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カポエラ ログイン  作者: やしゅまる


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第6話「公式クエスト発令!」

その日の夜、舞がログインすると、ギルド拠点のログハウスに張り紙が出ていた。

【公式クエスト:商隊護衛任務 参加ギルド募集中】

 金色の文字が揺らめき、参加すれば報酬アイテムやランキングポイントが得られるらしい。


「おっ、舞! 来たな!」勇太がテーブルを叩いて立ち上がる。

「これ見ろよ! いよいよ俺ら《ひまわり団》の公式デビューだ!」

「公式デビュー……ってアイドルじゃないんだから」舞は苦笑したが、胸の奥は高鳴っていた。


 葵が説明を補う。「商隊をモンスターから守るクエストだよ。途中で他のギルドも同じ護衛任務を受けてて、競い合うんだって」

「競い合う……ってことは、実質ギルド同士の戦いになる可能性も?」沙羅が鋭く問いかける。

「そういうこと〜」千尋がにやりと笑った。「配信映えするじゃん! 舞ちゃん、また見せ場だよ!」

「やめてよ!」舞は真っ赤になって手を振った。



 いざ開始の時間。

 草原の街道に、立派な馬車とNPCの商人たちが並んでいた。護衛対象だ。

 舞たちは馬車の左右に陣取り、イベントが始まる。


 最初に襲ってきたのは盗賊型モンスターの群れ。

「さあ行くぞ!」勇太が剣を振るい、葵が盾で前を固める。

 舞は後方から迫る敵にくるりと回転蹴りを放つ。軽快なリズムで動くたびに盗賊が吹き飛び、商人NPCが「助かった!」と叫んだ。

「……やっぱり舞、戦いながら踊ってる」葵が思わず見とれる。

「いやいや、普通にカポエラやってるだけだから!」舞は必死に弁解した。


 そんな中、戦闘が一段落した頃だった。

 道の先に、黒い旗を掲げた一団が現れる。十数人のギルドメンバー。

 先頭の大男が鼻で笑った。「おいおい、ここに例の“踊るチート”がいるって噂は本当か?」

「“踊る……チート”?」舞は目を丸くする。

「お前だよ!」男が指を突きつける。「あの動画でバズってただろうが! どうせ不正だろ、白状しろ!」


「待ってください!」葵が前に出る。「舞はそんなことしてません! ただの格闘好きで――」

「ほう、口で言うなら証明してみせろ」

 その瞬間、黒旗のギルド――《トロール団》が剣を抜いた。



 商隊護衛の任務は続いている。敵ギルドを退けつつ、馬車を守らなければならない。

「ちょっ……二正面作戦!?」舞が焦る。

「上等だ!」勇太が剣を構える。「相手してやるぜ!」

「動画のネタいただきます!」千尋はすでに録画を開始していた。


 戦いは激しかった。

 《トロール団》は数で押し、舞たちを分断しようとする。

 舞は敵の斧をかわしながら、反動を利用して回し蹴りを放つ。

「せいやっ!」

 蹴りの弧が三人まとめて吹き飛ばすと、周囲から「チートだ!」という怒号が飛んだ。


「違うってばぁぁ!」舞は必死に叫ぶが、体は自然とリズムを刻んでしまう。

 その動きに合わせ、沙羅の矢が次々と敵を射抜き、勇太が剣で流れを繋ぐ。

 葵は盾で商隊を守り抜き、「ここは通さない!」と声を張り上げた。


 仲間の声が舞の背中を押す。

 ――踊るように戦え。それが舞の強さだ。


 最後、舞の後ろ回し蹴りと沙羅の矢が同時に決まり、敵ギルドのリーダーが地に伏した。



「……チッ、やるじゃねえか」大男は不満げにログアウトして消える。

 残ったのは、無傷で進み続ける商隊の馬車。


「護衛任務、成功!」NPCが歓声を上げ、金貨が舞たちに配布された。

 勇太は拳を突き上げ、「やったな! 初公式クエスト、勝利だ!」と叫ぶ。

 千尋はすでに画面を確認し、「同接やばい! コメント欄も“踊る姫”って大盛り上がりだ!」と笑う。

「やめてよぉぉ!」舞は頭を抱えるが、心の奥では――熱く、誇らしいものが込み上げていた。


(私、ただのカポエラ好きなのに……でも、みんなと戦うの、こんなに楽しいんだ)


 こうして、《ひまわり団》は初めての公式クエストを華々しく乗り切ったのだった。


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