第18話「ひまわり団、ベスト8へ!」
アリーナに鐘の音が響いた。
チーム部門二回戦、観客席にはすでに大きな期待が渦巻いていた。
「相手は《アイアンウォール》。防御特化のギルドで有名だよ」千尋が解説者気取りで声を張る。
「盾と回復で固めるスタイル……正直、火力不足のうちには相性最悪かもね」沙羅が冷静に言う。
「勝てるよ!」葵が拳を握った。「だって舞がいるから!」
「えぇぇ!? 全部私頼り!?」舞は真っ赤になりながら跳ね上がる。
◆
審判の合図とともに、鉄壁ギルドが前に立ちはだかった。
巨大な盾を持つ前衛三人が横並びになり、その背後には回復役がぴったり控えている。
「こりゃ本当に壁だな……」勇太が剣を構えて唾を飲む。
「来るぞ!」
突進してきた盾兵の衝撃で、床が震えた。勇太の剣が弾かれ、舞の蹴りも分厚い防壁に阻まれる。
「くぅっ……全然通らない!」舞は逆立ちで蹴りを叩き込むが、相手のHPはほとんど削れない。
「焦らないで!」葵が前へ飛び出した。
彼女の盾が鋼とぶつかり、甲高い音を響かせる。力負けせずに踏みとどまる姿に、舞の目が見開かれた。
「葵……!」
「舞、前に出て! 私が守るから!」
親友の声に、胸の奥が熱くなる。
◆
盾と盾のぶつかり合いの中で、舞はリズムを刻んだ。
カポエラのステップに合わせるように、葵がタイミングよく盾を振る。
ひとつの呼吸。ひとつのリズム。
二人の動きがまるで合わさったかのように、舞の足と葵の盾が連動して敵の守りを崩していく。
「お、おい……何だあの連携!」
「盾と格闘の同調とか見たことねぇぞ!」
観客席がざわめく。
「はぁっ!」舞の回し蹴りが盾を上へ弾き飛ばし、隙間を晒す。
そこへ葵の盾突きが叩き込まれる。防御のバランスが崩れた瞬間、勇太の剣と千尋の魔法が突き刺さった。
「ぐっ……!」敵前衛が一人倒れる。
◆
「いいよ、みんなこのまま押す!」葵が叫ぶ。
舞は逆立ちから連続回転蹴りを繰り出し、盾兵たちの陣形を乱す。葵は即座にその隙間に割り込んで壁となり、味方の攻撃を通す。
盾と踊り。二つの動きがシンクロし、流れるように攻防が切り替わっていく。
「舞と葵……完全に合わせてきてる!」千尋が興奮して声を張り上げる。
「……映えるね」沙羅の静かな声に、観客席の熱がさらに高まった。
◆
最後の盾兵がよろめいた瞬間、舞が宙返りからの踵落としを叩き込む。
その一撃と同時に葵の盾突きが重なり、轟音とともに相手は地に伏した。
「勝者、《ひまわり団》!」
アナウンスが響くと同時に、観客席は大歓声に包まれた。
「やったあああああ!」千尋が両手を振り回し、勇太はガッツポーズを決める。
「葵、舞! 二人とも最高だ!」
肩で息をしながら舞は笑った。
「ふぅ……本当に守ってもらっちゃった」
「何言ってんの! 舞が前に出てくれたから、私も力を出せたんだよ!」葵は満面の笑みで舞の手を取る。
手と手が重なった瞬間、二人は顔を見合わせて笑った。
友情のリズムが、戦いを勝利へと導いたのだ。
――《ひまわり団》、ベスト8進出。
そのニュースは瞬く間に掲示板を駆け抜け、舞と葵の名をさらに広めていくのだった。




