第40話「ひまわりとストライカーズ」
――大会翌日。
《バトル・フェスティバル2026》の熱狂は、まだ世界を包んでいた。
ニュースサイトのトップには《ひまわり団×ストライカーズ》、SNSのトレンドには《#リズムと拳の奇跡》《#同時撃破》が並ぶ。
実況者たちは口を揃えて言った――「あの決勝戦は“戦い”じゃない、“音楽”だった」と。
そんな世界のど真ん中で、舞たちは久々に集まっていた。
舞、葵、勇太、沙羅、千尋。そして、あのライバル――レンジ。
「うわ、現実で会うとレンジくん背ぇ高っ!」
千尋がスマホを構えて動画を撮る。
レンジは苦笑しつつ、少し照れくさそうに頭をかく。
「カメラ回さないでもらえるか……?」
「無理w これは記念すぎでしょ!」
その横で、葵が腕を組みながら舞に笑いかけた。
「ね、言ったでしょ。舞なら世界でバズるって!」
「ちょ、ちょっと! あれは偶然だってばぁ!」
舞が真っ赤になって手を振ると、勇太が吹き出した。
「偶然でレンジと同時撃破できるかよ! マジでチートだって!」
「だからチートじゃないってばぁ!」
笑い声が弾ける。
沙羅はそんな様子をカメラ越しに見て、静かに呟いた。
「……映えるね、やっぱり」
――そこへ、ホログラム掲示が現れた。
《運営より告知:特別賞「デュアル・ヒーローズ」授与!》
《両ギルド合同でのコラボ練習会と特別クエストを公式サポート!》
場がどよめく。
「えっ!? 合同練習と特別クエスト!?」
「つまり……共闘できるってことか!」勇太が拳を握る。
葵がキラキラした目で叫んだ。
「やったー! “レンジくんと同じチーム”だよ舞!」
「ちょ、そんな言い方しないでよぉ!」
レンジはそんな彼女の慌てぶりに、ふっと口元をゆるめた。
「……悪くない提案だ。俺も、もう一度あのリズムを感じてみたい」
「リズム?」
「お前が言ってたろ。“心で感じる音”ってやつ。あれ、確かに俺の中にも残ってる」
舞はその言葉に、胸の奥が熱くなるのを感じた。
「あのときね、怖かったの。音が消えて、何も聞こえなくなって……でも、みんなの鼓動が聞こえた気がして」
葵、勇太、沙羅、千尋が頷く。
「そうそう、なんか心臓までリンクしてた感じだった」
「戦ってるのに、泣きそうになったしな」
レンジは目を閉じて息を吐く。
「……勝負に偶然はない。けど――“出会い”は、たぶん奇跡だ」
静かな風が吹いた。
舞はゆっくり立ち上がり、レンジの前に歩み寄る。
「じゃあさ、もう一回――共鳴しよう」
差し出された拳。
レンジも迷わず、その拳を合わせた。
拳が触れた瞬間、周囲に金色のエフェクトが広がる。
《リズムリンク》が再び起動し、仲間たちの笑顔が一斉に輝いた。
「よし、決まりだな!」勇太が叫ぶ。
「次は優勝だね!」葵が拳を掲げる。
「動画タイトル、『新ビート始動』でどう?」千尋がにやりと笑う。
「……映えるわ、それ」沙羅が小さく呟いた。
舞は笑顔で空を見上げた。
夕日が沈み、雲の向こうでひまわり色の光が差す。
「戦うのも、踊るのも――誰かと一緒が一番楽しい!」
その声に、全員の心が同じリズムで高鳴った。
やがて、画面がフェードアウトしていく。
エンドロールの最後に、金色の文字が浮かぶ。
《To be continued in “Battle Festival NEXT BEAT”》
――世界は、また新しいビートを待っている。




