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カポエラ ログイン  作者: やしゅまる


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第21話「大会のあとで」

 ――大歓声の渦が収まり、観客席のざわめきが遠くに消えていく。

 控室に戻った舞たちは、それぞれ椅子にへたり込んでいた。


「……っはあああ! 疲れたぁぁ!」

 真っ先に声を上げたのは千尋だった。床に大の字になり、バタバタと手足を動かす。

「でも、ベスト4だよ!? マジで無名ギルドがここまで来たとか、ニュース案件でしょ」

「……ほんとにね」葵は額の汗を拭きながら笑った。「みんなのおかげだよ。舞も、すっごかった!」

「そ、そんな……! 私なんか、最後倒されちゃったし!」舞はぶんぶんと手を振る。

「いやいや、あれで“最後まで諦めない姿”見せたんだから、むしろ主人公だったって」勇太が真顔で言う。

「……映えてた。最高に」沙羅の冷静な一言に、舞は耳まで真っ赤になった。


「だ、だからチートじゃないってばぁ!」


 慌てて叫ぶと、場の空気がどっと和んだ。



 そんな中、千尋の端末が鳴り響く。

「おっ、さっそくまとめ動画来てる!」

 画面を仲間に見せると、そこには《ひまわり団》の準決勝ダイジェスト映像が再生されていた。


 舞の回転蹴りが敵の盾を吹き飛ばす瞬間。

 勇太の渾身の一閃。

 葵が盾を構え、仲間を守る姿。

 沙羅の矢が閃き、千尋の魔法が炸裂する。


「『無名ギルド、ベスト4の快挙!』『リズム格闘少女、チート級パフォーマンス!?』だってさ」千尋が爆笑する。

「やめてぇぇ! 絶対“チート”って言われるじゃん!」舞は頭を抱える。

「でも、いい意味で拡散されてるよ。再生数、もう十万超えてる」沙羅が淡々と補足した。

「十……まん……!?」舞は崩れ落ちる。


「ふふ、舞が目立ってくれると私も嬉しいけどね」葵がにっこり笑う。

「……複雑……」舞は頬を膨らませる。



 控室を出ると、廊下にはまだ興奮冷めやらぬ観客たちが群がっていた。

「ひまわり団だ!」「舞ちゃん、サイン!」

「チート動画見たよ!」

 わっと人だかりができ、舞はさらに赤面。

「ちょ、ちょっと待って! サインとかしたことないからぁ!」


 その様子を少し離れた場所から見ていたのは、黒いコートを羽織った青年――レンジだった。


「……人気者だな」

 静かに歩み寄ると、舞は驚いて振り返った。

「れ、レンジ!? あの、その……さっきは……」

「いい試合だった」彼は短く言った。その瞳は真剣で、舞を真正面から見据えている。

「勝負に偶然はない。けど、お前の戦いは……俺にはできないものだ」

「……!」舞の胸が高鳴る。


 レンジは少し息をつき、言葉を続けた。

「俺は勝つために戦ってきた。でも、お前は“楽しむために戦う”。そんな価値観の違う2人が戦うから刺激しあって楽しいんだろうな」

 そして、わずかに口元を緩める。

「だからこそ、また戦いたい。もっと高い場所で、な」


 舞は一瞬ためらったが、やがて笑顔になった。

「うん! 次は負けないよ! ……いや、負けても楽しいって言えるように、もっと強くなる!」

「……そうか」レンジの目に、ほんの少しだけ光が宿った。



 その後、舞たちは打ち上げに向かいながら大騒ぎした。

「お疲れ様会! 焼肉行こう焼肉!」勇太が声を張り上げる。

「それ動画配信したらバズるわw」千尋がケラケラ笑う。

「……映えるけど、音はカットで」沙羅が即座に補足する。

「ふふっ、みんな仲良しでいいね」葵が微笑む。


 舞は仲間の姿を見て、胸の奥が熱くなる。

(負けたけど、悔しくない……ううん、すっごく楽しかった!)


 その夜、《ひまわり団》旋風はSNSで大きく拡散されていった。

 そして舞の心には、新たな決意が芽生えていた――。


「私、もっともっと楽しんで、強くなる!」


 夕暮れの街に、その声は小さく響いた。


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