歓迎会をしましょう
頑張りました!(^^)/
いやぁ、いい運動をしました。身体がだるくないかって?僕はまだ若いんですから、心配はいりませんよ。
「トシヤ?何ぼやっとしてんだ?みんな集まったぞ?」
おや、ゼノさん。ありがとうございます。実は現在、僕主催の歓迎会を開始する所なんですよ。場所はグランデレストランottimo内大広間です。テーブル席には本日の主賓シュバルツ様、ユーリ様、イクサ様、デノンさん、カーヤさん始め、現在亜空間グランデホテルに関わって来た人達全員が揃っています。
「では始めましょうか!ビニー!」
「はあい!Ladies and Gentlemen!ようこそお集まり下さいました!今宵は当館に新たなスタッフが配属された記念の歓迎会です!ここに歓迎会の開催宣言をさせて頂きます!司会は最近めっきり出番が減った私ことビニーが進行させて頂きます!宜しくね!」
今日の大広間には大型スクリーンが設置されていて、そこに映像が映し出されているのですが……黒人マッチョのウィンク映像ってアップでいりますかねぇ。
「イエーイ!ビニーさん!」「ビニー!カッコイイ!」指笛と共に声援を贈るドイル君とケニーさん。意外に需要ありますね。そしてケニーさん、ビニー推しでしたか。あ、ガレムさんも頷いています。よくコンビニ行ってますもんね、ガレムさん。
「ありがとう、ありがとう!さあ、まずは当館の新人スタッフの紹介からいくわよ!呼ばれたら立って頂戴ね。まずはこの人シュバルツ・ボードン!」
「おや?私からかな?」
ノリの良いシュバルツ様がその場で立ち上がってくれます。するとスポットライトがシュバルツ様を照らします。フルネームは初めて知りましたが、ビニー呼び捨てじゃなくて、「様」をつけましょうよ。と、ヒヤヒヤする僕にお構いなく、紹介を続けるビニー。
「皆さんご存知、元宰相のシュバルツ!以前は「氷のシュバルツ」と呼ばれ、仕事に一切私情を持ち込まず、身内にも王にも臆せず言及出来た敏腕宰相!今は温厚らしいけれど、仕事になるとどうなるのか!シュバルツはグランの下につき総合管理職として腕を振るって貰う予定だ!さあ、シュバルツからも一言どうぞ!」
「おやおや、昔の情報をどこから拾ってきたんだい?……え〜では。改めまして、シュバルツ・ボードンと申します。グランさんの下、総合管理職として勤務に就かせて頂きます。サーシャさんの後輩になりますね。宜しくお願い致します」
シュバルツ様サーシャさんの方を見て笑顔で手を振っています。「わーい!シュバルツ様お願いします!」と嬉しそうな顔のサーシャさん。出来れば「氷のシュバルツ」はお控え下さいね、シュバルツ様。
代わってスポットライトはユーリ様を照らします。もはや素の野太い声で紹介するビニー。ノッてますねぇ。
「シュバルツありがとう!さてお次はこの人ユーリ・ボードン!こちらもご存知、元王都商業ギルドギルド長を務め上げた女傑!数々の曲者を笑顔で自分のペースに持ち込む「微笑みの魔女」の異名を持つユーリ!ファイの下について会議室とレンタルルームの管理を担当するわよ!さあ、ユーリからの一言どうぞ!」
「あら「微笑みの魔女」なんて懐かしいわ。ユーリ・ボードンですわ。ファイ様の下、働かせて頂きます。困った事がありましたら、どうぞお気軽に御用命下さいませ」
「微笑みの魔女」の異名を持つとは思えない優しい笑顔でユーリ様が挨拶して下さいます。しかし、心強い方がきましたねぇ。
そしてスポットライトは次のイクサ様へ移ります。
「はあい、ユーリ!ありがとう!次行くわよ!イクサ・ボードン!こちらは「鋼鉄の精神」を持つ元王都商業ギルド副ギルド長を務め上げた男!どんな対応にも動じない強者!温厚な表情の下で何を考えているのか!なんと意外な職場を希望してきたわ!ティモの下、ビュッフェレストランottimoに勤務するわよ!さあ、イクサからも一言どうぞ!」
「あ、イクサ・ボードンです。美味しい物に目がなくてねぇ。僕も料理は好きだから色々勉強させて貰います。ミック君、キイさんからも教わる事があるから一緒に学ぼうね」
穏やかなイクサ様から声をかけられて「宜しくお願いします!」と元気に挨拶するミック君。こちらも嬉しそうです。「俺達もご一緒させて頂きたい」「仕事あるだろう?親父」と羨ましそうなゼンさんにリーヤ。シュバルツ様達の歓迎会という事で、木陰の宿は今日は早々に店じまいしたそうですよ。お疲れ様です。
そしてスポットライトが当たるより早く立ち上がるデノンさん。
「よーし、俺の番だな!俺はデノン・ボードンだ!元王都冒険者ギルドのギルド長をしていた!俺の希望は「レン」さんのレンタカーショップだ!車なら俺に任せてもらえる様になるまで詳しくなってやるぜ!宜しくな!」
サムズアップを決めるデノンさん。でもそれにはビニーがご立腹。「おい!ゴラァ!勝手に進めるんじゃねえ!」と会場を振動させる声を出すビニー。いやいや、君も控えなさいって。
それでも「いやぁ、悪い悪い」と凝りてなさそうなデノンさんにコレは言っても仕方がないと思ったのか「まぁ良いわ。デノンは「レン」に任せるわ」と諦め声のビニー。ついでに「え?俺に任せるっすか?!」とレンの声もします。頑張って下さいね、レン。
そして最後にスポットライトを浴びて紹介されたのはカーヤさん。
「さあ、ラストを飾るのは元王都冒険者ギルド副ギルド長を務めたマドンナ、カーヤ・ボードン!顔に似合わず大きな男を投げ飛ばす様は女冒険者の憧れ!カーヤは「フィット」の下についてフィットネスクラブの経営の補佐をしてもらうわ!さあ、カーヤからも一言どうぞ!」
「カーヤ・ボードンです。精一杯頑張ります。宜しくお願いします」
にっこり笑って挨拶するカーヤさんに「通いますわ!」「会いに行きますね!」とキャシーさんとクレアさんから声援が。手を振り返すカーヤさんに「「「「きゃああ!!」」」」と声をあげる女性陣。ん?メイさんにフランさんまで黄色い声をあげてますねぇ。カーヤさんは笑顔で手を振りかえしています。なんか某女性劇団を思い出します。
「さあ!これで堅苦しい事はおしまいよ!みんなで飲んで騒ぎましょ!」
ビニーの言葉に「「「よっしゃあ!」」」「「待ってました!」」という冒険者組。あ、ガレムさん、ヒースさん、ジェイクさんは早速お酒とワインを持ってシュバルツ様達に近づいています。あのガレムさん?そのお酒強いですよね?ヒースさんいつの間にジュニアからワイン買っていたんです?ああ!デノンさん一気飲みして!「ああ!美味え!」ってここにもうわばみがいましたか。
スクリーンの中では名前を貰ったAIが勢揃いです。みんな来ていたんですね。ん?なんですか?ティモ。
「皆サーン!今日のメインディッシュもタックサーン食べてクダサーイ!今日はイエローボアが手に入りましたからローストボアにシテみましたヨー!マスタードソース添えて試してクダサーイ!クオーククラブもアリマスヨ!コチラはプリっとした食感をタノシムタメにサッと湯どうしシテポン酢でドーゾ!」
おお!美味しそうですねぇ!ん?キイもありますか?
「Green Gardenからもキングオークのハンバーグデミグラスソース煮と、サーロインステーキも出してます。ミック頼みますよ」「はい!キイさん!」とこちらの姉弟コンビからも今日はビュッフェに提供がありました。うーん、ジュウジュウいってますね。いい焼き加減です。
「おっと!食べている間は俺の時間っスよ。レンタカー紹介映像流しておくっス。デノンさん良く見ておくっスよ!このままじゃボルクさんに負けたままっスからね!」と「レン」がデノンさんを煽っていますね。ボルクさん「月刊レンタカー」買って読んでますからねぇ。もう僕は誰が書いたのかはツッコミませんよ。
木陰の宿の女性陣やキャシーさんクレアさんは、みんなでユーリさんとカーヤさんをご案内するみたいです。
あ、エルさんはレイナさんケニーさん、ティアさんと一緒に食べるみたいですねぇ。仲いいんですよ、あの四人。そして酒飲み班も、ガッツリ班も動き出しました。
まーたデノンさん、現ギルド長にちょっかいかけてますねぇ。なんかブライトさんも愛弟子の一人みたいですよ。それも手がかかった方の。だから構うのでしょうかね。
おや、イクサ様ミック君の手伝い早速して下さってます。しかも手つきいいですね。高貴な方でも料理するんですねぇ。
「トシヤ君隣いいかい?」
「勿論ですよシュバルツ様」
みんなの様子を見ていた僕の隣に、ワインを片手に持って近づいてきたシュバルツ様。ん?何か足りないものでもありましたかね?
「こんなに楽しい会を開催してくれて感謝するよ。ここは心から楽しめる場所だし、みんな気持ちのいい人達ばかりだね」
「そう言って貰えると嬉しいですねぇ。僕もそう思っているんです」
「うん、だからこそ私を呼んでくれて正解だ。働くのはこりごりだと思っていたんだけどね。ここは話を聞いてから興味を持っていてね。来て実感したよ。サムが言う様にここは守るべき場所だってね」
なんと、サムさんそんな事言っていたんですか。なんて嬉しいのでしょうね。
「シュバルツ様から言われるとは光栄ですよ」
「いや、これはユーリ達も一緒だろう。ここに来てからの表情がとてもいいんだ。……僕らは長寿だからこそ、やるべき事があるのが嬉しいんだ。だからこれはまずは感謝を伝えないと、と思ってね」
とウィンクするシュバルツ様。カッコイイ男はいいですねぇ。何をしていても決まります。僕がやってもいつもと同じ表情になるだけですからねぇ。あ、言ってて悲しくなりました。忘れましょう。
「これでもう一つ叶うと嬉しいんだけどね……」ボソっとシュバルツ様が呟きます。
「シュバルツ様?何を叶えたかったんです?」
「いや、この年で恥ずかしいけど、冒険が好きでね。未知との出会いが私を待っていると思うとワクワクするんだが……どうしてもいけない場所があってね。その場所に思いをつい寄せてしまうんだ」
シュバルツ様でも行けない場所ですか。どこでしょうね?と、疑問に思っているのが顔に出ていたんでしょう。「忘れてくれて良いよ。このホテルにもワクワクしているんだ。当分はかかりっきりになるだろうしね」と苦笑しながら言うシュバルツ様。
「お父さま?一緒に何かお持ちしましょうか?」
ユーリ様がシュバルツ様を気遣って声をかけに来てくれたみたいです。
「いや、取りに自分で行こう。楽しそうだしね。トシヤ君、それじゃご馳走になるよ」
そう言ってユーリ様と一緒にビュッフェフロアに歩いて行くシュバルツ様。うんうん、ゆっくり食べて下さいね。
……それにしてもシュバルツ様の願い、気になりますねぇ。
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