亜空間通路クリニック設置しました
ちょっと短めです。
『グリム!手を離すな!』
『お父さん!お父さんまで一緒に落ちちゃう!手を離して!』
『馬鹿言うな!絶対離さないからな!』
『ナレーション:手を離せばグリムは崖から真っ逆さまに落ちてしまう。崖の下は未知の領域。しかし無情な雨が二人の絆を少しずつ引き離そうとする。そして……その時は来た』
『きゃあああああ!!』
『グリムー!』
『ナレーション:父の手から離れてしまったグリム。果たしてグリムはどうなるのか!待て、次回!』
「「「グリム〜!!」」」
大丈夫でしょうか!?グリムは崖から落ちてしまいました。結構高そうな崖でしたよ。
「グリムどうなるの?」「グリムしんじゃうの?」
心配そうなライ君に泣きそうなリルちゃん。
「大丈夫ですよ。困難に負けないグリムですよ。きっと無事です」
僕は二人の頭を撫でて安心させます。「うん!」「そうなの!グリムちゃんすごいの!」と笑顔になる二人。素直な子達です、ウチの子可愛いでしょう。
まあ、朝の子供向けアニメの話ですけどね。意外に侮れません。僕も一緒になって見てしまいました。あ、でも実はレイナさんやケニーさん、ハックさんにグレッグさんも見ています。ライ君達がよく話すから見るようになったとか。え?なんですライ君。は?ガレムさんとジェイクさんも見てるんですか?……意外です。
まあ、朝の日課は終えたので朝食に行きましょう。着替えも済んでから見るようにしているんです。すぐに移動が出来ますからね。
僕らはオーナールームを出て、グランに挨拶をし、今日もGreen Gardenに朝食を食べにいきます。休憩所では今日の護衛の「テラ」メンバーがゆったり寛いでいます。皆さんに挨拶をして二階へ。
「おはようトシヤ兄ちゃん、ライ、リル!」「おはよう御座います、皆様」
GreenGardenに入るとミック君とキイから挨拶で迎えられます。僕らは注文せずとも席につくだけでいいですからね。楽なものです。
ライ君リルちゃんと美味しくモーニングを頂いていると、キイから報告が入ります。
「オーナー、ご報告致します。亜空間通路内レンタルオフィスにて、サム様、ベック様、ジョン様、ビル様が来訪し、年間レンタル契約手続きが完了致しました。またジウ様より亜空間通路ラウンジにて朝食後に会合依頼が入っております」
おや、サムさん達はやっぱり借りるのですね。で、ジウ様達が亜空間通路ラウンジで待ってると。どれ、急ぎましょうかね。
今日もライ君リルちゃんはミック君と一緒にキイとお勉強みたいです。一度覗いてみたんですけど、楽しく文字当てやお歌歌ってましたよ。で、勿論ホテルの事についてもお勉強してました。うーん、将来が楽しみです。さてジウ様達の所へ行きましょうか。
一階に降りてジウ様達に会う事を「テラ」のメンバーに伝えると、護衛に付いてきてくれるみたいです。「あの顔はまた何か出すぞ」とボルクさん。ん?僕顔に出てました?
正面玄関で靴を履き替え、亜空間通路へ向かいます。ターミナルラウンジにはまだジウ様達はいらっしゃいません。先に着いて良かったです。では、少しレンタルオフィスに顔出しましょうか。
レンタルオフィスの扉は開放されていて、カウンター内でビルさんが何やらゴソゴソ作業しています。
「おはようございます、ビルさん」
「やあ、トシヤ君達か。おはよう。遂に借りる事になったよ。お世話になるよ。ただねぇ……」
言い淀んで苦笑いするビルさんの理由はすぐわかりました。
「だーかーら!僕がここに居ないと始まらないでしょう!?ギルド長たる僕が!」
「いや、ギルド長がなんでこっちに来るんです?私で十分です。あなたにはあっちでいてもらわないといけないでしょうが」
「それこそベックがいれば十分じゃないか。僕は最高責任者として最先端の場所にいるべきでしょう」
「あなたには商業ギルド支部長としてあちらに残ってもらわないといけないんです!」
中ではサムさんとベックさんが言い合い中。ジョンさんは気にせず書類を運びこんでいます。
「おや?トシヤ君いらっしゃい」
マイペースに仕事を進めるジョンさんが気づいて挨拶してくれましたが、ここは大人しく引き下がりましょう。軽く頭を下げて受付に戻ります。
「あー、今日は一日中あんな感じになると思うから、こちらは気にしないで。で、多分レノがこちらに来ますから、よろしく。だけどもう一人がねぇ……」頭を抱えて悩み出したビルさん。女性達のまとめ役も大変ですねぇ。頑張って下さいと声をかけてターミナルラウンジに行くと、ジウ様達が既に到着していました。
「やあ、トシヤ君。おはよう。とても快適に過ごさせてもらったよ。おかげで調子がとても良いんだ。バスターも慢性的な肩と腰の痛みが良くなってね」
「朝から軽快に動けるのでございます。何年ぶりでございましょう。こんな爽やかな朝は」
ジウ様もバスターさんも良い笑顔で僕に感想を伝えてくれます。護衛の二人も顔色良さそうですし。なんか「テラ」のみんなが「よお」とハイタッチしながら護衛のグエルさんとビクスさんに挨拶してますねぇ。親睦が深まった様で何よりです。
「さて今日は新たな施設を設置するんだろう?私達はそれを見てから帰省しようと考えているんだ。早速見せてもらえるかい?」
「勿論ですよ、ジウ様。エア、クリニックの設置をお願い出来ますか?」
「畏まりました。クリニック・薬局 MP90,000消費致しまして設置致します」
エアの報告が終わると後方が光りだし、一瞬で収まります。今度は後ろ側?と見るとホテル入り口側にガラス張りの店舗が二店設置されています。それぞれのドアガラスには「亜空間通路クリニック」と「亜空間通路薬局」と印字されていますね。
「こうやって増設されていくのか」「初めて存じ上げました」とやっぱり冷静なジウ様とバスターさん。「うわ!」「うおっ」という護衛二人の反応が普通なんですけどね。あ、うちの護衛はまた賭けやってますよ。ええ、名前付けのです。今回の倍率は三文字が高いです。なんかバレてますねぇ。
するとエアからまた報告が。
「オーナー、亜空間通路設定の情報が更新されています。情報を開示します」と、エアが開示した情報は……
【名称】亜空間通路ターミナル
【バージョンアップ】0/1,000,000(魔石)
(第三亜空間通路)←NEW!
【限定オプション店】クリニック・薬局
グランデターミナルレンタカーショップ(亜空間外走行可)
宅配センター(亜空間外出荷可能)MP120,000
《グランデAIR(グランデ空港)MP 250,000》NEW!
*第三亜空間通路設置後開放。
【空調設備】常時 ON/(OFF) 一日消費MP500
【通路内清掃】朝、晩 ON/(OFF) 一日消費MP3,000
【清浄化機能】常時 ON/(OFF)一日消費MP600
【防臭防音機能】各通路、施設 ON/(OFF)一日消費MP300
な、なんと!第三亜空間通路に空港?!凄いの出てきました。これはますます問題案件です。便利になるのは良いんですけどね。流石に国王様に相談案件になりそうです。
あ、そういえば僕誰か忘れてませんか?
「オーナー。言った先から何してくれているんです?」
シュ、シュバルツ様。お早いお出ましで。
「グランから設置報告なければまた見過ごす所でしたね。さて、オーナー。貴方は昨日何と仰いましたか?」
ええと、その……。
どうやら僕は、氷のシュバルツを降臨させてしまった様です。内覧は明日にしましょう!僕は逃げます!
アクセスありがとうございます!はい、予想通りクリニックと薬局設置です。亜空間通路がどんどん凄い事になります。がこれはまだ本編では先の話。まずはトシヤはシュバルツ様から逃げられるのか?明日は夜の更新になります。気長〜にお待ち下されば幸いです(*´꒳`*)