領主様ご一家の訪問です 其の壱
遅くなりましたf^_^;領主組紹介の回です。
「やあ、この乗り物は良いね」
「全くです。こんなに振動がなく座り心地の良いものはなかなかございませんから」
ニコニコ顔の領主ジウ様と執事のバスターさんが、サムさんが運転するト◯タランド◯ルーザーZXに乗っています。勿論僕も一緒ですよ。そうです、僕らは「グランデターミナルレンタカーショップ」にいます。
あ、因みに、今日のこのレンタカーのセレクトはなんとデノンさん!「これ格好いいだろう!」とイチオシでした。……確か日本では泥棒さんが欲しい車No.1だった様な。三列シートで悪路走行も可能な高級SUV車ですよ。領主様だから奮発したんでしょうねぇ。
ところでなんでこっちに先に来ているかって?それはサムさんに聞いて下さい。
「え?だって出張扉の事話す為にジウ達招待するんでしょ?」
いや、全く持ってその通りです。ええ視察中ですからね、亜空間通路が先になりますよねぇ。え?忘れてなんか……はい、すみません。すっかりホテルがメインだと思ってました。
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サムさんから連絡があって、僕と護衛のセイロンが向かったのは亜空間通路です。僕達がホテルから亜空間通路に入ると、既に領主様ご一行とサムさんがいました。
「やあ、トシヤ君。お待たせ。ジウ、こちらがオーナーのトシヤ君、それにトシヤ君の護衛のセイロンのメンバーだよ。トシヤ君、こちらが領主のジウと執事のバスターだよ。後ろの二人はジウの護衛だね」
サムさんが紹介して下さったので、慌てて片膝をつき領主様に挨拶をする僕。
「お初にお目にかかります。この亜空間ターミナルとホテルを経営しております、トシヤと申します」
これで良いかな、と不安な僕に構わずすぐにサムさんが僕を立たせます。「なーにやってるの。ジウだもん、大丈夫だよ」と笑いながら言うサムさんですが、心配になって領主様の方を見るとニコニコしていますねぇ。
「全く、サムさんには敵いませんね。ああ、トシヤ君といいましたか?私は堅苦しいのが苦手でしてね。いつも通りにしていて結構ですよ」とジウ様。そんな親しみ易いジウ様はやはりダニエルさんの弟さんですね。こちらもナイスミドルな男性です。でも体格はジウさんの方がいいですかね。
「全く、少しは領主の威厳を持って下さいませ」
頭を抱えているのは片眼鏡が似合うオールバックの執事のバスターさん。セバスじゃないのが惜しいですね。白髪の執事さんです。因みに、体格のいい護衛の青年二人は、赤い短髪の方がグエルさん、緑の短髪の方がビクスさんだそうですよ。
「いいじゃないか。それよりもトシヤ君。今回は妻と三男の息子を連れてきていてね。僕が視察している間君のホテルで休ませてもらえないかい?兄のダニエルに聞いて、楽しみにしていたんだよ」
ジウ様が話し終わると商業ギルド側の扉がガチャっと開きます。
「父様?そろそろよろしいですか?」
おや、サーシャさん達と同じくらいの子が入ってきましたね。あの子がキリク君でしょうか?いいところのお坊ちゃんって感じの子です。幼いですが言葉使いはさすが綺麗ですね。
「もう少し我慢が必要ですわね、キリク。貴方、キリクが入ってきてしまいましたわ。よろしかったかしら?」
今度は綺麗なご婦人ですねぇ。奥様のクライス様でしょうか?可憐な感じの方ですね。
「ああ、大丈夫だ。おいで、キリク」
「はい、お父様」
近づいてきたキリク君を抱き上げ、隣に並んだ奥様のクライス様の頬にキスをするジウ様。ご家族仲がよろしいのですね。
「旦那様、そこはしっかりと叱って頂かないと。全く甘すぎですわ」
今度はメイドさんです!おお!生メイドさんですよ。ついテンション上がってしまいましたが、若くて綺麗な人です。しっかりしていそうですね。教育係も担っているのでしょうか?
「ニーナ。ここは邸ではないのですから、貴方もしっかりなさい」
「あ、すみません。ロクサメイド長」
やんわりとした雰囲気の30代くらいの女性でしょうか。言うべき事はきっちり言うタイプの方なんですね。それに続いて護衛の男性の方が2名入ってきます。こちらも体格の良い青年で、黒い短髪のガイさん、長めの金髪を一纏めにしているのがマックさんだそうですよ。(バスターさんが僕に紹介してくれました)
それならお待たせしてはいけませんね。グランにシュバルツ様を呼んで頂き、キリク君と奥様達のご案内を任せようとしたんですけど……
「シュバルツ様!まさか本当にこちらにいらしていたとは!」「まあ!」と畏るジウ様とクライス様。「ああ、今はグランデホテルのスタッフの一人ですからお気になさらず」というシュバルツ様とのやり取りがありましたね。まあ、元宰相に案内してもらうなんて滅多にないでしょうから驚きますか。うちでは慣れて下さいね、ジウ様クライス様。
そしてにこやかなシュバルツ様の後を、畏まりながらついていくクライス様やキリク君達を見送り僕らもようやく視察に入ります。流石は領主様。ニコニコ表情を変えずにレンタルオフィス、オープンラウンジ、貸店舗、レンタル多目的ホール、ついでに大型トイレも視察し、現在はレンタカーショップです。
「これは貴重な体験をしたね」「これで常に移動したいものです」とにこにこ冷静なジウ様とバスターさん。ここまで冷静だとなんとなく驚かしてみたいものですねぇ。するとススススッと僕の横にくるサムさん。
「トシヤ君、次はどこいくんだい?」
「次はホテルの会議室に行って、例の[街と共に歩む上質な時間]の説明をしようと思っていましたが、どうしました?」
「それも大事だけど、ここまで驚かないのも面白くないでしょう!こんなに見た事のないものだらけなのに!」
小声ですが、どうやらサムさんも驚かしてみたい様です。それは確かに。護衛の二人は声には出してないものの、表情が面白かったので、僕はまぁ良いかとも思っていたのですが。ならば……
「では、サムさんも知らないところにご案内しましょう。既に僕らグランデスタッフは経験済みですが、大変興奮を誘う施設なんですよ!ここなら……」
「大変申し訳ございません、お二方。まる聞こえでございます」
ボソボソと話していたはずですが、ポンポンと冷静なバスターさんに肩を叩かれてしまいました。見ると苦笑したジウ様と笑いを堪えている両方の護衛の姿が。
「ブハッ!駄目だあ!」「ブッ!アハハハ!ゼ、ゼノ失礼だぞ!」「ハックだって笑ってるじゃねえか!」「ちょっと二人共、領主様の前よ」と言ってるケニーさんも笑っています。やれやれと腕を組んでいるヒースさん。まだ笑いを堪えるグエルさんとビクスさん。顔真っ赤ですよ?
「バレたら仕方ない。ジウ、バスター!二人共のその余裕を絶対壊して見せるからね!と言う事で、宜しくトシヤ君」
丸投げですか、サムさん。でもこれは自信ありますよ〜。
「ではまずは当ホテルへ向かいましょう。神秘の碧い海へとご案内します」
僕の言葉に「お!やった!」「俺らまだ行ってなかったんだよな」「感動するって聞いたわ」「楽しみだ」とセイロンのメンバーはすぐに反応します。一方「なんの事かわかるかい?バスター」「いいえ存じあげません」と言う領主組。
サムさんが入館者登録を既にしてくれていたので、早速ホテルへ向かいます。すると正面入り口には既に待機していたシュバルツ様、サーシャさん。
「ようこそいらっしゃいました!」と元気な声でサーシャさんが迎えます。「ようこそ亜空間グランデホテルへ。既にご用意はできております」とシュバルツ様。
シュバルツ様流石ですねぇ。キリク君クライス様達を一階へご案内してくれています。キリク君、クライス様は待っている間それぞれ楽しんだ様で、ジウ様に怒涛の様に感想を伝え合っています。
メイド長さんから詳しく聞くバスターさんや、興奮気味に伝え合う四人の護衛の姿もありますねぇ。僕はこの様子を見るだけでなんか満足しましたが、サムさんも驚かせたいですからね。
「では皆さん、世界旅行代理店へ向かいましょう」
一旦皆さん話し合いを終わらせて僕に付いてきてもらいます。世界旅行代理店に向かう通路の歩く歩道で「うわあ!道が動いている!」と感動するキリク君。投影されている宇宙空間に驚いたり、感動したりするクライス様やメイド長やニーナさん。「これこれ、この反応だよ!」と言うサムさん。
でも流石に宇宙空間の投影には驚いたのでしょう。ジウ様口が空いてますよ。バスターさんは少し目が大きくなったの僕は見逃してません!いい感じです。まあ、護衛組はもはやワイワイ賑やかにしてますけどね。
歩く歩道の終点に着き、グランデツーリストアルコのイメージソングが僕らを迎えます。そして大型モニターに映し出される様々な景観と歓迎するアルコ。
「皆様!グランデツーリストアルコへようこそいらっしゃいました。現在「碧への誘い」の扉が開放されています。無料キャンペーン中の今がお得です。さあ!神秘の海への旅をお楽しみ下さい!」
アルコの紹介が終わると、カウンター横の通路からギイイッと扉が開く音が響きます。
「さあ、皆さん移動しましょう」
ここからは僕だけが今の所経験済みなんですよね。
さあ、皆さんも一緒に海の旅に向かいましょう!
Σ(-᷅_-᷄๑)ん?既にこんな時間!
アクセスありがとうございます!今日は領主組紹介の回までしか行けませんでした。引っ張りますねぇ。でも明日は全貌がわかります。よろしければまたアクセスしてみて下さいませ(*´꒳`*)