第七十二話
あ、いた。
やっぱりこの駅だったんだ。
キミは他の誰よりも美しく輝いているから一目でわかったよ。
今日もキレイな髪をしてるね。
その血の様に赤い髪、本当にキレイだ。夕日に照らされていつも以上に輝いていて、溜め息が出る程美しいよ。
櫛を通すその姿。早くカメラに収めたいな。
くりくりとしたその金眼も可愛いよ。特にその縦長の瞳孔、その目で俺を見て欲しい。
あぁ、想像するだけで身悶えしてしまうよ。頬が熱くなるのを感じる。きっと素晴らしい体験になる。忘れられない夜になる。
その白い肌も良い。お肌に気を遣ってるんだね。肌荒れや日焼けの無いその体、一糸纏わぬその姿を、何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も何枚も撮って撮って撮って撮って撮って撮って撮って撮って撮って撮って撮って撮って撮って撮って撮って撮って撮って撮って撮って撮って撮って撮って撮って撮って撮って撮って撮って撮って
…あぁ、少し興奮しちゃった。悪い癖だなぁ。気をつけないと。
…あれ?少しお疲れかな。あまり眠れてないのかな。俺は少し心配だよ。
近頃、包帯が増えたもんね。キミにキズが付くなんて考えたくないよ。完成された被写体に手を加えていいのはカメラマンだけだ。
カメラマンたる俺以外にそんな無体、許される筈も無い。
あぁ、お家はそっちの方なのかな。
うんうん。分かったよ。教えてくれてありがとう。
いやぁ、なかなか大変だったなぁ。
この前、ワームヴェルトの制服を着ていたからさ。学生だっていうのはすぐにわかったんだけど、あそこは警備がキツいから。城壁の中に入るなんて出来やしないんだもの。
だからキミを見つけて、キミの家を見つけるのにたくさん時間が掛かっちゃった。
街中で初めてキミを見つけた時は感動したんだ。ボクの被写体にピッタリなその姿、一目惚れだよ。あはは、恥ずかしいよね。
あの時は丁度、近くに警察がいてさ。結構、切羽詰まってたんだ。
だから、名前も何も知らないキミを探して見つけてここまでくるのに半年近く掛かっちゃった。
でもね。そんなの全然辛くはないんだ。
だって、キミがいたから。
どんな苦痛もどんな苦労もへっちゃらだよ。
その先にはキミがいたから。
キミがいたから俺は俺のまま強くあれたんだ。
あぁ、撮りたいなぁ。
早くカメラに収めたいなぁ。
…うぅん、今日は随分とお友だちが多いんだね。
仕方がないな。
今日、撮るつもりだったんだけど止しておこうか。
余計なゴミが写り込むのは望むことじゃないからね。
明日は土曜日だね。どこかにお出かけするのかな。
キミと一緒になれたらどこに行こうか。
キミはどんな風に笑うかな。
どんな風に泣くのかな。
知りたいな。
教えて欲しいな。
撮って撮って撮り尽くして、早く俺だけのものにしたいな。




