第一守
5月9日午前8時ちょうど。学生たちが自分たちの学校へ向かってた頃、彼らは何をしているのかというと。
「よぉ!輝樹!!元気にしてるか?」
元気よく輝樹のうしろを叩くのは、天史路尋。
天史路尋は輝樹と別のクラスで、輝樹の幼馴染である。
「どうした?そのしけっつらは!?」
「マシロ・・・元気だな」
「おう!俺は元気だけが取り柄だからな」
輝樹は尋のテンションの高さについていけないのか、意気消沈していった。
が、尋にはそんなのは慣れているのか、輝樹と並んで歩こうとしたら、
「・・・ついてくるな」
「おいおい。今日初めて女子に告白するんだろ?」
「・・・マシロ、一回絞められてぇか?」
「やってみやがれ!輝樹お前じゃオレはそうかんたんに絞められないからな」
尋は輝樹に拳を突き出しては、周りにいる登校中の生徒が振り向くほどの大声で言った。が、尋がいる右側にある自分の耳を片手で塞いでいた。
すると、尋の声が突然やんだ。いつもなら、尋の声が枯れるまでの10分間は続くのに今回は1、2分で終わった。輝樹は、どうしたものかと思い、尋の方を見ると顔が赤くなっていた。
「マシロ?」
「・・・」
尋は輝樹に返答を返さなかった。否、返せなかった。何故なら、尋の視線の先には、柳彩、彼女は尋と同じクラスであり尋が思いを寄せる相手がいた。
輝樹は尋が照れている間に、蹴り。
「おい、どこからその話を聞いたァ?」
「・・ハァ?」
疑問符を出しながら聞き返す尋に丁寧に言うことにした。
「だから、告白とかなんだよ?」
いや、丁寧に言わなかった。が、尋はわかったのか答えた。
「昨日の夜に永貴のやつから、メールがきてな」
尋は輝樹にケータイを見せた。そこには、『明日、忌慈のやつが女に告白するからよろしく』と載っていた。よろしく、とは何を指しているかはわからないが、きっと輝樹の告白の後押しのことだろう。
「なぁ、マシロ。もうコイツの言うことは信じるな」
「何言ってるんだよ?なぁ、天史路?」
彼らの後ろから聞こえた声に、輝樹は明らかに嫌そうな顔をしてここから逃げようとしたが、それは許されなかった。なぜなら、輝樹の肩を後ろからきたヤツにつかまれてしまったからだ。そいつは、笑顔で輝樹に接してきた。
「離せ。俺の視界に入ってくるな」
輝樹は不機嫌の元凶である、永貴を睨みつけた。が、永貴はわるびる様子もなくケラケラと笑いながら、自分の後ろにいた女の子たちに手を上げては、何かを言った。
「女の子の皆。また、会おうね」
手を振られた子たちは、黄色い歓声を上げながら散っていった。のを、見ていた尋はここでは言ってはいけないことを言ってしまった。しかも、近所迷惑ぐらいの大声で。
「よし!告白の練習だ!!」
ということで、尋は輝樹の回し蹴りをお尻にくらってしまった。
しかし、尋には対した痛みではないのか眉をよせただけだった。
「・・輝樹、お前・・・」
尋はただでさえ身長は180を超えているのもあるのと、顔が今までに何人かは絞めてます。という裏社会系の顔をしているために、ジロリと見られた輝樹は一歩後ずさってしまった。
「やはり、弱くなったな!!今日からまたお前を鍛えなおしてやる!!」
尋は人差し指ではなく、拳を輝樹につきだして言うと、慌てて永貴が止めに入ると。
「永貴も一緒に鍛えて欲しいのか!?」
尋の強引な誘いにこの2人は毎回断ることができずにいたために、今回も断れないままでいた。と、思われたが、今回だけは違っていた。
「・・・あ」
突然、前触れもなく輝樹が倒れてしまったのだった。
輝樹の頭の中には、また例の人『巫女の人』が出てきたのだ。巫女の人は現れては、呆れながら言ってきた。
『早くお主は我の意思を継ぐもの会え。もう、時間がない』
「はぁ?なにのだよ」
輝樹は、適応能力が高いのか2回目にはもう驚かなくなっていた。が、巫女の人が言っていることを理解ができなかったのか、聞きなおした。だが、何も返ってこなかった。
「おい、何かねぇのかよ」
『・・・お主から動かぬのなら、こちらから動かす』
巫女の人はそう言うと、また光に包まれて消えた。のだが、今回は真っ暗な闇ではあったが闇の中から何かの気配を肌から通して感じた。
「あぁ?何かいるのか?」
ボソリとつぶやいた声を、何かの気配は聞こえたのか輝樹のとこへ近づいてきた。その、気配は殺気をおびながら何かを振りおろしてきた。そのため、輝樹は目を閉じてしまったが、何も起こらなかった。
輝樹は不思議がり閉じている瞼を開けると、目の前には何かがいた。
目の前には、例の桜樹慧がいた。その後ろには、どこかの部屋。薬品の匂いが香ってきた。
「君が、忌慈輝樹ですか?」
ものすごい無愛想な顔で、輝樹を見ていた。彼女を最初に見た印象は誰しもこう思うだろう。『鉄火面』だと。
しかし、輝樹には疑問を思うところがあった。それは、朝一緒にいた友人らがいないことに気がついて視線を泳がしていたら、突然輝樹の頭に何かが勢いよくぶつけられた。
「・・イテッ」
「反応鈍いな、やっぱり鍛えなおしするか」
「あのなー・・・、突然起き上ったやつにチョップをするか?」
輝樹の頭にぶつけられたのは、尋のチョップだった。彼のチョップは、瓦が一気に10枚は割れるといわれるほどの強さだ。だが、それをやられた輝樹も輝樹だ。普通の人なら気絶をするほどの痛みなのにほぼ痛みがないようにベットに腰をかけたままだった。
それを、見ていた慧は不思議そうに見ていた。
「おい、忌慈。この女の子がお前が言ってた、『桜樹慧』。」
永貴の話では、尋が輝樹を保健室まで運んだら先に慧がいたらしい。
「じゃ、後は若い2人で・・・」
永貴は無理やり尋を保健室から出て、輝樹と慧を2人きりにしようとしたが永貴がドアに手をかけた瞬間に止められた。
「そこの2人も一緒に聞いてください」
尋と永貴は、疑問符を浮かべながら立ち止まると3人の視界は突然暗くなってしまった。