セレクトコースでご案内です 其の壱
「まずは冒険者の体格にも対応するこのミニバン!DOD◯E GR◯ND CARAVANだ!ボディは全長5mオーバー、全幅も約2mのたっぷりサイズ!一列目二列目がキャプテンシート!何よりパーティメンバーによってシートのアレンジが多彩!極め付けが後部取り付け亜空間トランクだ!容量はほぼ無限!どうだ、ネイサン!」
「これはいいですね。ですがレンタルとは?」
「おっ前そこからかよ!いいか?……」
はい、現在僕らはグランデターミナルレンタカーショップに来ています。デノンさんが冒険者におススメの車をネイサンギルド長に説明していますね。でもレンタルなどなかなか聞きなれない言葉にネイサンギルド長やシャラさんから質問が飛ぶ飛ぶ。レンも含めて対応中です。ん?シロカギルド長の方ですか?そこはユーリ様が担当して下さっています。
「移動する商人にとって必要なものは、馬車の容量と安全性ですわ。もしそれが一台で補えるとしたら?こちらに用意させて頂いたTO◯OTA Si◯nnaは約全長5,170mm×全幅1,994mm×全高1,740ですわ。大型のエンジンは最大出力243馬力で、1,600kgの牽引に対応するほどの力を持っていますの。でも後部に取り付けられた亜空間トランクがありますし、駆動力に積載量の問題は何一つありませんのよ。そして安全性の事ですわね、あなたお願いしますわ」
「長期レンタルによるオプションが付くんだよ。「亜空間車庫」はサービスだが、他に「広範囲探知機能」「TCS」*があるんだけど、この二つは必須だね。この機能は魔物や盗賊と車体が接触する事を防ぐ制御機能なんだ。魔物や盗賊を感知すると、車体を亜空間が包み込み駆動力を上げて突破するんだ。勿論衝突による衝撃はこちらには一切ないよ」
こちらではユーリ様とイクサ様がタブレットを活用しながらより専門的な案内が入ってますねぇ。え?僕ですか。いつでも両方をサポート出来る様にエアを準備してますよ。そもそもなんでこんな感じになったのか気になりますよね。ちょっと時間を戻しましょうか。
作者より *これは本作の仕様で現実とは違いますのでご了承下さい。
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「今回の案内は冒険者ギルドと商業ギルドにそれぞれ関係のある場所を選んでご案内したいと思います。そしてそれぞれに案内人をおつけします」
あのあと、僕はパスポート型出張扉を設置。新しく来訪する四人のパスポートを申請、入館登録をした後入る前に説明をしています。
「あら、貴方様がご案内して下さるのでは?」
「シロカ様、僕のホテルやターミナルでは来訪者すべてに笑顔になって頂きたいのです。そうなると、シロカ様商業ギルド側の案内は、同じ商業ギルド経験者であり敬愛するユーリ様とイクサ様に案内して頂いた方がより、ギルドの為やシロカ様の喜びに繋がる事でしょう」
「ってなるとネイサン、シャラは俺とカーヤで案内だな。ネイサンが尊敬しているのは俺って聞いてたし」
「だっ誰がそんな事を?デノンさんの様になってはならないと言っているだけですよ」
「まぁまぁ、恥ずかしがるな。案内してやっから」
シロカ様の質問に返答する僕の言葉に、デノンさんカーヤ様が乗ってくれます。既にデノンさん、ネイサンギルド長と肩組んで連れて行こうとしています。ちょっと待って下さい!デノンさん!渡す物ありますから。あ、ユーリ様イクサ様は笑顔で頷いて下さいますね。流石の対応力。
案内役の四人に説明の補佐にと準備していたタブレットPCを渡します。王都のギルドの人達の案内は元々お願いする予定でいたんです。だって……
「成る程。使用している第三者が案内する事によってこの施設の実際の評価が聞けるからですね」とキーン様。ニコニコとしながら僕の意図を汲んでくれます。ん?誰です?楽したいからって言ってる人は!そう言う事は思っていても黙っているものですよ。
とまぁ、僕の事は置いといて、まずは共通する場所から見ていきましょう。で、移動したのが、デノンさん推しの「レン」の所です。今、二組が実際に乗り心地を試しに行っていますねぇ。ん?ゼノさん何かレンと交渉してます。あ、なんか乗りたい車あるって言ってましたしねぇ。
「よっしゃ!今なら試せるんじゃないかと思っていたんだよ!」
何か喜んでいますからね。交渉が上手く行ったんでしょう。で、現れたのが……え?キャンピングカー?
「オーナー、最近追加されたっすよ。レンタルキャンピングカーサイト。で、ゼノさんがボルクさんより詳しくなるならこれだって、結構見に来てたっす。で、最近追加されたばかりなんで、キャンペーンないかって言われたっすから、どうせなら試乗してもらう事にしたっす」とレンから報告が。
ワクワクゼノさん曰く……
「凄えんだぜ!キャンピングカーの全種類がレンタル出来んだ!フルコン、バスコンまであるんだ!いつかは使ってみてえんだけど、道が道だからなぁ。キャブコンが精一杯だろ」
ええと、興奮しているゼノさんの補足をレンにしてもらいましょうか。
「ええと、フルコン(フルコンバージョン)は専用のフレームやエンジンを用いて一から作られたキャンピングカーっす。キャンピングカーの最高峰っすね。自宅と変わらないような快適性があるっすよ。
バスコン(バスコンバージョン)はバスやマイクロバスなどをベースにしたキャンピングカーっす。バスの外観のまま内装をキャンピングカー仕様に作り変えているっすからゆったりと奥行きのある居住空間が特徴っすね。
キャブコン(キャブコンバージョン)はトラックの運転席部分を残してボディ部分に居住スペースを取り付けたキャンピングカーっすよ。「キャンピングカーといえばこれ!」というような王道のタイプっす。広い居住空間を確保できるっすよ」
レンによると他にも4種類あるみたいですが、ゼノさんがお願いしたキャンピングカーはセイロンのみんなにも好評みたいですし、いずれ紹介できますね。
お、みんな戻ってきたみたいです。今度はキャンピングカーにみんな集まっちゃいましたねぇ。おや?シャラさんが僕の方に走ってきますよ。どうしました?
「凄いねえ、僕こんな乗り物初めてだよ!面白かったけど、うちの冒険者にはもったいないなぁ。でもギルドが認めた冒険者だけにすれば良いんだもんね!なんか面白くなってきた!」
笑顔のシャラさんは既に好感触ですね。ネイサンギルド長は表情はあまり変わってませんが。シロカ様の方は……あ、さっきまで凄い笑顔だったのに、僕と目が合った瞬間普通の表情になりましたね。キーン様が代わりに僕に笑顔で頷いて下さいました。うーん、両方のギルド長はなかなか手強そうですね。
ではそろそろ次にいきましょう。
「冒険者にとって身体は資本だ!怪我した時、どうしようもない病気の時に役立つのがここ!グランデターミナルクリニック、通称GTCだ!とりわけ今日案内するのは薬局だな」
デノンさんが連れてきたのは「ニック」ではなく「ヤク」の方ですね。あ、ユーリ様達もこちらにきました。商人にとっても薬は重要ですからね。
「あ、いらっしゃいませ。今日は大勢ですね。何をお求めですか?」
ヤクはモニターの中でいつも通り接客です。「すまん、ヤク。手軽に持ち運び出来る薬いくつか紹介してくれるか?」とデノンさん。久々の登場に喜ぶ「ヤク」からいくつか薬の紹介があります。
「そうですね。まずは基本は身体の活性化を促すものからいきましょうか。ポーションは1日に飲める量が決まってますし、急激な回復は身体に負担かかりますから、疲労回復薬、肩凝り、腰痛、頭痛薬、睡眠薬、目薬なんてどうですか?全て効き目は1日、比較的効果はすぐに現れますし、身体の負担はありません。
冒険者にはやっぱり回復薬ですね。万能毒消しドリンク、傷薬軟膏タイプ、後はヒールポーションです。即効性で安全安心のヤク印!お値段もこちら!」
いつのまにか商売してますよ、ヤク。冒険者ギルド組も商業ギルド組も前のめりでヤクに質問してます。これはヤク印も王都で流通しそうですねぇ。まあ、既存の薬屋との折り合いはギルドにお任せですね。……それにしても結構なお買い上げです。「ありがとうございまっす!」とご機嫌なヤクの声に見送られるまで、結構かかりました。
そしてやっぱり両ギルドともレンタルオフィスが気になるみたいです。じゃ、先に借りているセクト支部に訪問してみましょう。
「うわ!なんでネイサンがいるんだ!は?シャラ?って事は王都とも繋がったのか?」と突然の訪問に驚くブライトギルド長。いや、アポイント取ろうとしたんですよ。でもデノンさん、ネイサンギルド長二人とも直接行った方がわかるって言うんです。
「だー!いきなり来てあちこちいじるな!あ、シャラ!それ俺の秘蔵の酒!隠してたのバレたらヤンに取られちまう!」「ほほう、神聖な職場になんて物持ち込んでいるんです?」
ああ、なんか見つかったみたいですねえ。ええと、仲は良いみたいですよ、セクト支部と王都本部。でもブライトギルド長なかなか顔出さないからシャラさんやデノンさんに遊ばれてます。ネイサンギルド長はしっかり案内してもらってますね。流石です。
一方しっかりアポイントをとってから訪問したユーリ様サイド。シロカ様とキーン様をしっかりサムさん案内してます。って言うかあれは自慢ですねえ。「ここの設備知ったら戻れないって!」とサムさん言ってますが、副ギルド長のベックさん苦労してそうです。でも真剣な表情でキーン様とシロカ様話し合っていますから、これは王都本部もレンタル来そうですね。お待ちしています。
さてそろそろお昼です。別れて見学に行く前にまずはホテルへとご案内します。全員でターミナル通路から出ると「いらっしゃいませ、ようこそ亜空間グランデホテルへ」とサーシャさん、ミラルさんの歓迎の挨拶が両ギルド組を迎えます。そして……
「はい!うえるかむふらわーをどうぞ!」「えらんでください!」
ベルボーイ、ガール姿のライ君リルちゃん。両手でカゴいっぱいの花をシロカ様達とネイサンギルド長達の前に差し出しています。凄いでしょう!うちの子達!ちゃんとできてますよ!
感動する僕をみてちょっと引いているシロカ様もいますけど気にしません。僕も貰いにいきます!
みんなの服や髪に花が飾られた頃、サーシャさんが緊張気味に案内してくれます。
「それではビュッフェレストランへご案内致します。本日は珍しいイエローギスが手に入りました。海の女王と言われるクオーク海産のイエローギスにレッドロブスターもメイン料理として提供させて頂いております。是非お試し下さいませ」
うん、サーシャさん!大丈夫ですよ、自信持って。とつい保護者目線で応援してしまう僕。呆れた顔のセイロンの面々もいますけど、シロカ様キーン様はメニューを聞いて嬉しそうに顔を見合わせています。
「ちょっと!凄いよ!ネイサン、レッドロブスターだって!」とバシバシネイサンギルド長を叩くシャラさんに、「ふむ、久しぶりにイエローギスが食べれますね」とニヤッとするネイサンギルド長。
お!これはかなり良い感触になってきました。
さあ、次は本命のホテルを味わってもらいますよ!
アクセスありがとうございます!今回は遊ばせて頂きました。私も乗りたい欲が強く全面に出てしまった^_^;ホテルやターミナルの案内は毎回違う様に書こうとしていますが、そろそろ定番になってきましたねぇ。変化をつけていきたいと思います。次回はホテルの案内に世界旅行代理店で新たな扉が開きます。宜しければまたアクセスしてみて下さいませ(*´꒳`*)