第二十四話 さらばミニーくん!また会おう編
「ちょっとジャミラ大丈夫!?」
「どっくん!また危ないことして!」
「へ、へへ。ダイジョーブ博士」
みんなが心配して駆け寄って来てくれたので、俺はピースを見せて平気アピールしてみせる。
心配はいらない。太っちょヘビくんが受け止めてくれた事と、先日のバズとのチャンバラで俺も多少打たれ強くなったのだ!
…気のせいかも。ほっぺ痛い痛いなの。
「シャー」「のー」
ありがとうヘビくんたち。ほっぺにくっついてくれるとヒンヤリして気持ちいいね。
しかし、甘えている暇はない!すわ、と乱れた服装を正し、ミニーくんの前に立つ。さぁ、こっからどうにかして原作への軌道修正は叶うのか。
「ミニーくん!」
「誰だぢょそれ!?
おで様はあの有名な大企業である美肉井ホールディングスの長男、美肉井 垂水様だぢょ!」
「そっか!名乗ってくれてありがとう!あだ名はタルミーの方がいいかな!どうぞ、お好きな方を選んでください!」
「うるさいぢょお前!!意味わかんないぢょ!」
「くぅ〜ん」
「ふ、ふざけた奴だぢょ!!もういい!おで様のスキルを見ても、そんなふざけた事を言ってられるかぢょ!」
くっ!どうやらお気に召さなかったらしい。まだまだセンスが足りないぜ!…ってスキル?待って、俺は説得をしようと…。
ミニーくんが両腕を頭の上へと掲げた。すると、すぐに彼の真上に抱えきれないほどの巨大な水球が生み出される。なにあれ?
「何処へ行こうと逐い虐げるぢょ!スキル発動『逐虐水遯』!!!」
「うわうわうわうわ、マジじゃんマジじゃん!?本気と書いてそう読むやつじゃん!
軽率にスキル出すとかやめない!?」
「そのこうるさい口を塞いでやるぢょ!溺れるといい
「ふぅん!」
ぢょべーっ!?!?」
ずどぉぉぉぉぉん!!!!!
「ミニーくんんんん!!!!!!」
ミ、ミニーくんが突然、瞬間移動並みのスピードで目の前に現れたファフナちゃんにバックドロップをお見舞いされた…!!!!
それと同時に風船の様に弾ける水球。わぁ、ミストシャワーみたい…!って、そんな事に感じ入ってる場合じゃなくって…!
「う、うわぁお」
す、すげぇ。おそらくミニーくんであろう人物の下半身がレンガの敷き詰められた地面に垂直に生えている…。いや、刺さってるが正しいか。生きてんのかなコレ。つんつん。「つんー!」
俺がミニーくんの安否を心配していると、彼女は涼しげにスカートに付いた土埃を払い、くるりとこちらへ向き直った。
「…キミ、バカなの?
あんなパンチ、ジャミラが邪魔しなかったら受け止める事も避ける事も出来たんだよ?
なにこんなのの相手を真面目にしようとしてんのさ」
「え、え〜。でも…」
俺はちらりとミニーくんを見た。ぴ、ぴくりともしないな…。
彼は『じゃむうま』本編だと俺以上に出番の少ないやられ役だ。下心マシマシニンニクチョモランマでファフナちゃんにセンスゼロの告白をかましたのも事実だ。振られた後に逆ギレして殴りかかった人間性おわおわり人であったのも事実だ。
でも、それでも、
「…うん、ごめんね。
でも、俺はファフナちゃんが殴りかかられる事自体許せなかったんだ。
それに、彼がそんなバカなことするのも止めたくて、そう思ったら体が勝手に…」
「なにそれ。正直、意味がわからないんだけど」
「セリフは最悪だったけどさ。ミニーくんは1人の女の子相手に本気の気持ちで告白したんだからさ。結果がどうであれ、どちらにとっても嫌な思い出にしたくなくって…それでその…」
しゅん。
言語化すると実感するけど、結果はどっちにとっても最悪じゃないかな…。なんか俺おせっかい焼きなのかなぁ。いらないことする子なのかなぁ。なんだか気分が落ち込んでしまう。
そんなしょげた俺を哀れに思ったのかどうかは知らないが、ファフナちゃんがハンカチで殴られた方の頬を押さえてくれた。…ヴロちゃんさんの視線が鋭くなったな。
「…もういいよ。ジャミラがバカなのは分かったから、もう行くよ」
「う、うん」
ファフナちゃんが落ち葉ちゃんとヴロちゃんさんに声を掛け、正門へと歩き始めた。ファフナちゃんから早く来いとの視線を感じた為、放り投げてた鞄を拾う。そして再び地面に埋まった彼へと振り返った。
ごめんよミニーくん…!結局、原作と同じやられ方になっちゃって…!
…いや、待てよ。結果がこうなった事は至極残念だけど、暴れるミニーくんがファフナちゃんにワンパン。これは原作通りの展開だ。
…原作への軌道修正はなったと考えても良いのか。俺のやらかしをチャラにしてくれたファフナちゃんには感謝ってことか!
そ、そうだそうだ!俺なんかどうせやられ役の雑魚悪役なんだから、ストーリーに関わる展開で要らない事しなきゃ良かったんだよな!反省反省!
「来ないのジャミラ。早く行くよ」
「あ、行く行く!…っと」
地面に逆さまにぶっ刺さってるミニーくんに、鞄の中から取り出した絆創膏やら消毒液やら一式を置いていく。
いやー良かった。替え用のを持ってきておいて。半ば自己満だけどさ、良かったら使ってくれよな。
「止めてやれなくてごめんなミニーくん。もし同クラだったら仲良くしような」「なー!」「シャー!」
待ってくれー!大急ぎで、もう正門を潜り校内へ入った3人の後を追いかける。
「…あいつ良いヤツだぢょ」
書けば書く程どっくんの精神性がクレイジー野郎になっていってます。イカれ仲良し野郎だと思ってあげてください。




