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2人の接触者

ーー「外の警官が倒れてますよ!!」



おれは両脇に座る2名の警官に向かって叫んだ。


「何だと?・・・あ!大丈夫ですか!?」


おれの左隣の警官がドアを開けて車外に飛び出た。

同時に、右隣の警官はおれの脇をがっちり掴んだ。なかなかの連携だ。


がっちり脇は掴まれているものの、逃げ出せないことはなさそうだ。

これは天がくれた好機かもしれない。逃げ出すチャンスだ。


しかし、あの倒れた警官が持っているであろうメモ帳も回収してから逃亡する必要がある。


そう、パンティーのために・・・!



おれがそんな熱い誓いを立てていたまさにその時・・・


バタッ


外に出た警官が急に倒れたのだ。

ーー「何だこの非日常な夢は!!!」

おれは叫んでいた。



「やっぱりそういうことやねんな」



外からそんな意味深な声が聞こえた瞬間、パトカーが持ち上がる感覚がし、次の瞬間パトカーはひっくり返された。


ーー「非日常すぎだ!今日の夢!」


おれは何とかひっくり返った車から這い出ようとした。警官に足を掴まれたが、夢の中だからか、割と簡単に振り払うことができた。


這い出たおれは、さっきの意味深な発言の声の主を探しつつ、なぜ車がひっくり返されたのかを探りつつ、メモ帳を持ってるであろう警官を探しつつ、あたりを見回した。


ふと見ると、大柄・・・というかぽっちゃり・・・むしろデブの丸坊主の男を発見した。不健康そうなデブである。

その不健康男が拳を握りながらこちらを見ている。


「お前、夢って言ってたな」


不健康男の声は意外に高音で、さっきの意味深発言の声の主とは別人だ。

しかも夢がどうとか言っている。

おれは混乱しながらもこいつはやばいという直感がした。


その時、別の方向から声がした。


「おい、デブ。油断しとったらやられるで。こいつ、さっき白川のパンツ消したり出したりしとったから、妙な奇術使いよるみたいや」


こいつがさっきの意味深な声の主だ。

赤シャツに黒スーツ、髪は金髪。派手で柄の悪そうな関西弁の男だ。

白川ってのはさっきの白ミニスカートでピンク色パンティーの女の子のことか?


「こいつ、夢の中やって認識しとる」


この関西弁金髪野郎もやばそうだ。そもそも何だこいつらは。

なぜ、夢の中が何だかんだとか言ってくるんだ。今まで何度も夢を見て色んな奴らに会ってきたが、こんなことを言う奴らは初めてだ。



「おれらは決して怪しいもんやない。何も聞かずについてこい。お前にとっても得な話や。」



笑わせる。金髪も不健康男も怪しさはメジャー級だ。おれはまるでぼったくりバーに入ってしまった客のようだ。


「逆らわん方が身のためやで。夢の中とはいえらこいつには勝てんやろ?」


金髪はそう言って、不健康男を指差した。




不健康男はおもむろに腕を上げ、ひっくり返されたパトカーの方を向いた。



バーーーーン!!!



不健康男がチョップみたいな振り下ろす動作をすると、直撃したパトカーはすごい音を出した。

まるでケーキに入刀するかの如く、パトカーは二つに割れ、砂埃が舞っている。


これは本格的にまずい。

なんて力持ちだ。さっきパトカーをひっくり返したのも、こいつの仕業に違いない。


おれは苦渋の選択をせねばならないのか。与えられた選択肢は限られている。


一つ目は、逃げること。夢から目覚めさえすれば、ここでのことなんて関係ない。ただし、例のメモ帳は持ち帰れないかもしれない。


二つ目は、メモ帳を手に入れてから逃げること。しかし、こいつらがそれをさせてくれるとも思えない。


三つ目は、戦うこと。こいつらさえボコボコにしてしまえば、またいつも通り平和な夢の中に戻れる。


四つ目は、従ってついていくこと。こいつらが何者かも気になるし、悪い奴らじゃないかもしれない。


わりとたくさんの選択肢があることに気づいたおれは、選択肢の多さに逆に迷ってしまった。


「おい、ええからついてこい。デブ、あっちの様子も気になるから急がなあかんわ。」


金髪がそう言うと、不健康男が俺を抱え上げた。そう、お姫様だっこだ。

そして、白馬の王子様がお姫様を見つめるように俺の方を見てきたのだ。これには寒気がした。全身に悪寒が走り、目の前が真っ白になった。







気がつくとおれは喫茶店にいた。

デテールコーヒーのロゴ入りの紙ナプキンがおれの口にくっついている。まるでよだれを誰かに拭かれたように。


ん?


やたら近い隣の席の女がこっちを見ている。


ーー「ピンクのパンツ!!!」


思わずおれは叫んでしまった。そこにいたのは、夢の中であった白いミニスカートの女だった。



つづく

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