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ドルナウの街の再興に向けて ちょっと一休みですよ

 

 「ようこそいらっしゃいました!ユーリ様、イクサ様、デノン様!皆様方の御高名はかねてから伺っておりました。まさかコバディ本店にいらして下さるとは!」

 「ウフフ、いきなりの来店でしたのに、歓迎ありがとう存じます。ドルナウで1番の商店に是非ご挨拶をしたくて。でも無理をさせてしまいましたわね」

 「とんでもない!何を置いても優先させて頂きますよ!是非当店でごゆっくりお過ごし下されば、我々にとっても誉れでございます!」

 「そうですか。ではユーリ、デノン。コバディの当主ドゴス様とゆっくりお話を伺おうじゃないか。……ゆっくりとね」


 ******************


 「ええ!!昨日いないと思ったらコバディ本店に行ってたんですか?」

 

 なんと!驚く事に、昨日コバディ本店に乗り込んでいたユーリ様達。驚きで叫んでしまいましたよ。ここ高級感溢れるジュニアの「グランデバーラウンジ憩」だってのに。


 そうなんです。実は朝起きたら、エアにジュニアから連絡があったそうなんですよ。ライ君リルちゃんとの朝の癒しの時間を削り、準備をして「グランデバーラウンジ憩」に来た僕。


 既に朝食をティモの所で食べて来た3人は紅茶とほうじ茶(デノンさん最近日本茶にハマっているそうです)、僕はクロワッサンにスープにシーフードサラダとお肉を頂いて話を聞いていたんです。すると、驚きの報告があるじゃないですか!思わず立ち上がっちゃいました。


 「ほれ、トシヤ。座れ座れ、話はこっからだ」と僕の隣に座っているデノンさんが、僕の服を引っ張ります。着席した僕が思いついたのは昨日の救助活動の事。


 「……あ、もしかしてカディル人達の救助活動の邪魔をされない為ですか?」


 僕の問いににっこり笑うユーリ様にイクサ様。「それだけじゃねえけどな」とお茶を啜りながらデノンさん。


 ……そうでしたかぁ。道理で邪魔が入らない筈ですよ。一応こちらとしても、ボランティアの冒険者の方々にお願いして、カディル人達の避難の為の護衛してもらってたんですよね。勿論アインさんの指示ですよ。そしてボランティアの方々にはフリードリンクコーナーの開放をプレゼントしたんです。おかげで、今朝休憩所で寝ている方多数でしたけど。


 「まあ、書類と噂だけじゃ見えない所も見たかったんだけど、意外にもカディル人に対する以外は結構まともでね」

 「あら、貴方もそう思いました?だからこそ理由を聞き出してみたのですわ」


 イクサ様とユーリ様の感じた通り、やっている事は極端ですが、商売に関しては普通だった店主ドゴスさん(24)。まあ、口頭だけで必要な情報を聞き出せるこの方々が凄いんですけど。そしてドゴスさんの極端なカディル人嫌いの理由は……


 「はあ、隣国のゲセナに留学していたからですか……」


 どうやら10代の頃から商業に関心のあったドゴスさん。商業国のゲセナで鍛えようと思って自ら家を出ていたそうです。ゲセナは未だ奴隷制度が有る国。前店主は心配していたのですが、帰って来たらやはりその国に染まっていたドゴスさん。自分が当主になってからそれを強く押す様になり今に至るそうです。


 ……なるほど。環境が人を形造るよく有る例ですね。んー、どうしましょうねぇ。と僕が考えこむと「おまえなぁ……」と呆れるデノンさん。ん?何かしましたっけ、僕。


 「オーナー、こういう事は私達にお任せ下さいませ。その為に私達がいるのですわ」「そうだねぇ。むしろ昨日はユーリが凄く頑張ってくれたんだよ。出来たらユーリが喜ぶ事を考えてくれた方が嬉しいね」となんとも心強いユーリ様とイクサ様。いや、本当に助かってますからねぇ、ユーリ様が喜ぶものですか……


 ん?アレどうでしょうね?と僕が向かったのは……

 

 『グ♪グ♪グランデ〜♪ツ♪ツ♪ツーリスト♪グランデツーリスト♪アルコ〜♪……』


 はい!やって来ました!グランデツーリストアルコです!ユーリ様を喜ばすのってこれくらいしか出て来なかったんですけどね。


 「あれ?オーナー、久しぶりですね。もしかして新たな扉開けますか?」と正面大型モニターにアルコがヒョコッと顔を出します。


 「はい。今回はこれを開けたくて」とエアの画面を見せる僕。驚かせたいですからねぇ。ん?皆さんは知りたいですか?コレですよ!


 〈旅行先リスト〉

 1・「碧への誘い」 約2時間コース 大人1名3000ディア

                  小人1名1500ディア

 2・「古代文明への誘い」 約2時間コース

            0/10,000(魔石) MP50,000

 3・「風光明媚への誘い」 約6時間コース←コレですよ!

            0/10,000(魔石) MP60,000

 4・「風の痕跡への誘い」 冒険者専用 約12時間コース(素材持ち出し可能)大人のみ1パーティ50,000ディア

  *デモンストレーションルームクリアした冒険者のみ挑戦可能。魔導リストバンド着用必須。アルコの指示に従わない者は以後挑戦権なし。

  4.(1)《デモンストレーションルーム》1時間コース(素材持ち出し不可) 大人のみ1名5,000ディア

 5・「大地の赫への誘い」 約2時間コース

              大人1名3000ディア

              小人1名1500ディア

 6・「地底湖への誘い」  約2時間コース

            0/45,000(魔石) MP90,000

 (オーナーがパンフレット購入後新たな扉が設置されます)


 「という事でエア、こちらを設置お願いします!」

 「畏まりました。通常ですと三時間設置にかかりますが、オーナーMP10,000と魔石10,000個追加しますと、すぐに設置完了となります。いかがなさいますか?」


 なんと!即座に設置は有り難いです!魔石も余裕ありますし、これみんなも喜ぶでしょうし、上乗せ決定ですね!「畏まりました」というエアがすぐに「設置完了しました」というものですから驚く3人。「あ?」「まあ」「おや?」と声を出しています。ふふふ、まだですよ。まあ、多分僕も驚くでしょうけど……


 「はーい!新たな扉設置しましたよー!オーナーが秘密にしたいみたいですからユーリさんは特に楽しみにしてくださいね!そしてこの扉はドルナウ再興キャンペーンを実施しまして、無料で開放いたします!オーナー良いですよね?」


 また有能なAIが頼み込んできていますけど、コレには全面賛成ですね。だって花は癒されますから。さ、ユーリ様扉を開けて下さい!まあ、扉の上に答えが既に表示されていますけどね。


 「もしかして……まあ!嬉しい!「風光明媚への誘い」の扉ですわ!」


 扉の上のプレートを見て喜ぶユーリ様。ウキウキと扉を開けて入って行きます。続いてイクサ様と「今回はつまらねえなぁ」と花に興味のなさそうなデノンさんが入って行きます。でもきっと驚きの声が出るでしょうね。そう期待して順番を1番最後にした僕。


 ……おかしいですねぇ。誰の声も聞こえません。ちょっと入ってみましょうか。そう思って僕も扉をくぐると……


 目の前に広がる一面の青紫、空は雲一つ無い青空。扉から続く道の先には四面ガラス張りに「休憩喫茶」と書かれた喫茶店。少し歩くとゴンドラが駆動しているのが見えます。結構先にもまた違う色が見えますから、また違う花畑なんでしょう。


 どうやら3人共この景色に魅入っている様ですね。凄い景色には言葉も無くなりますから。でも喫茶店やゴンドラはアルコ仕様でしょうねぇ。また何やら面白いものがあるんでしょう。


 そして扉が有る場所はどうやら駅みたいです。後ろにはトロッコ列車が停車しています。ええと看板がありますね。


  フィールドアスレチック← →入り口扉←→遊覧船乗り場


 へえ!これは良いですね!結構大きい島ですし、川や湖も見えています!こーれは楽しそう!って、そういえば皆さんどうしました?


 「おい!トシヤ!何してんだ!フィールドアスレチック行くぞ!」と既にトロッコ列車に乗っているデノンさん。「私達はまずは船で島を一周してみますわ」「良いね」と肩を組みながら仲睦まじげなユーリ様とイクサ様。


 どうやらトロッコ列車は簡易AI搭載でフィールドアスレチックと遊覧船の説明を皆さん受けたみたいですね。しかし、フィールドアスレチックの方に行くことになるとは……トホホ。まぁ、二人の邪魔はしたく無いですから、運動して来ますか!


 そう思ってトロッコ列車に乗って景色を楽しむ所までは良かったんです………


 「ぎゃあああ!揺らさないで下さい!デノンさん!」

 「なーに言ってる。歩いているだけだろうが」


 まずは恐怖の崖と崖にかけられた吊り橋から始まるアスレチックコース。景色良いだけに怖さも倍増。ひえええ……


 なんとか渡り切ると最初からコレですか!という滑車付きターザンロープ。高さあり、下が川というもの。「これで身体を固定して……ここに足を乗せるんだな?」とさっさと説明を聞いて行こうとするデノンさん。うん、こうなったら楽しまねば!


 「デノンさん。こういう時にはこの掛け声が大事です!あ〜ああ〜!ですよ」とターザンといえばこれでしょうと教える僕に、ニヤッと笑って、「良いな!それ」と抵抗なく受け入れてくれるデノンさんに僕もニヤリ。


 「あーーーああーーー!」


 と思いっきりいい声で言ってくれました。これは定番でしょう!で当然僕もしっかり固定して思いっきり叫んで渡るとスッキリ。いやあ、これはいいですねえ。


 でもこれは駄目ですよ!なんですか全長300mの高低差がありすぎるローラーコースターって!アルコ仕様とはいえ怖すぎます!


 「お?これに乗ればいいんだな?」


 全てが初めてで面白いデノンさんはウキウキしながら一人用コースターに乗り込みます。「じゃ、行ってるぞー!いやっほーう!」と先に行ってしまいました。


 黄色い花畑の中をかなりのスピードで降りて行くデノンさん。「ウヒョー!おもしれー!」と楽しんでいらっしゃいます。そして自動で戻ってくる一人用コースターの乗り物。うう……覚悟を決めましょう!


 僕も乗り込みいざスタート!


 「うわあああ……あはははは!」


 最初は本気で叫んだんですが思ったより余裕があり、笑い声に変わっていた僕。綺麗な花畑の中を結構なスピードで降りていくのですが、景色も楽しめましたねぇ。


 下では「これいいな!」と楽しんでいるデノンさんに「もう一回行きたいですね!」と同意する僕。


 しかし、その後のアスレチックコースは身体を使うものだらけ。ようやくゴールに行ったかと思ったら「よし!もう一回は行くぞ!」とデノンさん。……言わなきゃ良かったです。


 まあ、でも大人も楽しめるアスレチックですから、当然子供達には人気になりますよね!いい気分転換場所を開けて良かったです。


 ただデノンさん、遊覧船とか乗ってみません?え?つまらねえ?……そうですか。僕は明日筋肉痛でしょうねぇ、と僕が弱音を吐いている頃、その遊覧船に乗っているユーリ様達ですが……


 「ユーリ。トシヤ君に言わなくて良かったのかい?隣国ゲセナの動きが不穏だって事」

 「ええ、いいのですわ。オーナーには笑顔でのんびりして頂かなくては。これだけ優しい方ですもの。私達でオーナーを守れば良いのです。……それでも、情報は常に集めておきましょう」

 「そうだね。まずはやれる事をやって行こう。私達を気遣うオーナーの為にね」


 とこんな会話をしていた事は、この時の僕は知りませんでしたが、いずれ知る事になります。

アクセスありがとうございます♪大人になっても楽しいフィールドアスレチック。全長日本一のローラーコースターには乗ってみたいものです。が、珍しく不穏な終わり方の今回。どうなるでしょうね?明日はドルナウ復興に戻ります。またトシヤが何か思いついたみたいです。宜しければ明日もアクセスしてみて下さいませ(*´꒳`*)

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