第28話「帰還、そして再戦の約束」
――まばゆい光とともに、転送ゲートが開いた。
土煙の中から現れたのは、ボロボロの装備を纏った二人の影。
「舞っ!」「レンジ!」
高瀬葵と《ストライカーズ》のメンバーが同時に駆け出す。
次の瞬間、舞がピースサインを決めて笑った。
「ただいまっ! ちょっと踊ってきたー!」
その言葉に一瞬の沈黙――そして爆笑。
藤宮千尋がいち早くスマホを取り出して叫ぶ。
「ちょ、今の録画した! “帰還ピース”、絶対バズるやつ!」
「……映えるね、舞」
山城沙羅が淡々と呟くが、その目は少し潤んでいる。
レンジは隣で静かに息を整え、仲間に向かって頷いた。
「遅れて悪い。こいつが、俺を引っ張ってくれた」
「えっ!? わ、私!? いや、そんな、ぜんぜん……!」
舞が両手をぶんぶん振るが、葵がにっこり笑って肩を叩く。
「やっぱり舞はすごいね! どんな深層でも戻ってくるんだから!」
――《堕天の影竜》討伐。
二つのギルドの名前が、システムログに並んで表示される。
そしてその瞬間、ネット上にアップされたリプレイ映像が拡散を始めた。
「再生数……百万いったw」
「は、早っ!?」
「“リズム・デュオ”ってタグついてる。完全にトレンド入り」
千尋が笑いながらコメント欄を読み上げる。
『まいレン尊い』『格ゲーとダンスの融合』『音楽的バトル最高!』
「……なんか、恥ずかしいんだけど!」
舞が真っ赤になって頭を抱える。
「だってぇ! レンジくんと息ピッタリだったもん!」と千尋が煽ると、
勇太がニヤリと笑いながら腕を組んだ。
「おいおい、舞、完全に主役じゃねーか。俺も見せ場くれよ!」
「ははっ、じゃあ次のボス戦は勇太くんがリードね!」
「マジ!? やった!」
賑やかな笑い声が響く中、レンジは静かに舞の方を見た。
「……舞」
「なに?」
「お前の言ってた“楽しむ戦い”、少し分かった気がする」
舞の表情が和らぐ。
「でしょ? 楽しいと、勝ち負けとか関係なくなるんだよ」
「いや、俺はまだ勝ちたい。けど――お前と戦うのは、嫌じゃない」
そう言ってレンジは手を差し出した。
舞も笑って、その拳を軽く合わせる。
「次の大会、また当たるかもしれないな」
「うん。そのときは、“リズム”負けないからね!」
「望むところだ」
その握手を見て、葵が頬を膨らませる。
「はいはい、イチャイチャはそこまでー! 次は全員で勝つんだからね!」
「おーっ!」
《ひまわり団》と《ストライカーズ》が一斉に拳を掲げた。
その瞬間、迷宮の壁に刻まれた紋章が淡く光り、
二つのギルドの名が並んで“共闘達成”と刻まれる。
夕焼けのような光が差し込む通路を、仲間たちは肩を並べて歩く。
背中を押すように、システム通知の音が響いた。
《新エリア“陽炎の回廊”が解放されました》
「……また面白そうな場所が出たね」
「うん。きっと、次も踊れる」
舞が笑い、レンジが小さく頷く。
その笑顔を見て、沙羅がカメラを構えた。
「はい、二人とも並んで――“ツイン・リズム・ショット”」
「やめてよぉー!」
笑い声とシャッター音。
そして、彼らの物語は次のステージへ。
――勝つためでも、名を上げるためでもない。
“リズムで心を繋ぐ”冒険が、今また始まるのだった。




