表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カポエラ ログイン  作者: やしゅまる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/40

第7話「炎の試練」

ログハウスの夜。千尋がモニターを覗き込みながら叫んだ。

「みんな! 次は“火山ダンジョン”に行こうぜ!」

「火山?」舞は思わず聞き返す。

「そうそう! 炎系素材がごっそり取れるんだ。ほら、この“紅蓮鉱石”とか、鍛冶師が泣いて喜ぶやつ!」


 勇太が目を輝かせる。「そりゃ武器強化できるな!」

 葵はちょっと顔をしかめた。「でも高難度ダンジョンだよ? 初心者の舞が大丈夫かな……」

「心配すんなって!」千尋が胸を叩く。「舞ちゃんの華麗なカポエラなら、炎トカゲくらいイチコロだろ?」

「そんな簡単に言わないでぇぇ!」舞は慌てて手を振ったが――心の奥では少しワクワクしていた。



 翌晩。ログインした舞たちは、真っ赤に染まる火山地帯へと転送された。

 空気は揺らめき、岩肌からはマグマが滲み出している。

「うわぁ……暑そう……」舞のアバターも思わず汗を拭う仕草をした。

「暑さでスタミナ消耗が倍になる設定だ。気を付けろよ」沙羅が冷静に告げる。


 道を進むと、炎をまとったトカゲ型モンスターが飛び出してきた。

「うわっ!」舞は反射的に身を翻す。

 だが体は自然にリズムを刻んでいた。――ステップ、回転、蹴り。

「やあっ!」

 回し蹴りがトカゲを吹き飛ばし、溶岩の中へ沈める。

「やっぱ舞すげぇ!」勇太が笑う。

「いやいやいや! 必死なんだから!」舞は必死に否定した。


 次々と現れる炎トカゲやマグマゴーレム。

 勇太が剣を振るい、葵が盾で耐え、沙羅が矢で援護する。

 舞は熱気に息が上がりそうになりながらも、リズムを刻むことで呼吸を整えた。

(カポエラのリズム……これなら冷静を保てる!)



 そして、ダンジョン最奥。

 溶岩の湖から、巨大な影が姿を現した。

 ――火炎竜の幼体。赤い鱗が輝き、口からは炎が漏れている。


「うわ……これ、幼体でこの迫力!?」舞が息をのむ。

「気合い入れろ! 全員で行くぞ!」勇太が剣を構えた。


 竜の咆哮と共に、灼熱の炎が放たれる。

「舞、下がって!」葵が盾で受け止める。

「大丈夫!」舞は前へ躍り出た。

 竜の爪が振り下ろされる瞬間、舞はステップでかわし、くるりと回転。

「はっ!」

 蹴りが鱗に直撃し、竜の体勢が一瞬崩れる。

「今だ!」沙羅が矢を放ち、勇太の剣が火花を散らした。


 だが竜は再び炎を吐き、熱気で全員が動きを止めかける。

「ぐっ……!」舞も汗で視界が滲む。

 それでも耳に残るのは、自分のリズム。

(止まっちゃだめ……みんなを導くんだ!)


 舞は大きく息を吸い、ステップを刻んだ。

 右へ、左へ、軽やかに回り込む。

 その動きが合図のように、仲間も立ち直る。

 勇太が剣を振り、葵が盾で突進し、沙羅が矢を連射する。


「せいやぁぁぁっ!」

 最後は舞の後ろ回し蹴りが竜の顎を跳ね上げ、同時に勇太の剣と沙羅の矢が突き刺さった。

 炎が弾け、竜の巨体が崩れ落ちる。



 勝利のエフェクトが舞い上がる。

「やったぁぁ!」勇太が大声で叫んだ。

「ふぅ……死ぬかと思った……」葵が膝をつく。

 沙羅は小さく頷き、「舞。今の導き、悪くなかった」と一言。

「え、導き……?」舞は目を瞬かせる。

「お前の動きに、私たちが自然と合わせた。偶然じゃない。……仲間を導くリズムだ」


 その言葉に、舞は胸が熱くなった。

(私……ただの趣味のカポエラだったのに……仲間を導く力になれるんだ)


 千尋がログを確認し、「討伐動画、もうすでにチャットで拡散されてるぞ!」と笑う。

「えぇぇ!? また私だけ目立ってる!?」舞は耳まで真っ赤になった。


 だが、心の奥では誇らしかった。

 リズムに乗って、仲間と共に勝利する。

 それが、舞の戦い方なのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ