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俺は主人公の友人Aとして生きたいの!〜バトルファンタジー漫画の世界に転生した俺はTS転生した美少女主人公(中身おっさん)を狙っている訳ではない〜  作者: どかんどかん!ぱおんぱおん!
第一章 学園入学:龍紋 ファフナ編

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第五十六話 蛇腹家訪問 サイド:洛陽 落ち葉

 今日は昨日のこともあって全然眠れなかったなぁ。ぷわわ、と大きなあくびをしながら、いつも通り扉の前でどっくんに声を掛けたらそのまま中庭側にぐるりと回る。

 どっくんママこと巳白みしろさんや、どっくんパパであるはちさんもこの事は重々承知の上、6歳の頃より許可を頂いているので無問題なのだ。


 気分によってはこのまま『陀羅ダラ』を召喚して、2階のどっくんルームまで直行するのだけれど、今日は体調不良での早退との事なので遠慮しておく事にする。


「こんばんはぁ!」

「あらー。お帰りなさい落ち葉ちゃんー」


 トントンと包丁がまな板を叩く音が止まり、キッチンからニョロリと現れたのはどっくんママだ。いつも優しく微笑んでいる彼女は、私の第2のお母さんと言っても過言では無い。それくらいに付き合いが長いのだ。

 汚れ一つ無い純白の綺麗な鱗に覆われた半身はいつ見てもハッとする。昔はよくどっくんと一緒にあの尻尾を撫で回したものだ。今思い返すと少し恥ずかしい。

 顔を上げると、タオルで手を拭う巳白さんにコンビニで買ったプリンの入った袋を差し出した。


「ただいま巳白さん!これお見舞いのプリン!みんなで食べてください!」

「あらー、悪いですねー。いつもありがとうー」

「いやいやこんなの全然!どっくんって今、お部屋で寝てますか?」

「独くんなら、今ー…今ー…」


 ?


 巳白みしろさんの顔からぶわりと汗が噴き出した。どうしたんだろう?いつもゆったりニコニコしているからかなり珍しい。

 カチンコチンに固まって何も言わなくなってしまった、尻尾の先だけ忙しなくオロオロと動かす巳白みしろさんを見つめていると、ジャーという水洗トイレの流れる音と共に奥の廊下から1人の男性が現れた。


「おー、お帰り!」


 頭を番犬が◯が◯に噛まれ、左頬にはワニワニぱに◯くが喰らい付いている。おまけに手に持ったウィジャボードは一人でに暴れ倒していて、足元に転がった麻雀牌はなんと見事な九蓮宝燈。

 なんだかちょっぴり不幸そうな彼は、そんな様子をまるで気にする事なく、気さくな笑顔を浮かべていた。私を発見すると、よっと右手を上げて朗らかに挨拶をしてくれる。


「お帰り落ち葉ちゃん!今日も今日とて別嬪さんやなぁ!」

「ただいま!ありがと八さん!あの、なんだか巳白さんが固まっちゃったんですけど…」

「な!なんやと白ちゃん!体が冷えてもうたんか!?うおぉ、僕の体温であったまってくれぇーーーー!!!!!」


 一瞬の内に上半身裸になった八さんが、プールに飛び込む様にして勢いよく抱き付きに行った。やっぱりどっくんのお父さんだなーって思う。ちょっぴりおバカですっごく優しいところとかそっくりだ。


 めしゃり


「やめて、落ち葉ちゃんの見てるところでー」

「良かった白ちゃんが元気で…」


 気がつけば、八さんが床にめり込んでいる。どうやら巳白さんの尻尾で叩きつけられたらしい。まるでハエ叩きにやられた虫さんだ。ピクピクしてるところとか特に。


「だ、大丈夫?八さん?」

「はっはっは…白ちゃんにやられたんや、むしろ回復してるわ…って、はっ!こんな場合やない!」


 ガバっと年齢を感じさせない俊敏な動きで八さんが起き上がった。かと思うと私からズババと大きく距離を取って、巳白さんとこちらをチラチラ見ながら何やら話し合っている。


(今日も元気だなぁ…)


むしろいつも通りなので安心する。かと思うと、2人はどうにも神妙な面持ちでこちらにやって来た。刑事ドラマで任意同行求めてくるみたいな表情をしている。何が何やらである。


「…落ち葉ちゃん。これだけ渡しとくわ」

「へ?な、なにこれ?」


 そう言って八さんに手渡されたのは真っ赤っ赤なボクシングローブだ。…なぜ?グローブを受け取りつつお2人に視線を戻すと、2人は熱い視線を私へと投げかけながらうんと大きく頷いた。


「落ち葉ちゃん、ふぁいとー」

「ファイトや!ガッツが大事やで!」

「え、えぇ?」


 さっぱりわからない。2人はまるでボクシングのトレーナーみたいに私に声援をくれているわけだが…、


「しゅ、しゅっ!しゅっ!」

「ええで!その調子や!」

「アゴがガラ空きですよー」


 ノリで拳を振るってみせると歓声が飛んでくる。この親にしてどっくんあり。ホントにビックリするくらいノリが良い。

 なんだか楽しくなってきたので、しばらくジャブを打っているとタン、タンとリビング向こうの階段の方から軽い足音が聞こえてきた。まだ、17時だし双姉ふたねぇは帰ってきてないハズ。どっくんかな?ドアの磨りガラス越しにシルエットが見えた。


「ただいまどっくん!少しは元気になっ…

「お帰り落ち葉。今日は一日眠そうだったけれど大丈夫だった?」

「あ、うん!今日はたくさん寝るから!ただいまファフちゃ…はへ?」


 視界に入って来た相手の顔を見て思わず固まってしまった。なんと2階から現れたのは、つい最近お友達になった同級生の女の子。黒に金の混じった癖一つ無いストレートなロングヘア、パッチリお目目に長いまつ毛、モデル顔負けの均整の取れたスタイルは制服の上からでも一目でわかってしまう。その姿は間違え様が無い。


 ど、どうしてファフナちゃんがここに?


 た、確かに授業中にどっくんの鞄持って行ってたなー、保健室の先生に頼まれたのかなー、後でお礼言わなきゃなーなんて呑気に考えてたけど、ま、まさか一緒に帰ってたの?いやいや、でもなんで2階から?まさか一緒の部屋で?


 尽きぬ疑問を解消したくてたまらないが、言葉にならない。まるで酸素を求めるお魚の様に口をパクパクさせながら、助けを求めてどっくんファミリーに視線を投げかけると…、


「南無妙法蓮華経…」

「パンチはこうー。フックはこうー」


 2階を見上げながら、手を合わせて南無南無言ってる八さんと、お手本でも見せるみたいにシュッシュっとシャドウボクシングをする巳白さんの姿が…。


「ど、どういう状況?」


 ファフナちゃんが私に向かって尋ねてきた。私が言いたいそのセリフ。ど、どういう状況?

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