第3話「ひまわり団、結成!」
放課後の教室。窓から差し込む夕陽の中で、葵が勢いよくノートPCを開いた。
「舞! 今日から正式にギルド入ろ!」
「え、ギルド?」
ペンを片付けていた舞が目を丸くする。
「うん。《ひまわり団》っていうの。私が作ったんだよ!」
画面に映し出されたギルド名を見て、舞はぽかんと口を開いた。
「……ひまわり団? なんか平和そうすぎない?」
「だって私、ひまわり好きなんだもん!」
「理由、軽っ!」
苦笑しつつも、舞は結局加入ボタンを押した。
◆
その夜。ログインした舞の視界に、ギルド拠点の小さなログハウスが現れた。暖炉の火がぱちぱちと音を立て、テーブルの周りには既に数人のプレイヤーが集まっている。
「おー、来た来た! 紹介するね!」
葵が手を振る。舞は緊張気味に歩み寄った。
「……えっと、風間舞です。よろしくお願いします。……あの、チートじゃないから!」
一瞬の沈黙。次の瞬間――。
「言われなくてもわかってるって!」
「けど昨日の動画、再生数すごいことになってるよな」
「やめてぇぇ!」
舞が耳まで真っ赤にして抗議するのを見て、皆はどっと笑った。
剣士の少年が立ち上がり、剣を肩に担ぐ。
「俺は佐藤勇太。剣士やってる。よろしくな! てか舞、マジで反則級だろ、それ」
「反則じゃないもん!」
「じゃあ今度は俺が先に倒してみせるから!」
体育会系のノリに舞はタジタジになった。
その隣で、銀髪の弓使いの少女が静かに頷く。
「山城沙羅。弓を使ってる。……映えるね、舞」
「え、映える?」
「動画見た。戦いというより、演舞に近い。見てて楽しい」
「そ、そんなこと言われても……!」
さらりと本質を突かれ、舞は余計に照れた。
さらに、フードを被った魔術師が椅子から立ち上がり、両手を広げる。
「藤宮千尋、魔術師! よろしくな! てか舞ちゃん、君の戦闘動画、すでに“踊る格闘家”タグでまとめられてるから!」
「うわぁぁぁ! 言わなくていいから!」
「はは、もうネタキャラ確定だな」
「ちょっと千尋! 舞をからかわないの!」
葵がぷんと頬を膨らませて庇う。
「でもさ、舞が入ってくれたら、うちのギルドも最強だよね!」
「そうだな。盾役は葵、前衛は俺、後衛は沙羅と千尋、そして……舞」
勇太がにやりと笑った。
「お前がいるだけで心強いわ」
「……だからチートじゃないってばぁ!」
舞の叫びに、また全員が笑った。
◆
しばらく談笑したあと、葵が手を叩いた。
「よし、せっかくだからみんなでダンジョン行こ! 初心者用の《緑影の洞窟》! 舞のお披露目戦だね!」
「お、お披露目って……!」
「決定〜!」
こうして、舞のギルドライフが本格的に始まった。
少し不安で、でもワクワクして胸が高鳴る。
(……みんなとなら、楽しいかも)
暖炉の火が優しく揺れる中、舞は小さく微笑んだ。




