第13話「告知!VRバトルグランプリ開幕」
翌日のログイン直後だった。
ギルド拠点のログハウスに光の粒から姿を現した舞を、仲間たちが待ち構えていた。
「舞ちゃん! 速報きた! やっばいやっばい!」
千尋が開口一番、スマホ画面を突きつけてくる。
「ひゃっ!? な、なにいきなり!」
「見てこれ! システムアナウンスだよ!」
舞が覗き込むと、そこには煌びやかな告知文が表示されていた。
《VRバトルグランプリ202X 開催決定》
《世界中のプレイヤーが集う年に一度の大舞台》
《ソロ・チーム・ランダムミックスの3部門》
「……VRバトルグランプリ?」舞が目を丸くする。
「そ! VRバトル勢なら誰もが夢見る最高峰の大会!」千尋がテンション高く解説する。
「トップランカーの称号、現金賞金、限定装備……あらゆる報酬が手に入る」
沙羅が補足する声は、いつも通り淡々としていた。
「賞金まで出るんだ!?」勇太が驚きで口を開ける。
「うん、しかも数百万クラス。プロ志望ゲーマーにとっちゃ人生変える大会だよ」葵が胸を張って説明した。
「え、えぇ……そんな大舞台に……」舞は思わず一歩下がる。
◆
「これ、出るっきゃないでしょ!」
千尋が両手を広げて宣言した。
「いやいやいや! 無理無理! 私なんかがそんな!」舞は全力で否定する。
「何言ってんの舞! あんたもう“カポエラ娘”でバズってるんだから!」葵がぐっと肩を抱き寄せる。
「や、やめてよその呼び方ぁ!」舞は必死に抵抗する。
「でもさ、舞がいればマジで優勝狙えるんじゃね?」勇太が拳を握る。
「そだね。再生数もすごいし、レンジとの因縁もあるし」千尋がにやりと笑った。
「……因縁?」舞の鼓動が一瞬早くなる。
◆
脳裏によみがえる、昨日届いた短いメッセージ。
――やはり君は伸びている。次は公式大会で会おう。
「レンジさん……」舞は小さく呟く。
彼と戦ったあの緊張感。恐怖さえ凌駕する楽しさ。心が震えるあの感覚。
(また、あの人と戦えるかもしれない……)
舞の胸の奥に小さな火が灯る。
◆
「でも……」舞は唇を噛んだ。
「私、そんなトップランカーとか無理だし……。楽しみたいだけなのに、勝てなきゃいけない大会なんて……」
「勝たなくていいじゃん」葵が笑顔で言った。
「え……?」
「舞は舞らしく戦えばいい。楽しそうに踊って、みんなをびっくりさせればいい。ね! 舞はすごいんだから!」
その真っ直ぐな瞳に、舞の肩からすっと力が抜けていく。
「……うん。私、戦いたい。レンジさんとも、もっと強い人たちとも。勝ちたいじゃなくて……楽しみたいから!」
自然と笑顔がこぼれた。
「よっしゃあ! 出場決定ー!」勇太が拳を天井に突き上げる。
「はい、ただいま《ひまわり団》チーム戦エントリー完了しました!」葵がタブレットを操作して宣言した。
「それ動画化確定だわw」千尋がにやにやしながら言う。
「……映えるね、舞」沙羅の一言に、舞は顔を真っ赤にした。
◆
こうして――《ひまわり団》はVRバトルグランプリへの挑戦を決めた。
全国の強豪たちが待ち構える舞台へ。
舞の心は、不安と興奮で高鳴っていた。
(楽しもう。私の“踊り”を、全部ぶつけるんだ!)
大会開幕の合図は、もうすぐそこまで迫っていた。




