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私には、これ以上……。

作者: 古流

 私には、これ以上の高望みなどない。


 考えるまでもないのだ。


 生きるに過ぎる物があふれている、今、 ただ一滴の水が飲めなくなるのを恐れるだけだ。



 私は、これ以上、何も欲しはしない。


 思案するまでもないのだ。


 便利に過ぎるものが氾濫している、今、ただ一指すら動かさなくなるのを恐れるだけだ。




 私には何もない。


 雨露をしのげる屋根すらない。


 私には何もない。


 ながれた涙も、痛めた心も、すり減った想いも、ただ海水の冷たさに慄くのみだ。




 私には、これ以上の進歩はいらない。


 何も慌てることはないのだ。


 先端技術に心が絡め取られている、今、ただ人が住める街が消えるのを恐れるだけだ。


 私は、これ以上、迷路を歩こうとは思わない。


 躊躇とまどうことはないのだ。

 

 根拠のない情報に道を誤る人がいる、今、ただ優しさが崩れ去るのを恐れるだけだ。



 私には、これ以上……。


 何を欲するものがあろう。


 私に、これ以上……。


 何を与えてくれると言うのだ。



 私たちは、なにかを忘れてはいないだろうか? そして、急ぎ過ぎてはいないだろうか?



 読んでいただいて有難うございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 読ませていただきました。 わたしはあの地震が起きてから、すごく贅沢な生活をしていることに再度気がつきました。 進歩は退化を生み出し、創造は破滅も引き出してしまいました。 蝙蝠傘さんと同じく、…
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