プロローグ
破滅まで、一日目。
あぁ、10年前のこの時間はちょうど、愛する妹が死んでしまっているのか。
あの頃はまだ、妹も私も中学生だった。親はどちらも科学者で、知能についての研究を行っていた。まだ中学生だった私たちには、親が何ををしていたのかさっぱり解らなかったけれど、それでも普通に楽しく暮らしていた。
とある夏休みの日、ドライブに行くことになった。どこに行こうかとみんなで地図を見ながら笑っていた。
私たちは水族館に行くことになった。お気に入りのベンツに乗って、歌いながら隣の隣の町まで車を走らせた。高速道路から見えた海が、本当に綺麗だった。
楽しいな
ずっとこんな風に暮らしたいな
それなのに
それなのに
アノヒトハコノシアワセヲ、ブチコワシタ。
○●○
目が覚めたらそこは無機質な病室だった。ピーピーと機械の音がした。
こういうときには目が覚めたら家族がすぐそばで泣きながら、自分の名前を呼んでくれるものだと思っていた。でも、自分の視界のなかには知った顔が一つもない。あなたたちは、だれ?
そうか、みんな死んじゃったのか。あぁ。
生き残ったのは私だけ。でももう一人、妹が原型をとどめて、ほぼ死んでいるけれど残っていた。
いいことを思いついた。
妹にもう一度脳を与えて生き返らせよう。
まさかこのアイデアが世界を破滅させることになるなんて、さっっっっっぱり思っていなかった。