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俺は主人公の友人Aとして生きたいの!〜バトルファンタジー漫画の世界に転生した俺はTS転生した美少女主人公(中身おっさん)を狙っている訳ではない〜  作者: どかんどかん!ぱおんぱおん!
第一章 学園入学:龍紋 ファフナ編

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第二十七話 苦渋ヶ島 瞳告

「どうしたの蛇腹くん?」

「なんだ変な顔してよ?…あぁ、アレか。コイツという名の苗字のせいか」

「あぁ、いや」


 バズが首だけを振って隣の青年を指し示す。俺はそうじゃないよ、とゆっくり首を横に振りながら目の前の青年の姿を見直した。

 青い瞳、白に近い銀色の髪、色白な肌、そして優しく微笑む彼を俺は知っている。

 そうか。彼もそう言えば同じクラスだったか。お知らせサポートキャラの瞳告くん。


 苦渋ヶ島(くじゅうがしま) 瞳告どうこく


 彼は御三家の一つ、苦渋ヶ島の子どもたちの一人だ。


 神に近しい苦渋ヶ島(くじゅうがしま)家。


 それはこの日本において絶大な権力を持つ御三家。

 マーダー家、宍喰井家と並ぶ大家の一つで、『じゃむうま』本編では共にファフナちゃん争奪戦に乗り出し、どったんばったん血みどろ大騒ぎを繰り広げていた訳だが…。


 彼はそんな危険が危ない御三家で、何故かファフナちゃんに一切敵対することなく何か事件やイベントが起きる導入シーンで「あっちで〇〇があるみたいだよ」、「そう言えば校庭で〇〇が〇〇してたよ」と教えてくれる完全無害なキャラクターだった。ついたあだ名がお知らせくん。

 なんでそんなキャラクターに御三家の名が?とは過去に思ったこともあるが、漫画を読んでいたのも過去のこと。今日の今日まですっかりその存在を忘れていた。


「くっ!?」


 突然、ミニーくんが素っ頓狂な声を上げた。それは驚きを孕んだ声で、動揺が隠しきれていない。見ればポメくんも大きく目を見開いている。ミノくんは窓の外を飛ぶちょうちょに夢中だ。


「く、くくくく、苦渋ヶ島だぢょっ…!?」

「くっ、くじゅ…ざ、残念ながらポメの騎士団はもう満員でぇ…!」

「…もぉ〜」

「はは。やっぱこうなるよね」

「…マーダー。爆世はぜ・マーダーだ。オレと言う名の人生は」


 困った様に笑う瞳告どうこくくんを遮る様にバズが名乗った。対する反応は先程と同様だ。ミニーくんはあんぐりと口を開け、ポメくんの目は踊りまくり。ミノくんは流れる雲に夢中だ。


「マッ、マーダー家もいるのかぢょっ!?」

「ポポ、ポメの騎士団は満員御礼でぇ…!」

「もぉもぉ」


 ミノくんは癒し枠。「シャ〜?」ヘビくんが嫉妬してるのか、すりすりと頬に顔を擦り寄せて来た。可愛い可愛い。

 残念ながらやはり御三家はあまり好かれていない様だ。というよりも恐れられている。まぁ、権力使い放題のやりたい放題だもんね。子どもには直接関係なくとも怖いもんは怖いのだ。

 でも俺は原作知識があるから彼の無害性はよく知っている。恐れることは何も無し!


「よろしく。俺はみんな大好きどっくんだ。仲良くしてね」「シャー」「ねー!」


 俺が手を出すと、瞳告くんは僅かに目を見開くと再び優しく微笑んだ。


「うん。どうか仲良くして欲しいな」


 彼の手はひんやりと冷たかった。


 …

 ……

 ………


「クラス分けの名前を見てまさかとは思ったんだけど、よくお父さんが納得したねぇ」

「はっ、納得させてやったんだよ。あん時のヤロウと言う名の人生のツラ、お前にも拝ませてやりたかったぜ」

「相変わらず仲悪そうだね」

「たりめぇよ」


 何やら2人が2人にしか分からない話をしている。ツンケンしてスレ切ったバズが目つきは悪いながらも、穏やかな表情で談笑している。正直かなり意外だ。本当に仲がいいんだろうな。俺にとっての落ち葉ちゃんみたいな感じだろうか。微笑ましい限りだ。


 ちなみに現在、ミニーくんとポメくんはと言うと、バズと瞳告くんが現れてからは勢いを失い、何故か俺の後ろに隠れる様にしておしゃべりをしている様だ。


「ポメ、キミなんかと話したくないんだけど…!」

「おで様だってホントは赤髪のコイツと…!」

「もぉもぉ」


 ミノくんは床の木目で迷路をしている。可愛いね。「シャ〜!」ヘビくんも可愛いよ。

 あ、そう言えばファフナちゃん達、もとい落ち葉ちゃんはどうなったかな…?

 みんなの会話を聞き流しつつ、かつて夢見た理想郷ことファフナちゃんの席へと視線を移した。


「ねぇ!あっち全然会話に入れないんだけど…!」

「うおっ!落ち葉ちゃん来てたの!?」


 いつの間にか落ち葉ちゃんがこっちまで来てた。どうもおしゃべり戦争に入り損ね、コチラに助けを求めに来たらしい。お、バズと目が合った。お、落ち葉ちゃんがガルガルしてる。お、バズが鼻で笑った。

 さてファフナちゃんは?…おぉ、バーゲンセールの特売品みたいになってる。番犬忠犬ヴロちゃんさんはどうしたんだ?


「ぬわー!離せこの巨大乳房!」

「閉まっちゃうよ〜!」


 …おお。おっぱいに吸い込まれてるわ。


 キーンコーン


 キンコンと鳴る聞き慣れた鐘の音。

 時計を見ればもう8時半だ。落ち葉ちゃんがガーン!という効果音が聞こえて来そうなほどにショックを受けた顔をしている。


「せ、折角こっちまで来たのに!」

「へっ。ご愁傷様だな女」

「むっ!なんか言ったかなキミ…!

 わたし、まだアナタがどっくんを傷付けたこと許してないんだからね!」

「へーへー悪かった悪かった」

「がるるるる!」

「あはは。仲良さそうだねぇキミたち」

「「誰が!!」」

「あれ、違ったかな?」


 結構天然キャラなのだろうか。2人に吠えられた瞳告くんがのほほんと笑っている。

 俺はおっぱいに吸い込まれるヴロちゃんさんに夢中だ。いや、間違えた。ヴロちゃんさんが吸い込まれるおっぱいに夢中だ。


「お、お前たちよく御三家相手にそんな態度取れるぢょ…」

「ねぇ赤髪のキミ、やっぱりポメが見込んだ通りだよ。ポメの騎士団に入ろうよ」

「もぉ〜…」


 バァン!!!


 チャイムの音が鳴り止んでなお、みんなで騒がしくしていると不意に教室のドアが勢いよく開かれた。


「やぁ失礼。少し力が入りすぎたネェ。

 おはよう元気な子どもたちよ。若いと言うのは良いものだ。しかし、節度は持たないといけないネェ」


…!


 そう言って入って来たのは、ミノくんに匹敵する分厚い筋肉と、実に見覚えのあるそれはそれはご立派なお髭を蓄えた男性だ。

 彼は片腕に先程教室を飛び出して行った女の子2人を抱えながら、立派すぎるお髭を指で撫で付ける。


「キミ達の担任を務めるからには、心身ともに立派に育て上げるとも。このオヒゲ・ガリッパの名にかけて」


 オヒゲ教官だぁ!俺たちの教官が帰って来やがった!正直、もう出番ないと思ってた!

 ………あれ?しかし、おかしいな。オヒゲ教官って漫画にいなかったキャラクターだぞ。

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