めにした。ゴブリンの強さがどれくらいか分からないので油断は禁物だ。


 「「「グガアアアアアアアア!!!」」」


 火球が直撃したゴブリンが悲鳴をあげる。よし、ちゃんと効いてるみたいだな。

 しばらくのたうち回ったゴブリンはあっけなく光の粒子になって消えた。一撃で倒せたことは予想外だった。案外弱かったのかな?何はともあれ結果オーライだ。


 「君、大丈夫?」

 

 俺はペタンと地面に座り込み唖然としている少女に近づき声をかけた。

 ふと少女が顔を上げると

 

 「え、あ、あの私......。た、助けてくれて、ありがとう!」


 相当怖かったのだろう目尻には涙がたまっている。安堵したのかこわばっていた表情も和らいだように見えた。


 しかし、そんなことよりも......。

 なにこの子!めちゃくちゃ可愛いんだけど!美少女!女神!天使!どの言葉を取っても表現しきれない。こんな完璧な人間が存在するのか!?どうしよう言葉が出てこない。こんな可愛い子が俺に天使のような笑顔を向けてお礼を言ってくれてるのに。からだが固まって言う事を聞いてくれない。どうやらあまりの衝撃に硬直してしまったようだ。情けないぞレオルス......。


 「あの......」


 ハッ!いけない。そろそろ復活しなければ。


 「ごめん。怖かったよね。怪我とかしてない?」


 そう言って手を差し出す。多分さっきので腰が抜けたんだろう。

 女の子は俺の差し出した手を握って立ち上がる。


 「ううん本当にありがとう。もうダメかと思ったわ。」

 「そっか、よかった。えーっと......」

 「クラリッサよ。あなたは?」


 クラリッサ。名前まで可愛いなオイ!


 「俺はレオルス。」


 改めて見ると本当に可愛い。金髪というより白に近い白金髪が丁寧に編み込まれており控えめだが花の形をした綺麗な髪かざりが付いている。空色ガラスのようにキラキラと光る大きな瞳、その周りを縁取る髪と同じ白金の長い睫毛。透き通るような白い肌に桃色の頬。そして長く尖った耳......ん?尖った耳?

 俺が耳を見ていることに気づいたのだろう。


 「そう、見ての通りエルフ族なの。」


 クラリッサは自分の耳を指差し言った。まじか。エルフって本当にいるんだな。


 「俺、エルフ族に初めて会ったよ。どうしてクラリッサはこの森に?もしかしてこの辺に住んでるの?」

 「違うの。ちょっと抜け出してきただけなのよ。でも帰り道が分からなくなっちゃって......。そしたらゴブリンと遭遇しちゃったの。レオルスが来てくれなかったら死んでたかもしないわ。」


 しゅん、と効果音がつきそうにクラリッサはうつむき言った。うん可愛い。


 「そっか。怖かったね。助けられて良かったよ。俺はあっちの方にある村に住んでるんだ。」


 加護欲をそそる姿に思わず頭を撫でていた。あれ、クラリッサの顔が赤いぞ。熱でもあるのか?大丈夫かな......。


 「そ、それより!レオルスってすごい魔法を使えるのね!」

 「大したことないよ。さっきのも初級魔法だしね。」

 「十分よ!私なんかまだ魔法を使えないもの......。あっ!」


 再びしゅんっとしたクラリッサ。うん文句なしに可愛い。あれ俺さっきから可愛いしか言ってない?でも本当に可愛いんだからしょうがないよな。


 「ねえ、レオルスがよかったらたまに私に魔法を教えてくれない?」

 「俺が?いいけど、どこでやるの?」


 「この森よ!」


 この森って......さっき魔物に襲われた場所だよ?もしまた出たら危ないんじゃないか。


 (それは大丈夫だろう。さっきまでの嫌な気配は消えたようだからな。)


 フェンリルのことすっかり忘れてた。確かに言われてみれば不気味な感じはすっかり消えてる。あのゴブリン達を倒したからだろうか。

 まあ楽しそうだし、何よりクラリッサと会える。友達ゲットだぜ!


 「わかったいいよ。改めてよろしくクラリッサ。」

 「へへ。嬉しいな。よろしくねレオルス。」


 こうして俺は人生で初めての友達をゲットした。

 その後は早速魔法の練習をした。魔法が使えないって言ってたけど少し教えたらコツをつかんだのか初級魔法使えてたし、才能あるんじゃないか?

 日が傾いてきたので俺たちは次会う日を決め別れた。

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