第30話「大会への招待」
放課後の部室。
机の上に置かれたタブレットを囲んで、《ひまわり団》のメンバーが集まっていた。
「えっ……これ、ほんとに?」
舞が半開きの口で画面を見つめる。
そこには《Battle Festival 2026 本戦招待のお知らせ》と大きく表示されていた。
「ほんとほんと!」
葵が満面の笑みで机をバンと叩く。
「深淵の回廊、完全攻略ギルドとして《ひまわり団》がシード枠入り! やったね!」
「えっ……でも、バトル・フェスって確か……」
「うん! 今度は“公開ステージ制”なんだって!」
「こ、公開ステージ!?」
舞の顔が一気に赤くなる。
千尋がにやっと笑った。
「つまり、舞のカポエラがリアルで見られるわけですよ。観客の前で、モーションキャプチャ中継入りで♡」
「ちょ、ちょっと待って!? つまり私の動き、生放送されるの!?」
「される~! てかそれが目玉コンテンツらしいよ!」
「ひ、ひぃぃ……無理無理無理! 恥ずかしすぎる!」
「いいじゃん!」葵が明るく笑う。
「舞の動き、かっこいいもん! あのジンガとか、ステップとか、観客に見せる価値あるって!」
「……映えるね、確かに」
沙羅が無表情のまま、静かに頷く。
「“リズムで戦う格闘家”なんて他にいない。注目されて当然」
「だよね~!」と千尋。
「てかネットじゃもう“リズム女神”タグ伸びてるよw」
「やめてぇぇぇぇ!!!」
舞が頭を抱えて机に突っ伏す。
しかしその姿を見て、勇太が腕を組みながら真剣に言った。
「でもさ、舞。次の大会は本気のトップ勢ばっかだ。今までみたいに“楽しいだけ”じゃ通じねぇかもな」
「……うん。わかってる」
顔を上げた舞の瞳は、まっすぐだった。
「でも、私の戦い方は変えない。楽しむことが、私の強さだから」
その言葉に、葵が微笑む。
「うん、舞らしい。私たちも全力で守るから、思いっきり踊って!」
「おう!」勇太が拳を突き上げる。
「《ひまわり団》、全員で勝つぞ!」
「「おーっ!!!」」
盛り上がる部室の中で、舞のスマホが震えた。
画面にはレンジからのメッセージ。
『大会、出るんだろ。次こそ決着をつけよう』
その短い文を見た瞬間、舞の胸に熱が走った。
「……ふふっ、やっぱりそう来るか」
「レンジくん?」葵が覗き込む。
「うん。“決着つけよう”って」
「舞、顔に出てる。完全にやる気モード」
「だって……負けたくないんだもん!」
舞は立ち上がり、軽くステップを踏んだ。
体育館の木床の感覚を思い出すように――
リズムを刻み、息を整える。
「見せてやるよ。私の“リズム”を」
夕陽が差し込む窓の向こうで、街の灯りが瞬き始めていた。
その光が、まるで次のステージのスポットライトのように、舞を照らしていた。
――風間舞、再びステージへ。
観客の前で踊り、戦う。
“リズム・ブレイカー”の新しい幕が、今、上がる。




