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カポエラ ログイン  作者: やしゅまる


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第17話「ソロ部門・舞 vs トップ魔導士」

大会が開幕してから数日。

 舞は予選と一回戦をなんなく突破し、その名前はすでに掲示板でも小さな話題になり始めていた。


『カポエラ娘また勝ってるw』

『あの蹴りマジでモーション芸術』

『二回戦の相手、ガチ魔導士だけど大丈夫か?』


 観客や配信者のざわめきが、舞の周囲を熱気で包んでいた――。



 アリーナが一瞬、静まり返った。

 ソロ部門二回戦――舞の相手は、《紅蓮の魔導師カイ》。遠距離火力で名を馳せるトップ魔導士だ。


「やばっ……カイとか当たるの早すぎでしょ」千尋が観客席で頭を抱える。

「炎魔導士って、立ち回り次第で格闘職の天敵だよね」沙羅が冷静に言う。

「舞、大丈夫かな……」葵が両手をぎゅっと握りしめる。


 舞自身も緊張していた。

(炎魔導士……火力すごいんだよね。でも、逃げたくない。踊るように、私らしく戦おう!)



「試合、開始!」


 審判の合図と同時に、カイが杖を掲げる。

「燃え尽きろ、《フレイムランス》!」

 炎の槍が唸りを上げて突き抜ける。舞は一瞬でステップを刻み、横に滑るように避けた。


 すぐさま二撃目。《フレイムバースト》! 爆炎が床を覆い、観客がどよめく。

「うわっ、熱っ!」舞は逆立ちで爆炎を飛び越え、着地と同時に低く構える。

(詠唱……タイミングがある! 肩が揺れる瞬間――!)


 彼女は魔導士の動きをじっと観察し、リズムに合わせて回避を重ねる。

 カポエラ特有の揺れるステップが、まるで敵の詠唱を先読みしているかのようだった。


「ほ、本当に避けてる!?」「あれ偶然じゃなくね?」

観客がざわつく。実況スレも盛り上がり始めていた。



「ほう……面白い」カイは口元を歪める。「だが、近づかせはしない!」

 詠唱が加速し、火球が連射される。

「くっ……!」舞は腕を振り回し、逆立ちのまま炎の弾を蹴り払う。

熱が皮膚をかすめ、HPがじりじりと削られる。


「舞、押されてる!」観客席の勇太が叫んだ。

「まだ大丈夫……舞なら必ず届く」葵は信じるように呟く。


 舞は汗をにじませながらも、ステップを止めない。

(怖い……でも、怖いからこそ――前へ!)


 敵が大技の詠唱に入った瞬間、舞の身体が勝手に動いた。

「いける!」

 床を蹴り、後方へ宙返り。回転の勢いを利用し、真横から一直線に踏み込む。


「《フレイム・エクスプロージョン》――!?」

 詠唱を終える直前、舞の蹴りが杖をはじき飛ばした。詠唱が途切れ、爆炎は霧散する。



「はぁっ!」

 舞は逆立ちからの連続回転蹴りを叩き込み、カイを後方へ吹き飛ばした。

 追撃のリズムは止まらない。足音が太鼓のように鳴り響き、最後の後ろ回し蹴りが直撃する。


「ぐっ……ここまでか」

 カイのHPゲージがゼロになり、観客席が爆発したように湧き上がる。


「勝者、風間舞!」



「や、やったああああ!」千尋が飛び跳ねる。

「舞、すごすぎる!」葵が涙目で叫ぶ。

「……芸術的だ」沙羅が静かに呟いた。


 舞は膝に手をつき、荒い息を整えた。胸がどきどきして止まらない。

「はぁ……はぁ……楽しい……!」

 思わずこぼれた言葉に、周囲のプレイヤーが驚き、そして笑った。


「楽しんで勝つとか、どんな化け物だよ!」

「これで一気にトップランカー候補じゃん!」

「カポエラ娘、伝説入り確定だな!」


 舞は顔を真っ赤にして両手をぶんぶん振る。

「ち、ちがっ……ただ、踊ってただけでぇぇぇ!」


 だが観客の熱気は収まらない。

 その中心に、舞のリズムは確かに刻まれていた――。


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