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俺は主人公の友人Aとして生きたいの!〜バトルファンタジー漫画の世界に転生した俺はTS転生した美少女主人公(中身おっさん)を狙っている訳ではない〜  作者: どかんどかん!ぱおんぱおん!
第一章 学園入学:龍紋 ファフナ編

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第五十一話 ただの顔見知り

「…」

「……」

『………』

「…あれ、どうしたのかな?みんな急に静かになって」


 俺たちは皆一様に黙りこくっていた。

 スキルの秘匿。それは『じゃむうま』でも見られた光景だ。

 ファフナちゃん一行が敵のスキルを考察しながら戦う姿(だいたいファフナちゃんのゴリ押し)を見るのは中々に楽しかった記憶がある。

 それに瞳告くんのスキルがある以上、この町で見たと言うのならそれは本当なのだろう。

 しかし、その雄鶏おんどりとかいう人がこの街にいたとして、どうしてわざわざ俺の事を狙うんだ?


「うーん…。いやぁ、可能性としてはあるかもだけど。その人が俺を狙う理由がないんじゃないかなぁ」

「…?なんで?」

「いや、なんでって…」


 瞳告くんが頭にハテナを浮かべた。あれ?俺だけが分かってない感じ?

 少し不安になってお隣を見ると、ファフナちゃんもさっぱり分からない、と腕組みをしながら首を傾げていた。美少女だね。黒に金のメッシュの入った髪色が実に不可思議だ。

シマヘビくんの方は『くぅくぅ』とめっちゃお昼寝してる。仕舞っちゃうよぉ。

 ズズズ、とお眠なシマヘビくんを胸の召喚門に仕舞いながら、瞳告くんに…長いな。やっぱシマヘビくん長くなってるよな。入れても入れても全然終わりが見えない。

 あっ、そんなことより瞳告くんの話の続きだ。手だけ動かしながら彼の方に視線を戻すと、彼は俺の顔を見つめて優しい笑みを浮かべた。


「蛇腹くんってさ、顔が良いじゃん?」

「え、それほどでもあるかな。ねぇファフナちゃん。俺ってイケメン?」

「ん?あぁね」


 ファフナちゃんは素っ気なかった。かなち♡かなち♡

 確かに俺はイケメンだという自負があるけど、それがどうしたのだろう。もしかして髪も長いから女の子と間違えられたとか…?いやいや、まさかね。


雄鶏おんどりはね。好きなんだ。特に10代の男子が」

「ひぇ」

「性的な意味でね」

「ひぇぇ」

「後、『ハーメルンの笛吹き事件』の被害者はみんな遺体で発見されてるってさ」

「ひぇぇぇぇぇ」


 ゾワゾワする。鳥肌がしゅごい。下手なホラーより怖い。人間怖い。なんで櫂毒といいヤバい奴ばっか集まってくるのよ。

 まだ春先だと言うのに寒気がとんでもない。あまりの怖気に両腕を摩っていると、どこからか熱い視線が飛んでくる。すぐ隣からだ。この威圧感のあるドラゴンアイは…


「ファ、ファフナちゃん。どうしたのかなー?」

「ねぇジャミラ。今度は私が助けるわ」

「え、いやでも…」

「昨日のお礼。私、そういうの返さないと気が済まないんだから」

「いや、それはさっき屋上で助けてくれたのでチャラに」

「アレくらいでチャラになるかっての!」


 十分に命を救われたよ!?というか昨日のあれはシマヘビくんの力だし、俺が下手な事をするとファフナちゃんに迷惑かかるから。というかもう友だちじゃないって言ってるよね。話聞いてくれないね。


「いや先生とかに相だ…

「遠慮すんなって!ジャミラの貞操はオ…私が守るっ!なっ!」


 ガッシリと 肩を抱かれて 柔らかい


 5・7・5。春の俳句。たまに距離感がしっかり男なんだよなぁ、ファフナちゃんは。おとろしいやっちゃでホンマ。あと、貞操とか言わないで欲しい。

 俺が何も言えないでいると、ファフナちゃんの腕にますます力が入っていく。


「なっ!」

「むぎゅぐ」

「あはは、随分仲が良いんだね」


 い、いや…俺は…。抵抗もままならない勢いにドンドコと流されていると、不意に保健室の扉がガタリと音を立てた。


 ガラガラ


 保健室の横開きのドアが開かれる。先生が戻って来たのかな?

 折角なら相談させて貰おうかと思い、そちらに目線を投げると、入り口前に立っていたのは俺たちのよく知る青年だった。  

 ドアを行儀悪く足で開けるのは、ツンツン頭に目つきの悪い三白眼、そして現在は両腕コルセットとなっているマーダー家の男の子。爆世はぜ・マーダーことバズがそこにいたのだ。


「元気してるかぁ瞳告どうこくよぉ」

「あれ、爆世はぜっ!」


 瞳告くんが儚げな見た目に似合わない軽い動きでパッとベッドから飛び起きると、すぐにバズの方へと小走りで向かった。彼はバズの両腕を労る様にしながら、飼い主を前にした子犬の様に落ち着きをなくしているではないか。


「どうしたのまだ授業中だよ?腕痛くなってきた?」

「いんや、たりぃから抜けてきた。テメェがいねぇとつまらねぇよ」

「もう、ダメだなぁ爆世は」


 呆れた、と溜め息を吐く瞳告くんだが、その顔に浮かぶのは愛想笑いとは違う、本当に気を許した相手に見せる緩んだ笑顔だった。『じゃむうま』でもあんな顔してるの見た記憶が無い。確か幼馴染だったっけ?よっぽど仲が良いんだなぁ。

 など思っていると、バズがこちらに気付いたらしく、ガチガチに固められた腕を少し上げた。


「っお!蛇腹と言う名の人生じゃねぇか!後、龍紋 ファフナ」

「おいっすバズ」

「後とはなんだ。後とは」


 ファフナちゃんが不貞腐れている。そうだよね。主人公だもんね。

 …おや?バズが俺と俺の隣に座るファフナちゃんを何度も何度も交互に見ている。あ、口角がクッと上がった。なんだか悪い笑みを浮かべている。アレは相当下世話な事を考えている時の笑顔…。


「はっはっは!テメェも隅に置いておけねぇ人生だなぁ。えぇ?便所に抜けたと思えばよぉ、龍紋 ファフナと逢瀬かましてやがったかよ」

「へ?…って違う違う!だから俺はファフナちゃんと付き合ってないんだって!」

「え、オレ、こいつと…じゃなかった。私、ジャミラと付き合ってると思われてんの?」

「あぁ?龍紋 ファフナも蛇腹と言う名の人生が教室抜けてすぐに便所だっつって抜けたじゃねぇか。今日に入って倦怠期突入したかと思えば、授業抜けてよろしくやってたかよ!退屈させねぇなぁ!おい!」

「「待て待て待て待て!!!」」


 ちょっとやめて!そんな大きな声で茶化さないで!俺はファフナちゃんのただの友だち…じゃなかった!えっと…ただの顔見知りとかそういうアレだから!

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