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第19話:「世界を作る者」

 空が裂けた。


 雷鳴のような轟音。雲が引き裂かれ、現れたのは、漆黒の艦隊。ギルド本部直属の中枢艦隊――“執行制圧群”が、ついに姿を現した。


 艦隊中央の旗艦から、二つの影が降り立つ。


 一人は、蒼き甲冑をまとった人魔合成体の戦乙女――ギルド執行評議会第二席・クラウディア=フェルゼン。


 もう一人は、漆黒のローブに身を包み、銀髪を風に揺らす冷厳な男。

 その瞳には、全てを見通すような冷静さと、何者にも揺るがぬ信念が宿っていた。


 ギルド執行評議会・第一席。世界に“秩序”をもたらす者――アルフォート=レヴィン。


 「……来やがったな、最終ボス感全開だな!」


 ナオヤがリビルドのコックピットで苦笑した。


 クラウディアは無感情な声で告げる。


 「湊ナオヤ。汝の存在、古代禁忌技術の再構築、そしてプロト=ノワールの再起動……すべて、世界再壊の因子と認定する」


 アルフォートが続けるように言葉を重ねた。


 「この世界は一度、創造によって滅んだ。そして今、君は再び“創造”を掘り起こした。我々ギルドは、君を“創造主の最後の鍵”と見なし排除する」


 ナオヤの隣、アイナが息を呑む。


 「創造の封印……やっぱり、禁忌とされたのは技術そのものじゃない。“ノワールの記録”が問題だったのね」


 「その通りだ、灰の残響の解析士よ」


 アルフォートの声は静かで、冷たい。


 「ノワールは滅びの記録を残した。彼らは願った。“いつかこの世界に、もう一度創造の光が生まれるように”と。だが、それが再び破滅をもたらす火種となるなら、我々はその記録ごと、すべてを封印し続ける」


 ナオヤはゆっくりと立ち上がった。


 「でも俺は、それでも創りたい。壊したって、もう一度作れるんだって、証明したいんだよ」


 リビルドが応えるように、背部スラスターを起動し、光子エネルギーが螺旋状に走る。


 「《リビルド=Ω》、最終形態――起動!」


 漆黒と銀が交差する装甲。展開された二枚の光子ブレードが、リビルドの背から羽のように広がる。


 《ギア・シンク》が稼働し、周囲の魔力波と戦術パターンをリアルタイム解析。ナオヤの脳と完全同期して、思考即操作を可能とする戦闘状態に入る。


 「さぁ、ボス戦だ。二対一だろうが、全部ぶっ壊して、創り直してやるよ!」


 戦闘が始まった。


 クラウディアが次元断裂剣を振るい、空間が軋む。

 アルフォートは右手を掲げ、重力場と時間干渉を融合させた“世界干渉結界”を展開。ナオヤの攻撃経路すら歪めてくる。


 《リビルド=Ω》は、クロガネを展開した。

 日本刀の様な黒い粒子剣を構築し、カウンターでクラウディアの剣を受け止め、同時にブースト回避でアルフォートの重力断層を切り抜ける。


 「ナオヤ、左後方! 空間歪み再展開!」


 「見えてるっ!」


 《ギア・シンク》が反転アルゴリズムを走らせ、空間の捻れを“対位相”で解きほぐす。そこにエネルギーを収束、零距離射出――


 《反応爆雷・クラフトランチャー》がクラウディアを吹き飛ばす!


 だが、アルフォートがその瞬間、彼女の時間を巻き戻した。


 「……うそ、彼女の損傷が、元に戻った……?」


 「アルフォート=レヴィン……彼は、“結果を定義し直す”能力を持つ。戦闘における因果律そのものを操作する男……!」


 ナオヤは大きく息を吐いた。


 「なんて理不尽な“秩序”だよ。けどな――」


 《リビルド=Ω》の背部展開装甲が光り、黒い魔方陣――《黒破砲クロガネホウ》が現れる。


 「創造は、何度でも試して、失敗して、また挑戦できるって証明するもんなんだよ!」


 《リビルドΩカスタム・クロガネ》が咆哮のように光を放ち、ナオヤが突撃する。


 クラウディアと激突、次元断層と粒子剣が空間を引き裂き、周囲では爆発が起きる。

 アルフォートが《ラグナ・コード》を展開し、空間ごとリビルドを“排除”しようとする。


 「ナオヤ、限界ギリギリ! あと一撃でも被弾すれば、機体が……!」


 「わかってる! でもそれでも……いま、この瞬間を創りたいんだ!」


 彼は最後のコマンドを叫ぶ。


 「《Ωクラフト・レゾナンス》、起動――!」


 リビルド=Ωが、プロト=ノワールと共鳴し始める。

 失われた古代技術と、ナオヤの“意思”が融合する。


 「見せてやるよ、“世界を創る者”の力ってやつを!」


 光が爆発し、戦場が一瞬、無音に包まれた――

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