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俺は主人公の友人Aとして生きたいの!〜バトルファンタジー漫画の世界に転生した俺はTS転生した美少女主人公(中身おっさん)を狙っている訳ではない〜  作者: どかんどかん!ぱおんぱおん!
序章 前世思い出し出し祭り

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第十話 嘘と御三家とウォシュレット

 御三家ごさんけ


 それは『じゃむうま』世界の日本において、強大な権力を持つ存在だ。


 一つ。神に近しい苦渋ヶ島(くじゅうがしま)家。

 一つ。罪をみそぎしマーダー家。

 一つ。人を捨てた宍喰井ししくい家。


 御三家の人間はいずれも強力なスキルを有し、時には国や学園にすら干渉する程の力を持っている。その存在は、山奥で生活していたファフナちゃんですら知っている程だ。

 というよりも、ファフナちゃんの学園入学の手引きをしたのが御三家のうちの一つ、苦渋ヶくじゅうがしま家だったりする。ファフナちゃんママの友達がいたんだったかな?

 俺の記憶が確かなら、それぞれの家の子が学園生徒として登場していたはずだ。まぁ敵として出てくる場面もあるんだけど…。

 胡散臭そうにしているファフナちゃんに、俺は焦っているのがバレない様に取り繕いながら説明をする。


「そうなんだよ。俺は宍喰井ししくい家の使い走りなんだ。ほら、これがその証拠」


 首元に隠れていた白ヘビくんをファフナちゃんに見せた。何も分かってないヘビくんは俺の指に巻きつき甘えるばかりだ。かわいい。


「ほら、この子。俺のスキルなんだ。

 かわいいでしょ?」

「シャー?」

「…かわいい。白ヘビ?

 確か、宍喰井ししくいは動物に関するスキルに特化してると聞いているけど…。

 でもホントに?」


 嘘だよ。

 やっぱ疑われてるなぁ。

 だが宍喰井ししくい家は一族全員が動物系スキル持ちという特殊な家系だ。

 だから『蛇群召喚』のスキルを持つ俺でも誤魔化しは効くと考えた。

 それにわざわざ自分を御三家だなんて騙る命知らず、もといバカなんていやしない。俺?俺は考えて言ってるからバカじゃないよ。バカじゃないよ?

 さーて後は、俺の話術と原作知識をフル活用してどうにかしよう!そうしよう!


「ホントホントちょーホント。あ、自己紹介がまだだったね!

 俺の名前は蛇腹 独葉巳どくばみ!よろしくね!あ、キミの名前は知ってるよファフナちゃんだよね!もちろん知ってるよ!またしてもよろしく!

 好物は煮卵軍艦!キミはもちろん半熟ね!ファフナちゃんはどっち派?ちなみにゆで卵には何かけて食べるのが好き?俺はマヨが1番なんだー!マヨネーズはまじで人類の大発明だよねあれさえあればどんなもんでもだいたい食べれる。趣味は美容とヨガだよ!あ、そーだファフナちゃん、さっき見て思ったんだけどめっちゃ肌キレーだよね!どんな化粧水使ってる?俺のオススメ教えるから教えてよお願い!ファフナちゃんって体柔らかそーだよねー。これできる?I字バランス!俺できるんだー男なのにスゴイっしょ。そーいや、来週入学式だねクラス一緒だったらいいなあ。あ、他意は無いよ?俺はただファフナちゃんとともだ

「わー!もういいもういいもういい!無理に情報を詰め込もうとするな!わかったから!」

「お、わかってくれた?ちなみに苗字が違うのは俺が分家も分家の末端も末端ってのが理由ね!どうぞよろしく!」


 最後にそれっぽい理由を加えつつ握手を求めると、ファフナちゃんはなんだか疲れた様子で手をとってくれた。よろしゅうよろしゅう。わ、手スベスベ。羨ましい〜。ハンドクリームも後で教えてもらお。


「…よろしく。な、なんかドッと疲れたわ。

 はぁ〜…そう。なるほどね。

 御三家だ、なんて命知らずな嘘を吐く理由もないだろーし、一応信じてあげるわ。

 それにホントに御三家の使いなら、私の情報が共有されててもおかしくないしね」


 やったっ!信じてくれた!信じてくれたぞ〜!

 ありがとう原作知識!ありがとう賢い俺!

 ありがとう宍喰井家!でも出来たら俺の人生に関わらないで!怖いから!


「…それで?その御三家様がわざわざ何しに来たのよ」

「え?あー…そうそう。

 ファフナちゃんが訓練所に来るって聞いたからさ。

 見れるなら見たいじゃん…?龍と英雄のその力」

「…」


 我ながらよくツラツラとこんなセリフが出てくるものだと感心する。俺は間髪入れずに更に説明を加える。


「だけど、思いがけずファフナちゃんが男子トイレまで来ちゃったもんだからビックリしちゃった。

 いやはや参った参った!もう笑っちゃうしかないよ!わははははは!」

「ねぇ。楽しそうなとこ悪いけどさ」

「どしたのファフナちゃん」

「そのちゃん呼びやめてくれない?

 私たちまだ出会ったばかりでしょ」

「ファ、ファフナちゃんが冷たい…」

「あのなぁ…」


つ、冷たいよぉ。ここは北極?はたまた南極かしら。俺が己の身を抱いて震えていると、ファフナちゃんは大きな溜息を吐いた。

 悲しい。俺またなんかしちゃいました?

「あ、やば」、ふとファフナちゃんが何かに気が付いたらしく、トイレのドアの方に顔を向けた。


「ぬ?」


 何かと思い、耳を澄ませるとざわざわと男子トイレに近づく複数の男たちの声が聞こえる。ファフナちゃんはどうやらこれが気になったらしい。流石ファフナちゃん。鼻もよければ耳もいい。

 ん?待てよ。俺たちのいる場所は男子トイレで、ファフナちゃんは女の子で、もちろん俺は男の子で…。男女2人揃えばそれは即ち…。

 これ不味くない?こんな場面見られたらどうなっちゃうか…!


 キィ


「やばばば。ファフナちゃんこっち!」

「え、何…ちょわっ!?」


 ドアの開く音を耳にした瞬間、俺は思わず彼女の手を引いて2人で個室に隠れることを選んだ。

 ファフナちゃんも困惑しているが、俺の方も大慌てだ。こんな場面見られたら俺の優雅なお友だちライフに早くもキズが付いちゃうでしょ!やだよ俺!原作蛇腹RTAはーじまーるよー、じゃ無いんだよ!女子をトイレに連れ込むやべーヤツと思われたくないの俺は!


「ちょっと何…もごご!」

「し、しーっ!静かに!」


 ファフナちゃんの口を手で塞ぐ。騒がれるとよりいかがわしくなっちゃうからさ!勘弁勘弁!


「「……」」


 1分か2分か、はたまたもっと長かっただろうか。しばらく息を殺していると扉が開く音と、男たちの会話が遠くなっていく。

 人気が完全に無くなったのを感じ取り、俺は大きく息を吐いた。


「あ、危な〜…!こんなとこ見られてたらどうなるか…」

「お前さぁ…女の子個室に連れ込むのはどうかと思うぞ」


 完全に男口調に戻ったファフナちゃんにじっとりとした目を向けられた。

誤解だよ!と俺は慌てて弁解を始める。


「いやだってさ!男子トイレに男女でいるのって体裁悪くない?」

「男女で個室に入っている方がよっぽど体裁が悪いと思うけど」

「あ、それは盲点」


 た、確かにそうだ!こっちの方がよほどマズくない!?

 ハッとした思いだ!俺があんぐりと口を開けて驚いていると、ヘビくんも俺のマネしてビックリした顔をした。かわいい。


「ぷっ、なんだその顔っ!ホントに思ってもなかったの!?

 嘘でしょ!!あ、あははは!あははははは!」

「そ、そんな笑うことかよぉ」

「シャー」


 余程ツボだったらしい。

 爆笑するファフナちゃん。やっぱ可愛いなぁ。これで中身がおっさんだなんてホントーに勿体無い。


「『御魂揺るがす五天輪フィンガーリングス第一ファースト』」


 ガチャリ


 触ってもいないのに内鍵が突然開いた。

 ゆっくりと個室のドアが開き、そこに立っていたのは…


「歯を食いしばれ下衆が」

「あなこんだっ!!?」


 ごわしゃぁっ!!!!!


 ぐわぁー!?!?!?

 思い切り顔面をぶん殴られた俺は勢いよく便座に頭から突っ込んで行く。

 い、今一瞬チラリと見えた顔…。や、やっぱりファフナちゃんと一緒に来てたのかこの厄介オタク。


「驚いたな。殴られながらも戯ける程の余裕があるとは。最近の変態はユーモアもあるらしい」

「ちょ、ヴロトレキ!この人はそんなんじゃないから!…ふ、ぷふ、あ、アナコンダて」


 ちょ、心配して心配して。俺むっちゃ殴られたから。頭から便器に突っ込んでるから。


「シャー!」


 ちょ、白ヘビくん白ヘビくん。レバーを捻らないで。大の方だ!じゃないんだよ?俺の尊厳に関わるからね?


「シャー?」


 ちょ、黒ヘビくん黒ヘビくん。ウォシュレットも押さなくていいよ。そうだね。俺がいつも使ってるもんね。ありがとうね。

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