5.幼稚園での出来事 ~祖父の死
無事に退院した後最初にいつも通り日常生活を送っていたが3~4カ月した頃少しずつ祖父が幼稚園のバス停まで来ない日が続くようになった。
朝方は祖父の代わりに母と一緒に行き帰りは私一人で家まで帰る日が続くようになった。
そんな状況が続いて3カ月後ぐらいしたある日の事。
時間は15時30分頃
みずきが幼稚園から帰ると祖父がベッドで寝ていた。
昼ごはんで使用した茶碗は食堂の流しにつけてあった。
いつもならそのまま散歩に出かけたりするのだが、その日私は祖父の部屋でテレビを見ていた。
時間は16時頃
しばらくすると長男が帰ってきた。
みずきは祖父の部屋で長女と一緒にクッキーを食べた。
祖父は未だベッドで寝ている。
夕方の5時30分頃母が帰ってきた。
「おじいちゃんは?」
「私が帰った時からベッドで寝てる。」
みずきが答えた。
「おじいちゃん、いつまで寝ているの?」
「おじいちゃん!」
母の問いかけに祖父の返答はない。
18時頃祖母が帰って来た。
「おじいちゃんは?」
祖母がみずきに聞いた。
「ずっとベットで寝てる。」
祖母は異変に気付いた。
祖父はベッドで寝ていたのではない。
死んでいたのだ。
みずきは全くその事に気がつかなかった。
みずきが人の死に対して直面した最初の出来事だ。
祖母は泣いていた。
母は動揺していた。
みずきは泣かなかった。
未だ人の死がどういうものか実感がなかった。
人が死ぬというのがいまいち実感がわかない。
後日自宅にて葬式が行われた。
参加者はおよそ15名程
見た事のない親戚がいていた。
「何妙法連げっきょう~・・・。」
お坊さんが何か唱えている。
その時は皆が正座をしていた。
みずきも皆に合わせて正座をした。
暫くして足が痺れてきた。
正座がしんどかった。
足の痺れに我慢、我慢。
その後夜皆で寿司を食べた。
お寿司は美味しかった。
みずきにとって葬式とは知らない人がやってきて正座の我慢大会やお寿司の会食をする所
そんな印象であったのかもしれません