プロローグ
時は21xx年。
地球は滅亡し、僕等は宇宙に新たな居場所の創設と移住を決定した。
その後は、言語ごとに違うコロニーに別れて、僕等は住むことになった。
そして、ある日、奇妙な殺人事件が発生。そしてそれ以降、慌ただしく同じような事件が発生した。その発生件数は日本語圏コロニーが把握しているだけでも実に約20件。しかし他言語圏コロニーも含めて言うと約100件以上とも言われている。そして、件数以外で何が奇妙なのか、それは、人間の心臓部分だけがぽっかりと円の形状で穴が空いているーーということだ。
そして、何件目だったのか、死体の隣にある血文字が書かれていた。
「We declare that we retaliate for the human(私たちは人類に復讐する事を宣言する)」
ーーー
世界政府はテロ行為と断定。しかし、不特定多数の人物が殺害されてしまっていて、目撃情報も一切無いため、人物の特定もできないほど、国際警察の捜査は行き詰まっていた。
ーーー
『へへ、ここまでやるとはさっすが怒黒!』
全体的に緑色の身体をした男は怒黒と呼ばれたその赤い身体の男の背中を強く叩いた。
『当然だ……と言ってもまだ200年分の収集がつかない。もう1回コロニーへ行くか』
『えー、ずるい! あたしもコロニーに連れてってよー!!!』
黄色い身体をした少女は腕を組んでいた怒黒に飛びつき、強く抱きついた。
『ダメよ、生楽。今回コイツは殺り過ぎて、しかもあんな宣戦布告までして……だから、あの方の怒りに触れるところだったのよ』
青い身体の女は生楽のオレンジ色のツインテールで縛ってある髪を引っ張っている。
『……そう言いなさんなよ、哀耶。ほら、生楽が痛がってるだろ?』
哀耶は生楽の髪を離す。
『そういうあなたは無関心過ぎるのよ、将嬉。あなたはもうちょっと……あっ、希望様!』
希望と呼ばれたその比較的人間の肌色をした地面にまでつく程の髪の長さが印象的な青年くらいの女が、笑顔で彼らを見ていた。
『哀耶、私は怒黒に怒りという感情は持ち合わせてはいませんよ? それに、人間に宣戦布告を命じたのは他ならぬ私です』
『……え? でも、今までそれを止めなさっていた希望様がどうして急に……?』
『私は今まで、人間に対する地球への心配りをずっと監視して来ました。……でも、人間は地球から去り、更に100年が経つというのに地球のところへ戻ること無く、そして、今やそこから来る空気がウイルスを発生させるという理由で人間たちの故郷であるこの場所を完全に破壊し始めている……事実、つい2日前にまた核爆弾が撃たれましたーー。私は、疲れました。もう、我慢の限界です……』
『……ってことは……』
4人が互いを見合う。
『痛手は負いましたが、徐々に地球も回復しています。あなた達には、人間を消滅させる任務にあたって貰います』