第14話「予選開始!混戦バトルロイヤル」
――大会初日。
《VRバトルグランプリ》予選の舞台は、見渡す限りの荒野だった。
巨大な岩場や瓦礫が点在し、視界の端ではすでに光の軌跡がぶつかり合っている。数百人が同時に放り込まれる混戦――まさにサバイバルそのものだった。
「ひゃぁぁ……これ全部、相手なの?」舞はログイン直後から目をぱちぱちさせる。
「そうだよ。制限時間内に一定数残れば突破!」葵が盾を構えて説明する。
「要は最後まで生き残ればいい!」勇太が剣を抜き、にやりと笑った。
「それじゃ――《ひまわり団》、出陣だね」沙羅の冷静な声が響く。
「よっしゃあ! 予選突破したらトレンド入り確定だわ!」千尋が火球を構えながら実況テンションで叫んだ。
◆
開始の合図と同時に、四方八方から敵が殺到した。
「勇太、前お願い!」葵が即座に指示を飛ばす。
「おうっ!」勇太は突撃してきた二人を正面から斬り伏せ、体力バカ全開のゴリ押しで突破口を作る。
「そっちは任せて」沙羅は岩陰から矢を放つ。飛び出してきた敵プレイヤーの頭上を正確に射抜き、仲間の背後を守った。
「ナイスカバー!」葵が笑顔で声をかけ、巨大な盾で飛んできた槍を弾き飛ばす。
「じゃあ、私もいっくよー!」千尋が両手を掲げ、炸裂魔法を放った。爆炎が広がり、敵の進軍が一瞬止まる。
「どーだ、これ動画映えするっしょ!?」
「ちょっと千尋! 味方まで巻き込むなぁぁ!」舞が慌てて跳び退く。
◆
しかし、その混乱すら舞にとっては舞台装置だった。
敵の槍が突き出される瞬間、舞は身体をくるりと反転させ、地面に両手をつく。逆立ちの姿勢から、しなやかに脚がしなる。
「はっ!」
カポエラの回転蹴りが弧を描き、二人の敵をまとめて薙ぎ払った。
その流れるような動きに、観客席からどよめきが上がる。
《あの子だ! “カポエラ娘”!》
《やっぱり生で見るとヤバい! 踊ってんのに敵が吹っ飛ぶ!》
《これぞ映えムーブ!》
舞は顔を真っ赤にしながら、さらにステップを踏む。足のリズムに合わせて、敵の攻撃を避け、隙をついて蹴りを叩き込む。
「ちょ、ちょっと! 見ないでぇぇ!」と叫びながらも、身体は止まらない。
まるで踊るように戦場を駆け抜け、敵を次々に倒していく。
◆
やがて戦場は落ち着き、残ったのは数分の一にまで絞られていた。
「あと少しだよ!」葵が声を張り上げる。
「俺、まだまだいけるぞ!」勇太は肩で息をしながらも剣を振り回す。
「……これ、確実に突破だね」沙羅が淡々と告げる。
「おつかれー! これでひまわり団、トレンド入り間違いなし!」千尋がにやにやと画面を操作する。
「えぇぇ……そんな、またバズっちゃうのぉ!?」舞は頭を抱えた。
◆
そのとき、フィールド全体に勝ち残りプレイヤーのリストが浮かび上がった。
《予選突破者一覧》――そこには確かに《ひまわり団》の名前が並んでいる。
そして――もう一つ、舞の視線を釘付けにする名前がソロ部門にあった。
《レンジ》
「……っ!」舞の心臓が大きく跳ねた。
「やっぱり来てるんだ、レンジさん……」
再戦の舞台が、確かに近づいている。
(次は……きっと会える。楽しむんだ、私の踊りで!)
舞の胸に、再び熱が灯った。




