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第二話 さて、これからについて考えよう

 さて、どうしたものかな。


 前世の記憶を思い出した俺こと蛇腹じゃばら 独葉巳どくばみはこれからのことについて考えていた。


 原作の蛇腹じゃばら 独葉巳どくばみがフルボッコ&退学エンドを迎えるのは入学式当日のこと。バッドエンドまであと1週間となかなかにギリギリ。

 だがしかし、ここは特に問題はないと俺は考えている。だって、ヒロインちゃんこと洛陽らくよう を擬似触手プレイしなきゃいいだけだしな。


 というか原作の俺、手ぇ早すぎない?もうちっと我慢できないの?そういうのオッケーな彼女作ろうとかしなよ(暴論)。

 まぁ、俺の思春期スケベパワーが理性を凌駕し、突如として大暴走しない限りはまずセーフだ。

 こういった作品でたまに見る原作の強制力とやらが、実在すればどうしようもないがな。ま、大丈夫だろ!そういうの大体悪役令嬢ものだし!がはは!


 …問題はその次なんだよな。入学式を無事乗り越えた後、俺は学園生活でどのように立ち振る舞うべきだろうか。


「シャ〜?」

「かわちいかわちい」


 首元からニョロリと顔を覗かせたのは両手に収まるサイズの黒ヘビくん。俺のスキルで召喚された子だ。下顎を人差し指で撫でると、彼は気持ちよさそうに目を瞑った。

 

 俺やファフナちゃんが入学する学園は関東1のエリート校だ。スキルや知識、身体能力を鍛え上げて将来的には魔物を討伐したり、諸外国と外交したり、国を守る立場へとなる為の育成機関となっている。

 原作ではドスケベクズ野郎として一瞬で終えた出番と学園生活だ。実に勿体無いことをしたよあっちの俺は。

 モブ生徒もとい一般男子生徒として生活出来れば1番気楽なのだろう。


「でもなぁ。折角、前世の記憶があるんだし…」


折角の転生、折角の原作知識持ちだ。叶うなら俺だって一度くらいはスキルバンバン使って魔物倒してみたり、ちょっぴり目立ったり、そこそこモテたりしたい。俺目立つの嫌いじゃないぜ!モテるのはもっと嫌いじゃないんだぜ!

 それに漫画の展開を知ってるからこそ、これから起きる悲劇や事件を防ぐことだって出来るはずだ。創作としての悲劇はいいスパイスだと思うけど、現実においての事件事故なんて少なければ少ない程いいに決まってる。


 他の案としては、ファフナちゃんに俺の転生を打ち明けることもありか?いや、これもなかなか綱渡りだな。

 向こうも転生した身だ。原作知識のある俺がいればファフナちゃんの頼りになること間違いなしだし、転生者という世にも珍しい立場は心強いことだろう。

 だが、問題は俺には中途半端な原作知識しかないことだ。第1話から最終回、ファンブックから作者Q&Aまで全てを知っていたならまだしも、何から何まで微妙な知識(しかもうろ覚え)しかない俺が余計な入れ知恵をしたせいで、俺の知ってる展開をぶち壊したり、もしくは俺の知らない展開を早めてしまったら。

 もしも、ファフナちゃんが俺の知識に頼り切りになったりしたら。まだ見ぬ敵キャラが原作よりも早々に登場して学校襲撃などが起きれば俺はもう役立たずだ。引っ搔き回すだけ引っ掻き回して、後はヘビを召喚するだけの心象最悪のザコが残る羽目になる。それだけはよろしくない。絶対に防ぎたい。

 そもそもとして、俺の前世とファフナの中の人って同じ世界なのか?

 俺自身は『じゃむうま』の漫画がある世界を前世に持つわけだが、ファフナの中の人は原作通りなら『じゃむうま』の作品内の地球を前世に持つわけだ。それはすなわち、イコールにならないわけで…。いや待てよ?もしかしたら向こうも俺と同じ日本から転生している可能性もなくはないのか?

 …ダメだ。頭がこんがらがってきた。俺バカだから考えたりすんの苦手なの。

 前世大公開時代は一旦止めておくとしよう。なんだか不安だ。

 ファフナちゃんの動向を見てからでも遅くねーよな。


「あっ」


 そうだ!良いことを思いついたぞ。

 ファフナちゃんの友人A枠として収まっちまえば良いんだ。そうだそれがいい!

 向こうの前世がどっちだろーと友だちが増えて悪い気はしないだろ!オレと同じ世界生まれで漫画の展開を知ってたら、俺自身のことを打ち明ければいいし!

 知らないなら知らないで、そのままわたし友だち怖くないネで完璧だ!

 友人になるメリットはかなりある。ファフナちゃんは原作でクラスの1軍グループの中心にいた。

 当然だよな。あらゆる能力に長けてて、ガワは女だけど中身は男ということもあり男子に対しての接し方も気安いし、コミュ力も高いムードメーカーだ。

 そんな絵に描いたようなクラスの人気者に、たまに良い感じの助言するタイプのモブ友人A。これ良くね?超良くね?そこそこ人気出そうだし、なかなかモテそうで良さそうだよね?

 よぉし!ひとまずの目標は決まった!

 

 ファフナちゃんの友だちに俺はなる!


 よし!出来る限り原作の記憶を思い出して、ファフナちゃんに擦り寄る準備すっか!

 …いやいや待てよ?確かファフナちゃんは、ファフナちゃんママの友だちである学園長に頼んで自身が邪龍と英雄の娘であることを隠していたんだっけか?

 両親ベタ褒め作戦はダメだな。

 あ、そういや入学試験では加減が分からなくって学園設立以来例を見ないレベルの結果を残して主席合格していたはずだ。

 原作では嫉妬や羨望の視線を向けられて、教室ではたくさんの生徒に囲まれたりしてたよな?

 …まずいな。このままじゃ擦り寄ってもただのゴマすりモブに成り下がってしまう。


 いや…というか待てよ?そもそもだが、俺が落ち葉ちゃんにスケベしないと、ファフナちゃんと落ち葉ちゃんの出会いフラグが折れるんじゃ?

 それ即ち今後のイベントフラグに影響出たりしちゃうんじゃね?まじ?俺ってやりたくもない触手プレイして、ボコられた上に退学するしか原作を守る手立てなかったりするの?

 …だ〜っ、もう!原作の俺のバカ!いっそ何も知らない方が気楽だったわ!

 あーどうしよ!まじでどーしよ!落ち葉ちゃんどーしよー!!!…アレ?


 落ち葉?落ち葉ちゃん…???


 落ち葉ちゃんてあの落ち葉ちゃん…???こんな超珍しい名前彼女しかいなくない?なくなくなくない?もしかしなくても《《彼女》》のこと?


「おーい!どっくーん!」


 噂をすれば、だ。件の彼女の声が家の外から聞こえてきた。

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