第16話「チーム戦トーナメント・一回戦!」
巨大アリーナに、開戦の鐘が響いた。
トーナメント一回戦――《ひまわり団》の相手は、結成三年を誇る中堅ギルド《蒼き鷲団》。戦術の緻密さで知られ、格上と評判の強豪だ。
「前衛二枚、後衛三枚……きれいに役割分担してるね」沙羅が弓を引きながら分析する。
「正統派すぎて逆にやっかい!」葵は盾を構え、気合を込めた笑みを浮かべる。
「よし、みんな! ひまわりは太陽に向かって咲くんだよ!」
「出た、葵の謎ポエム……」千尋が苦笑した瞬間、敵が一斉に仕掛けてきた。
◆
最初の衝撃は凄まじかった。
敵剣士二人が左右から勇太を狙い、弓矢と魔法が雨のように降り注ぐ。舞が飛び出すも、即座に盾役が進路を塞ぐ。
「くっ、動き読まれてる!」勇太は必死に剣を振るうが、防御に回るばかり。
舞も攻撃を仕掛けようとするが、弓矢の集中射撃でリズムを崩される。
「わ、わたしのステップが……!」
観客席からは「やっぱ格上には通用しないか!」という声すら上がった。
「だめだ、このままじゃ押し潰される……」葵が歯を食いしばる。
◆
だが、そのとき。
「落ち着いて」沙羅が冷静に声を放った。「相手の射手、矢を放つまでに必ず肩を揺らしてる。タイミングを読める」
「マジで!? それもっと早く言え!」千尋が叫びつつ、すぐに呪文詠唱を変える。「じゃ、私がフェイント入れてみる!」
次の瞬間、火球が敵後衛に飛び、思わず回避した相手が射撃を乱す。
「ナイス、千尋!」葵が叫び、舞の進路が一瞬だけ開いた。
舞は床を蹴り、カポエラの逆立ち回転蹴りを繰り出す。盾役の視界を強引に奪い、勇太の突進と重なる。
「うおおおお!」
「せいやぁぁっ!」
二人の同時攻撃が敵前衛を吹き飛ばす。観客席から大歓声が上がった。
◆
戦況は一気に動いた。
沙羅が矢で相手魔術師の詠唱を妨害し、千尋の雷撃が敵陣を乱す。
「映えろ映えろ~! クリティカル頼む~!」
「……実況してる場合?」沙羅がぼそり。
その隙に勇太が剣を振り回しながら叫ぶ。
「舞、合わせろ!」
「うん!」
ふたりは呼吸を合わせ、舞のリズムと勇太の直線的な突進を組み合わせる。
リズムの波に剣が乗り、予測不能の連撃が生まれた。
「な、なんだこの連携は!?」相手ギルドが動揺する。
最後は舞が逆立ちからの蹴り上げで敵リーダーを空中に放り、勇太が渾身のジャンプ斬りで叩き落とした。
◆
「勝者、《ひまわり団》!」
審判の宣言と同時に、アリーナは割れるような拍手と歓声に包まれた。
「やったあああ!」千尋が跳びはねる。
「ふぅ……危なかったけど、みんなよくやったね」葵が汗を拭いながら笑う。
「……舞一人じゃなく、全員で勝った」沙羅が弓を下ろし、わずかに口元を緩めた。
舞は荒い息をつきながらも、胸が熱くなるのを感じた。
(うん……私だけじゃない。《ひまわり団》みんなが強くなってるんだ)
勇太が隣で拳を突き出す。
「舞、次も絶対勝つぞ!」
「うん!」舞も拳を合わせた。
ひまわりの花びらのように、笑顔がひとつ、またひとつ広がっていく。
次の戦いが待ち遠しくなるほどに――。




