ジウ様のホーム ブルックスの街到着です
今日も何とかセーフε-(´∀`; )
「では、オーナー。少し先行させて頂きますが、必ず何か新しい施設を設置したら携帯に連絡して下さいね。必ずですよ」
シュバルツ様が何回も念を押して来ます。でも夜帰ってくるじゃないですか……え?何も言ってませんよ僕。
ジウ様達との交流があった宴会の次の日。外にはオリジナル扉のついたFO◯D EXPLORER PLA◯INUM車の隣にもう一台。
「これも良いだろう?」
「L◯XUS ◯X450h+ですか。コレも乗ってみたいものだったんですが、先を越されましたか」
「ふふ〜ん、お前ばっかり良いの乗りやがって狡いからなぁ。どうせ俺ら持ちだから、いっその事俺も乗りたいもの乗って行こうと思ってな」
車の前ではデノンさんがボルクさんに自慢してますね。確かに格好良いですからね。コレはレンに語って貰いましょう。
「L◯XUS ◯X450h+はハイブリッド車のモデル名に「h」の文字を与えて来たっすけど、◯X450h+の「+」は外部電源から充電できるPHEVであることを示すっす。ウチの場合は魔力充電可能っすよ。
軽く2トンを超えるヘビー級の車体でありながら、重厚というよりも、ふわりと軽い天女の羽衣のような乗り心地っす。静粛性の高さとこの乗り心地によって、まさにプレミアムSUVにふさわしい車体っすね。
勿論俺っちやグラン達にいつでも接続可能。広範囲の魔物検知機能から衝突回避のドライブアシスト搭載。自動運転可能なAIも搭載してるっすよ。
今回シュバルツ様達が一ヶ月レンタルによって専用出張扉の設置も出来たっす。でも通行パスポート申請機は今回のみ無しっす。邪魔っすから」
そうなんです。出張扉も設置済みなんですが、シュバルツ様達代金もポンと出してくれたんですよ。ノーブルな方々はなんて恐ろしいって思いましたね。
ここまでで予想出来た方は多いでしょうね。そう、明らかにおかしい魔物が出現した事により、サムさん始めシュバルツ様達も何かを感じとったみたいなんです。
それでここから二手に別れる事になったんです。僕らはまずは領主様を無事にお届けしてから王都へ向かいますが、シュバルツ様、ユーリ様、イクサ様、デノンさん、カーヤ様は王都に先行し情報収集することになったんですよ。昨日も居たブライトギルド長とヤンさん冒険者ギルド組は、近隣のギルドに緊急連絡取ってくれるみたいですし。皆さん動きが早い。
因みにシュバルツ様達に護衛は?と聞いたら「俺いるし、カーヤいるし十分だろ」という本人談と「俺らより強い師匠に護衛いるか?」とゼノさん。確かに……このやりとりの後、デノンさんにあのゼノさん抑え込まれてましたしねぇ。「嬉しい事言うじゃねえか!」ってデノンさん、ゼノさんおちる寸前ですって。
それに連絡手段としての携帯は常備してますし、何より夜は帰って来ますからね。そうそう言い忘れてましたが、長期レンタルの場合「亜空間車庫」がサービスとしてつくんです。コレに入れておけば車自体も安全安心なんですよ。凄いでしょう!
という事で上機嫌で乗り込んだデノンさん達を見送り、僕らもジウ様のホーム「ブルックスの街」へ向かいます。
道中は昨日とは違ってゆったりしたものです。僕は一応オーナールームで待機していたのですが、呼ばれる事無く無事に「ブルックスの街」が見えたそうですよ。流石にここからはジウ様とバスターさんに乗って貰う為グレッグさん、ケニーさんはホテルに戻って来ました。
奥様やキリク君はまだエグゼクティブフロアで待機です。領主邸に着いてからで十分ですからね。なんか見たい物ありすぎて「もっとゆっくりで良いですわ」「着いてもまだ泊まりたい!」と言っているそうです。映画にハマりましたねぇ。
さて、ジウ様のホームはどんな街かと言うと、バスターさんが説明してくれました。
「ブルックスの街は、強固な城壁に囲まれた街でございます。内部は街全体がモノトーンで統一された建物で埋め尽くされ美観の街とも言われております。特産の果樹レスカを使ったジュースや料理も豊富でございます」
だそうです。あ、レスカってレモンとマンゴー合わせた感じですね。なかなか美味しいですよ。早速ティモのビュッフェで出てました。
車で城壁に近づくと、門番の兵士さんが大慌てで武装して出て来ました。まあ、そうなりますよねぇ。そこでバスターさんが登場。事情を説明して通ることが出来ました。なんて言ったんでしょうね?バスターさん。
馬車通りを車で走行すると、街の皆さんの視線が凄い事。でも前と後ろに兵士さん達が護衛している事から、領主様が帰って来た事がわかったのでしょう。
「ジウ様ー!お帰りなさいませ!」「ご無事のご帰還安心しました!」「ジウ様!今日もいいレスカ届けましたよ!」「領主邸に新鮮な野菜も届けましたから!」「また食べに来て下さいよー!」
街の人から声をかけられるジウ様。人気者ですねぇ。行く先々で声を掛けられながらゆっくり進んで行くと、小高い丘に立派な屋敷がありました。あそこが領主邸ですね。
領主邸に着くと先触れが行っていたのでしょう。メイドさん達や成年前の子供二人が待っていました。長男さんと長女さんでしょうかね。「お帰りなさいませ!」メイドさん達が一斉にお辞儀をしてお迎えです。
バスターさんが先に車から降り、護衛四人、メイド長、ニーナさんが降ります。その後にキリク君、ジウ様、クライス様が降りて行くと……待っていた長男さんと長女さんがお出迎えです。
「お父様、お母様、キリク。ご無事でのお帰りをお待ちしておりました」
立派な挨拶は長男のイリス君、14歳。青い髪の格好いい青年です。
「お帰りなさいませ。お父様、お母様、キリク」
綺麗なカーテシーをしながら挨拶するのは長女のミラルさん、12歳。ストレートロングが似合う綺麗な女の子です。
「ああ、ただいま。イリス、ミラル。紹介したい人がいるんだ。トシヤ君降りて来てくれるかい?」
僕も呼ばれる事はわかっていたので、車から外に出ます。運転席と助手席から、ボルクさんゼノさんが僕の護衛として出て来てくれました。ジウ様の近くまで行くと、ジウ様が僕をみんなに紹介して下さいます。
「これから長い付き合いになるトシヤ君だ。是非みんな顔を覚えておいて欲しい」
ジウ様に紹介された後、僕も自己紹介をし、早速領主邸の中へ移動します。あ、車はエアがレンに頼んで亜空間車庫に入れましたよ。「!!」といきなり消えた車に驚くメイドさん達。でも流石領主邸クオリティ。誰一人声に出しませんでした。
そう、実はジウ様からも専用出張扉をつけて欲しいと言われているんです。そうじゃなきゃ、クライス様キリク君降りて来てくれなかったんですよ。ジウ様からも「イリスとミラルにも体験させてあげたくてね」とお願いされていましたし。
と言う事で、エグゼクティブフロアの年間パスポートを家族分購入済みのジウ様ご一家。お買い上げありがとうございます。流石に出張扉分は領主邸に戻ってからと言う事で、僕も一先ず領主邸の中へ。
応接室に通されて椅子に座り、バスターさんが持ってくる魔石を待っていると……
「あの格好いい乗り物は何ですか?」「なぜいきなり消えたんです?」「お母様達からいい匂いがしましたの」とイリス君とミラルさんから質問が次々と飛び出して来ます。
ジウ様が「これこれ、お前達」と止めてくれましたが、「うふふ」「へへ」っと少し自慢げなクライス様にキリク君。これは扉をつけたらイリス君とミラルさんもホテルにご案内ですねぇ。
「ではトシヤ様、こちらの魔石をお納め下さいませ」
しばらくしてバスターさんが持ってきた大きめの魔石。なんの魔石か聞いてみると、アストラルワイバーンの魔石だそうです。星が流れる様に素早く凶暴なワイバーンで危険度はAAランク。以前オークションに出ていたものをジウ様のお爺様が競り落としたものらしいですよ。
「こんな貴重な物いいのですか?」
「トシヤ君。君のホテルと亜空間通路の将来性を考えたら安い物だよ。それよりも無事に設置出来そうかい?」
思わず確認した僕にジウ様が嬉しい言葉をくれます。でもそうですね。いくつになるでしょうか。エアに頼んで取り込んで貰います。するとエアから報告が入りました。
「この魔石はAランク魔石300個相当に値します。現在オーナーが所持している魔石と合わせますと、総合計1,210,350個相当になりました。この部屋に出張扉を設置致しますか?」
おお、結構行きましたね。エアの質問に「設置するお部屋までご案内致します」とバスターさんがすぐに答えて下さいます。そのまま移動する僕らに領主御一家もついて来て、通されたのはバスターさんの部屋の隣りの部屋。
これには領主側から、「う!」「えぇ!」「まぁ……」と言う声が聞こえて来ます。バスターさん曰く「無闇に遊びに行かれては困りますので、こちらで決定させて頂きました」との事。
貴族は貴族なりに忙しいみたいですしね。執事として管理しておきたいのでしょう。バスターさんも大変ですねぇ。
エアにお願いして出張扉を設置すると、スウッと出てくる出張扉とこの扉専用の通行パスポート申請機。この屋敷では入館登録はバスターさんにお任せした方がいいでしょう。携帯を渡しておきますね。使い方はいつでもウチに習いに来て下さい。
さてもう一度ホテルに戻りましょうか。そう言う僕の後ろを領主御一家が付いて行こうとすると、バスターさんから待ったがかかります。
「お待ち下さいませ。ジウ様、クライス様は屋敷でのお仕事が溜まっております。キリク様はお休みしていた分のお勉強が先でございます」
これには「ええ!もうかい?」「まあ、明日ではダメですの?」「明日からちゃんとやるよ!」と懇願する3人。「十分お休み頂いたかと存じ上げます。故に今から夕食までの間御三方には取り組んで頂きます」とバスターさん強し。
「僕らだけでも大丈夫です!」「私は今日の分は済ませましたわ」と嬉しそうに言うイリス君とミラルさん。どうやらメイド長とニーナさんが一緒に付いて来るそうです。
残念そうな顔のジウ様から年間パスポートを受け取り、バスターさんから入館登録をしてもらった二人。ワクワクしているのが伝わって来ますねぇ。
「では、イリス君、ミラルさん行きましょう。我が亜空間グランデホテルへご案内致します!」
……あ、付いて来ては駄目ですよ、キリク君。しっかり勉強して下さいね。
アクセスありがとうございます!やっぱり領主邸にも出張扉設置です。新たな登場人物も増えてますます賑やかになっていきます。明日は王都に向けて出発デス。え?シュバルツ様達が先行しているからいいんじゃないかって?いやぁ、ボルクさんが許しませんよ。と言う事で明日もまた頑張ります。宜しければアクセスしてみて下さいませ(*´꒳`*)