表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/20

第2話:異端のクラフトと、動き出す世界

 ……ナオヤは小さな村の広場にいた。


 魔獣を倒した直後、近くの木陰で隠れて見ていたらしい猟師に、連れてきて貰ったのだった。


「命の恩人かぁー。まぁ、確かに助けたけどさー……何で、あんなに怯えてたんだろ?」


 彼は腕に残る金属の義肢――オートリムA1の右腕部を見つめた。応急処置で作ったアームは、構造もバランスも不完全だが、エネルギーコアさえあれば稼働する。


「とりあえず、こいつのチューンから始めるか。俺のクラフトライフはここからだ」


 村では、拾ってきた金属などを買い取り、剣などに加工していた。要らなそうなパーツを売り、食料を買い。近くの森で、ナオヤは早速作業台を組み上げた。周囲には拾ってきたジャンク品、折れた魔導杖の柄、丸い盾の様な物、謎のレンズなど、ガラクタの山。


「見た目はアレだけど、中身は宝の山。なにより、こいつら――」


 《機巧分析眼ギア・スキャン》を発動。


 ナオヤの視界に、各パーツの内部構造とエネルギーの流れが図面のように浮かび上がる。それを使って、再配置と改造案を考える。


「なるほど!この杖の魔力導管……金属フレームに埋め込めば、魔力補助回路として使えるな。ロボパーツと魔導部品の合体……アツすぎる!」


 彼は歓喜の声を上げ、早速作業に入った。


 工具を作り、分解し、パーツを削り、接続部を調整して結合。魔導杖の破片をアーム内部に埋め込んで魔力の増幅器とし、コアの安定装置も追加する。


 ここまで、2日徹夜した……ナチュラルハイの状態で、試運転を始める。


「うおぉぉぉ!試運転……いっけぇええぇ!」


 ――ブゥゥン!


 新生・パワーアームが低く唸り、指先まで滑らかに稼働する。かつての不安定さが消え、今や武器としても十分すぎる完成度だ。


「ふははははっ! これが俺のロボの第一歩だっ!」


 その時、


「おいっ! 何を作ってる!? これは……禁忌の技術だろう!」


 現れたのはギルドの調査員達。腰には魔導剣、目には警戒の色。


「うわー、やっぱ来たか……」


 ナオヤは頭を掻いた。村で話を聞いてる時、この世界は魔法主流で、機械技術は“異端”として扱われる。ましてやそれを動かしたなどと知られれば、ただでは済まないと聞いていた。


「誤解だって! これは……そう、魔法仕掛けのカカシ! 近代農業用!」


「ふざけるな。お前が倒したという魔獣の痕跡、そしてその右腕……古代兵器オートリムのものと見て間違いない」


「ちょっ、待って! これ誤解、いや半分ホントだけど!」


「連行する。ギルドの審問を受けてもらう」


 ナオヤは顔をしかめる。中世風のこの世界では、人の命は軽い。加えて“ロボいじり”が即座に疑惑の対象になるとは、まったくやっかいだ。


 だが――。


「逃げてもいい?」


「足の一つでも、切り落とせ!」


 目の前で剣を抜かれた瞬間、ナオヤは後方へ跳び、ガラクタをぶちまけた。


「俺はなぁ!逃げ足には、自信があるんだ!何たって25年間、人生から逃げてきたんだからなーー!!」


 叫びながら、岩の後ろに仕込んでいた小型の二輪駆動車に飛び乗る。もちろん、ジャンクをかき集めて即席で作ったやつだ。


「いけぇええ、ジャンクライダー一号!」


 ギュイィィンと空回りしながらも、なんとか前進。村の裏道を突っ切って脱出を図る。


 その背中に、ギルドの男の声が響いた。


「機械を操る異端者! お前の存在は、この世界の秩序を乱す!」


 ――この世界は、古代の機械文明を恐れている。だが、それでも。


「やめねーよ。だってこれ、超面白いじゃん!ふははは!」


 ナオヤは笑った。楽観主義者で、どこまでも自由なクラフター。彼にとってこの混沌すら、ワクワクする冒険の始まりだった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ