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幕間ー最近のグランデホテルです

のんびり回です。

 ペチペチペチペチ……

 ……なんでしょう?小さな手が僕の顔を叩いています。


 「おきてー」「おきるのー」


 おや、ライ君リルちゃんですか?まだ「グリム一家開拓記」の時間ですよねぇ……もう少し寝させて下さいよ……そう思っているとエアからも声が聞こえます。


 「オーナー、おはようございます。ライとリルにも制服ができましたので、ご確認下さい」


 ん?制服?気になるキーワードにパチっと目を開けると、そこにはベルボーイとベルガールの制服を来たライ君リルちゃんの姿があるじゃないですか!


 「みてみてなの!」「きてみたのー!」


 クルクル回って全身を見せてくれる二人。ウチのテーマカラーのディープグリーンの帽子に金の線が入った緑のベルボーイ、ガールのジャケット、ワイシャツに赤の蝶ネクタイ、黒のスラックス。もちろん尻尾穴つき。可愛いすぎます!!


 「凄いですね!似合ってますよ!二人共!」


 ガバッと起きて二人を思わずぎゅっと抱きしめます。「きゃーなの」「はなすのー」とちょっと嫌がられましたけど、僕は満足です。そしてエアの定期報告が入ります。


 「オーナー、今日はシュバルツは王宮、ユーリ、イクサ、デノン、カーヤは既に商業ギルド冒険者ギルドに出向いております。本日の護衛はセイロンです。既に休憩所にて待機しております。また本日の来館者数は既に53名。現在コンビニに9名、漫画喫茶店に25名、1階大浴場利用に15名、休憩所にて旅行代理店オープン待ちが4名です」


 増えましたねぇ。それもそのはず。セクトの冒険者、商業ギルドの職員、グラレージュ職員、木陰の宿のみんなも利用しているんです。あ、ジウ様の屋敷からもメイドさんや、料理長さん、バスターさんも定期的に訪問してますよ。


 ジウ様達は?って思いますよね。もちろんちょくちょく来て休んでいかれています。時々屋敷に連れ戻されてますけどね。主にキリク君。クライス様はもはや常連さん。キャシーさんやクレアさんとお茶している姿もよく見ます。


 そして意外なのは……


 「いいですか、ミラル。ホテルフロントでは様々な質問や要件に臨機応変に対応する必要があるため、幅広い知識と判断力を普段から養っておくことが大切です。そしてお客様には様々な方がいらっしゃり、用意されているマニュアル通りの対応では済まないこともあります。常にお客様にとっての一番を考え、気持ちに寄り添った真摯な対応をすることが求められます」


 オーナールームを出ると、現在グランから研修中のミラルさん(12)。そう、何とミラルさんがスタッフ入りです。サーシャさんは貴族の方が来店すると、ちょっと気後れするらしくそれをみていたシュバルツ様。何回か来館されたミラルさんをスカウトされたんです。


 お貴族のお嬢様に接客ですか……とちょっと不安に思ったものの、本人が何よりやる気を出されたんです。これにはジウ様もびっくり。大人しい感じの女の子でしたからね。でも協力的なジウ様やクライス様ですし、後押ししたのは意外にもバスターさん。


 「もともとただ嫁ぐだけの存在が嫌だと申しておりましたし、王家とも繋がりのあるここのホテルならば、これからのお嬢様にとって願ってもない環境でございますから」とバスターさん。


 そうなんですよねぇ。ウチのホテルまだ一部にしか認知されていないのに、既に王家御用達なんです。あ、ほら。朝のリハビリが既に終わった車椅子のモレア様、ジュリさんと兵士さん達と共に来館です。サーシャさんは現在職員さんの対応中ですし、研修中のミラルさんの代わりに、ウチのベルボーイ、ベルガールが動きます。


 「おはようございます!モレアさま」「おはようございます!おかげんいかがですか?」


 聞きました?ライ君リルちゃんの成長ぶり!しっかり言葉話せる様になったでしょう!それでいて嬉しそうに尻尾フリフリしているんです。この可愛いお出迎えはモレア様もお気に入り。


 「まあ!ライ君、リルちゃんなんて可愛いのでしょう!素敵ですわ!ジュリ、是非この二人と写真とって下さいませ。ライル様にもお見せしたいわ」


 制服姿の二人はモレア様にも大好評!いやぁ当然ですよ。ウチの子ですから、とその様子を自慢気に見ている僕。あ、モレア様とライル様にも昨日携帯渡しているんです。なにぶん忙しいライル様。モレア様の様子は気になるものの、なかなか時間が取れないらしく、シュバルツ様が携帯を紹介していたんです。


 そして貸し出したんですけどね。おかげで僕の携帯のアドレスには、ジウ様始め高貴な方々の筆頭である王様のアドレスまで入っています。いやぁ、異世界ならではです。


 ジュリさんのぎこちない写真撮影が終わり、僕も挨拶に向かいます。うん、順調ですねぇ。良かった良かった。あ、ジュニアのところでお茶をして行くんですね。うん、ライ君リルちゃん先導して下さいね。


 エレベーターに乗って行くモレア様達を見送り、僕は休憩所へ顔を出します。マッサージチェアに乗っているヒースさんに、ゆったりお茶を飲んでいるケニーさん。コンビニで買った週刊少年誌を読んでいるハックさん。あ、今週号僕も読んでません。それ後で貸して下さいね。そして携帯ゲームに熱中しているゼノさんがいますねぇ。


 アレ?あそこにいるのはグラレージュのミセスジルバじゃないですか。声をかけに行きましょう。


 「おはようございます、ミセスジルバ」

 「まあ、トシヤさん。おはようございます」

 「今日はご家族でご来館ですか?」

 「うふふふ。会長がいつも頑張ってくれるからって、家族で世界旅行代理店に行って来いって言ってくださったんですよ。お金も負担してくれたものですから、思い切って息子夫婦と家族で来てみたんです。でもちょっと早すぎたみたいで……」


 恥ずかしそうに言うミセスジルバ。そのお膝には可愛い女の子がちょこんと座っています。「ばあば?だあれ?」と首を傾げて僕をみている女の子。うん、可愛いですねぇ。


 僕が自己紹介すると、急に改まった態度を取る息子さんご夫婦。ミセスジルバは「あらあらまぁ」と普段通りです。いやいや、普段通りで構いませんって、ただの一般人ですから。


 でも朝のメンテナンス中だったんでしょうかね、アルコは。そう思っていると、歩く歩道がヴィィィ……と動き出します。館内放送でグランが「お待たせ致しました。グランデツーリストアルコオープン致しました。本日もごゆるりとお楽しみ下さいませ」と案内が入ります。


 案内を聞いた女の子は「はやくいこう!」とミセスジルバの服を引っ張っています。「まあまあ、うふふ。楽しみねえ」と本当に嬉しそうです。息子さん夫婦も笑顔ですぐに席を立ち上がりましたしね。僕に軽く挨拶をして、四人で仲良くアルコのもとへ向かって行きました。


 「トシヤー!朝飯食べたかー?」


 四人を見送る僕の後ろからハックさんが僕に声をかけて来ます。そうでした!食べて来ます!と言う僕に「行ってら」と手をふるハックさんと笑顔のケニーさん。ヒースさんは目を閉じながら片手を上げ、ゼノさんに至っては「うおお!またかぁ!」と叫んでいます。どうやらなかなかクリアできないで難航しているみたいですねぇ。まぁ、食べてくるまでまったりしていて下さい。


 2階のGreenGardenへ行くと元気なミック君とキイからの挨拶が僕を迎えてくれます。


 「おはよう!トシヤ兄!」「おはようございます。オーナー」


 二人に挨拶を交わしながら、喫茶店の中を見ると商業ギルドの女性職員さん達や冒険者ギルドの受付嬢さん達も既にいらっしゃっています。朝はこちらで食べてから出社が流行りだとか。既に食べ終わって帰る職員さんもいらっしゃいますねぇ。嬉しい限りです。


 僕が席に着くと「はーい、トシヤ兄の分」とミック君が持って来てくれました。相変わらずの豪華さです。でも人間慣れって怖いですねぇ。これが僕の普通になってきたのですから。


 ゆっくり朝食を食べながら大型モニターを見ると、グランの館内インフォメーションが流れているところでした。そうそう現在のグランデホテルの内部はこんな感じです。


 B2 温水プール・脱衣室・簡易シャワー付き

 B1 フィットネスクラブ

 1F コインランドリー コンビニエンスストア

  お土産コーナー 大浴場 大型男女別トイレ

  オープンラウンジ・フリードリンクコーナー

  ビュッフェレストランottimo

  グランデツーリストアルコ連絡通路

  ターミナル連絡通路

 2F 漫画喫茶Green Garden

  ミニ映画館 会議室 レンタル調理室

  大型男女別トイレ

 3F カプセルホテル A・Bタイプ 大型男女別トイレ

 4F ビジネスホテル A・Bタイプ 大浴場

 5F シティホテル Aタイプ 大浴場

 6F エグゼクティブフロア 大浴場 BAR lounge憩

 7F リゾートホテル Aタイプ 大浴場


 って感じですね。いやぁ大きくなりました。ん?何で部屋が移動しているのかって?グランもバージョンアップしていたんです。グランのメイン画面に、コレが追加されていたのを最近見つけました。


 《亜空間グランデホテル設定》

 《追加オプション》

 《トランクルーム》

 《入館者登録》

 《入館者状況確認》

 《館内カスタム設定》←コレ!


 既に設置済みの施設の配置替えが出来る機能追加されていたんです!おかげでなんかスッキリしましたねぇ。で、護衛のみんなの部屋もビジネスホテルAタイプになっています。シティホテルのAでもいいんですよ?と言ったら「貴族と一緒になるのは気が休まらん」とガレムさん。みんなも一緒らしく現在4Fがほぼ護衛専用になっています。


 ふう、美味しかったです。さて……


 ミック君に後はお任せして、喫茶店コーナーをでるとゲームコーナーから「うおおお!やったぁ!」と声がします。アレはザックさん?今日は王都のギルドの依頼見に行って居るはずなんですが……あ、ティアさんが来ましたね。「待て!ティア!もうちょっとなんだぁああ!」……ええと、耳引っ張って連れて行かれましたね。うん、頑張って下さい。


 漫画コーナーには今日の非番の職員さんやエルさんやリーヤの姿も見えます。あの二人は今休憩中でしょう。リーヤはなぜか「簡単今日の晩御飯」って主婦が見そうなものを見てます。あ、でもいい料理のコツがついてますもんね。エルさんは悪役令嬢シリーズですね。ハマっているって言ってましたから。まぁ、遅刻しない様に気をつけて下さい。


 そんな事を考えながら2階から降りてくると、「おっそーい!」とケニーさんからお叱りの言葉が。アレ?急ぎでしたっけ?


 「まずは今日王都の冒険者ギルドから設置しに行くんでしょ。駄目よ!カーヤ様待たせちゃ!」


 おや?ケニーさんもカーヤ様の魅力に捕まりましたか。その横で「デノン師匠の立場ねえなぁ」と苦笑いのゼノさん。「あ、トシヤ!今週号休憩所に寄付しておくわ。誰か読むだろ」とハックさん。あ、僕読みますって、と雑誌を受け取ります。ヒースさんはコーヒーまだ飲んでますねぇ。流石マイペース。


 「じゃ、まずは王都の両ギルドに出張扉設置でしたっけ?」と聞く僕。


 「お前が当事者だろうが!ったく、トシヤらしいけどな」とハックさん。


 「先に冒険者ギルド、次に商業ギルドだ。これが終わればまたレンタカーの旅だな」といつのまにか来ていたヒースさん。


 「俺乗りたい車あるんだよなぁ」とゼノさん。


 「ボルク説得しなさいよ」とケニーさん。


 そうですねえ、とホテル玄関にのんびり歩き出す僕ら。


 さて、お待たせしました。本編に戻りますよ。……詳しくは明日になりますけど。

アクセスありがとうございます!今回は最近書いてなかったホテルの様子です。ただのんびり回が書きたかっただけなんですけどね(〃ω〃)明日本編に戻ります。宜しければまたアクセスしてみて下さい(*´꒳`*)

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