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セレクトコースでご案内です 其の参

遅くなりました^_^;

 僕は今困っています。え?スパリゾートの事じゃないですよ。


 「トシヤ様!素晴らしいですわ!流石ユーリ様イクサ様のオーナーですわね!」近い、近いですってシロカ様!


 「本当に、あんなに素晴らしい機会を下さるなんて思わなかったです」何気にシロカ様を引き離しつつも、僕を尊敬の目で見てくるキーン様。


 「凄いよ!トシヤ君!まさかエクディア山に行けるなんて!」こちらは変わらず僕に好意的なシャラさん。


 「もはやトシヤ様とお呼びした方がいいでしょう」僕の前で跪くネイサンギルド長。うわあ!立って下さいって!


 四人とも「大地の赫への誘い」から僕に対する態度が変わり、休憩所に戻って来てからこんな感じなんです。あああ、むず痒いったら!あわあわと困っている僕の様子を見ているユーリ様とイクサ様は……


 「まぁ、うふふ。あれだけギルドが熱望していた地を見せられるとそうなりますわね」

 「そうだね、ユーリ。改めてオーナーの力の再確認にもなったよ。だが、我らのオーナーはそういった態度はお望みではないらしい。そろそろ助けに行かないかい?」

 「そうですわね。でも本来はこの態度が普通なんですけど、オーナーは未だ一般人と思っていらっしゃいますもの」


 と話していたとか。僕といえば、二人が間に入ってくれて助かった!って思っていただけなんですけどね。とりあえずその場はユーリ様達がまとめてくれて、それぞれまた視察へと動き出す事になりました。そして商業ギルド組は宿泊施設の視察へ、冒険者ギルド組は……デノンさんが何やら二人に頼み込んでいますね。カーヤ様が「仕方ないわね」と苦笑をしていますが、どうしました?


 「頼む!トシヤ!「風の痕跡への誘い」の扉も開けてくれないか?」


 僕の前に来て頼み込むデノンさん。えええ?アレ12時間コースですよ?しかもどこの場所が開くかわかりませんし!


 「いや、パンフレットにあった絵からわかる!アレはビフラス渓谷だろ!Aランク以上の魔物がゴロゴロしている魔境地帯だ!だが、今回の事で確信した!「アルコ」で行けば命は確実に落とす事はない!行かせてくれ!頼む!」


 何と!デノンさんが僕に頭を下げてまで頼み込んできたじゃないですか!しかもそのデノンさんの隣に寄り添うカーヤ様も僕に頼み込んできます。


 「ねぇ、オーナー。……デノンの夢に協力してくれないかしら?デノン、私のために一度自分の夢をあきらめてくれたの。私を絶対一人にしないで息を引き取るまで側にいるっていう結婚の誓いの為にね。でも、この扉なら安心してデノンの夢の応援も手助けもできる。勿論その為の魔石も出すわ。……どうかしら?」


 更に何と!デノンさん男ですねぇ。好きな女性の為に夢を諦めるとは!でも何気に惚気られてますねぇ、僕。そんな事を考えながら、チラッとネイサンギルド長を見ると……ああ、この人魔物オタクでしたね。めちゃくちゃ良い笑顔しています。シャラさんは「もっちろん!こんな楽しそうな所逃す手はないよ!」とサムズアップしてます。


 それに便乗するセイロンメンバーも加わり、僕に懇願して来ますが、僕別に駄目だって言ってないんですけどねぇ。

 

 「エア?僕の魔力まだ余裕ありますよね。……お願い出来ますか?」


 僕の言葉に「よっしゃ!」「やった!」「ありがとうオーナー!」「トシヤ!これ!これ2万分の魔石になると思うぞ」と騒ぎ立つ冒険者組。デノンさんが差し出して来た魔石は、キングレッドボアの魔石です。え?魔石50,000相当になりましたよ?余ったのは使っていい?太っ腹ですねぇ。ではエア、お願いします。


 「畏まりました。では「風の痕跡への誘い」の扉を開放致します。設置まで7時間お待ち下さい」


 これには「「「「「えええええ!」」」」」と悲鳴に近い大合唱が起こります。確かに7時間は長いですねぇ。でも僕にはどうにもできませんし、皆さん待ちましょうよ。


 「まぁ、楽しみがちょっと先に伸びたと考えれば良いか」と切り替えの早いデノンさん。「じゃ、漫喫行くか」とこちらも切り替えの早いセイロンメンバー。自由ですねぇ。悔しそうにしているのはネイサンギルド長とシャラさん。流石に仕事が溜まって難しいそうです。


 結局、冒険者ギルド組も宿泊施設を見に行く事になり、二階から最上階までご案内。その後は商業ギルド組は会議室、レンタルスペース、ミニ映画館と順当に見ていき、冒険者ギルド組といえばコインランドリーに感激し、コンビニで騒ぎ、お土産コーナーで買い物をし、現在漫画喫茶にて休憩中。視察できてます?とちょっと心配になるくらいです。


 そしてそれぞれで夕飯も済ませて、現在ジュニアの「バーラウンジ・憩」に集まっています。


 「すべてが素晴らしかったですわね」とマティーニを飲みながらホウっと満足のため息を吐いているシロカ様。


 「宿泊施設も全ての基準値が格段に上で、サービスが充実しているのも驚きでした」こちらはエヴァンス地方の赤ワインを優雅に飲んでいるキーン様。


 「驚いたのはコインランドリーもだよ!アレは冒険者達の垂涎の的だね!」未だ元気なシャラさんはカンパリオレンジを飲んでいます。


 「レンタルオフィスは王都ギルド本部も必ず利用させて貰いますよ」クイっとモヒートを飲むネイサンギルド長。お、ありがとうございます。


 「商業ギルド本部でもその予定でしたわね」とホワイトレディを優雅に飲むユーリ様。


 「いずれにせよターミナルのオフィスが重要になってくると思うよ」こちらはお気に入りウィスキー白◯をロックで飲むイクサ様。


 「デノン?静かだけどどうしたの?」コトリとテーブルに飲みかけのジンフィズを置くカーヤ様。


 静かに腕を組みながら目を閉じているデノンさんの前には、ジントニックが置かれています。アレ?珍しい。カクテルはジュースだって言って余り頼まないのがデノンさんなのに。あ、因みに僕はあいも変わらずモスコミュールですよ。

 

 「あと少しなんだ……」ん?なんの事です?デノンさん。


 「あと少しで俺が夢にまで見た場所に行けるんだ!……なんていうんだこの感覚……気持ちが昂って思いが先走って落ち着かねえ。久しぶりだ……嬉しくて震えてくるってぇのは!」


 少し震えている手を見ながら興奮気味に話し出すデノンさん。そんなデノンさんの手を両手で優しく包み込むカーヤ様。「そうね、デノン。でも置いて行くのだけは許さないわよ」とにっこり笑って語りかけます。仲がいいですよね、この夫婦と思っていると、グランの館内放送が流れてきました。


 『ご来館中の皆様にご案内致します。グランデツーリストアルコにおいて、新たな扉の設置が完了致しました。「風の痕跡への誘い」をお待ちのお客様、大変お待たせ致しました。只今より受付を開始いたします。この扉は冒険者の皆様専用の扉でございます。是非この難関に挑んで下さる冒険者の皆様をお待ちしております』


 グランの館内放送に「来た!」と飛び出して行くデノンさん。でもちゃんとジントニック一気飲みしていきましたねぇ。アレで動けるのは凄いですよ。と見送る僕の横でカーヤ様が「もう!置いて行くなんて」と苦笑しながら追いかけて行きます。


 行きたそうにしているのはもう一人。「ネイサンは駄目!明日こそ仕事に行かないと!」と意外にもシャラさんがネイサンギルド長を止めています。「なんて事でしょう!こんな時に仕事があるなんて!」と嘆くネイサンギルド長。随分感情を出してくれる様になりましたねぇ。


 「仕方ないですわ。でもやるべき事をやった後は時間は取れると思いますわよ」「確かに」と穏やかに言うシロカ様とキーン様。「あー……それはそっちだからだよ」「全くです」と諦め顔のシャラさんとネイサンギルド長。うん、頑張って下さいね。


 「オーナー、では明日は商業ギルド王都本部にも出張扉の設置ですわね」

 「その後はライル王からドルナウの街への要請がきています」


 話しの区切りのいい所で、僕の秘書の様に動いて下さるユーリ様とイクサ様から今後の予定の話が出て来ます。


 「ドルナウの街かぁ……」「支援が必要ですからね」


 シャラさんとネイサンギルド長の表情が少し暗くなるのも仕方ありません。覚えていますか?ジウ様の帰りに出会った魔物達が襲った半壊した街を。その街がドルナウの街です。近隣であるセクト支部のサムさんとブライトギルド長も既に支援に動いています。


 「僕らはドルナウの街の商業、冒険者ギルドに出張扉を設置するだけでいいのでしょうか?」

 「そこから先は王家の指示の元、私達が動きますわ」

 「職人達も依頼済みですから」


 もう少し何か力になれないかを考える僕の言葉に、頼もしい言葉を語るシロカ様とキーン様。


 「こちらも依頼かけてますから、そろそろ集まっている頃でしょう」「人員なら問題ないね」


 ネイサンギルド長とシャラさんが更に心強い事を教えて下さいます。王都の冒険者ギルドでも既に行動はとっているみたいですね。


 ……崩壊は一瞬でも復興は時間のかかるものです。

 僕に出来る事は出張扉の設置。

 でも他にも出来る事はあるはずです。


 ん?……そういえばいいのがありましたねぇ。

アクセスありがとうございます!さて新しい扉が開いたり、ドルナウという街が出てきたり、何かトシヤが思いついたりと新しい事が次々と起こります。明日トシヤはどう動くでしょう?明日はもっと早めに投稿しますよ〜!宜しければアクセスしてみて下さい。そしていいねは作者の明日への糧になります。どうか少しでも良いと思ったなら作者に力を下さいませ╰(*´︶`*)╯♡

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