美味しいものは人を繋ぎます 其の壱
ランキングにまだ居させて貰ってます(*´∇`*)嬉しいなぁ。
「おいおいおい……何だここは!料理人の宝島じゃねえか!」
コンビニの調味料コーナーで、スマート端末を握り締めて叫ぶヴァントさん。一つ一つしっかり商品説明を聞いたり、わかるまで何度も聞いたり。正直リーヤより時間かかっています。サムさんに近いでしょうか。
ヴァントさん、昨日はうわばみ組とかなり飲んでいた筈なんですよ。でもこのホテルのおかげか、ヴァントさんの習慣か分かりませんが、スッキリとした表情で僕達より早く起きてました。フリードリンクコーナーで「よっ!」と声をかけられたので、「朝食をキイのところで食べませんか?」と誘ってみたんですよ。
いやぁ、喫茶店メニューをこんなに熟読する人いるんですね。喫茶レストラン「Green Garden」になってから、宿泊者は「モーニングセット」が無料なんですけど、それにも食いついてましたね。
確かに見事なんですけどね、うちのモーニング。よくアフタヌーンティーで使われる二段のケーキスタンドあるじゃないですか。あれの一段目がトーストやクロワッサン、二段目がサラダ、フルーツ、ヨーグルト、オムレツ、ベーコンなんですよ。これ一人分ですよ?
勿論飲み物かスープも付きますよ。見た目も楽しいし、量も満足です。何せこちらの人の胃袋(特に冒険者)を満足させるんですから。
そして、ヴァントさんが真剣にゆっくり味わった朝食が終わると、「トシヤ。昨日の肉の味付けに使った調味料買えるのか?」と聞いて来たのでコンビニに連れて来たんです。あ、ライくんリルちゃんは起きて来たティアさんと一緒にGreen Gardenに居ますよ。
既にヴァントさんの買い物カゴには、照り焼きに必要な醤油に味醂にお酒は勿論、焼肉のタレ、麺つゆ、味噌、ウスターソース、とんかつソース……カゴ二つ目に入りましたねぇ。店は順次補充されるので物が無くなる事はないですけど、凄い大量買いです。
「そういえばヴァントさん、今日店出さないんですか?」
「店どころじゃねえよ!新しい味を完成させるんだ!そうだ、トシヤ。昨日の調理場かしてくれねえか?」
これは早速キイの料理教室開催ですね。あ、でも一応レンタル施設です。エアに確認しましょう。
「エア、調理場を一日レンタルする場合っていくらですか?」
「はい、こちらがレンタル施設料金一覧でございます。
午前 3,600ディア(MP36)
午後 5,400ディア(MP54)
夜間 5,400ディア(MP54)
全日 13,000ディア(MP130)
*()内はオーナー専用料金。
時間延長するかについては、終了1時間前にファイが確認する予定でございます」
成る程そうでしたか。まぁ、これは計画の一環ですから僕の魔力から引いて貰いましょうか。
「何だ?金なら出すぞ?幾らだ?」
「いえ、これも僕の計画の一環ですから気にしないで研究して下さい」
「そうか?じゃ、遠慮なく借りるぜ!」
ヴァントさんはそう言ってカゴを持ってセルフレジに行き、買ったものを自分のアイテムボックスに入れます。「ちょっくら準備してくらぁ!」とウキウキとした足取りで一度正面扉から自宅に戻って行きました。うん、頑張って下さいね、ヴァントさん!
さて、僕は空間が空き寂しくなった一階部分に来ています。オープンラウンジを新設しましょうか?あと魔石はいくら在りましたかねぇ、と考えていると……
「やぁ、トシヤ君。やっと来れたよ」
と、後ろから声がかかります。
「サムさん!レノさん!と…… ?」
振り返るとサムさんとレノさんが来館していました。でももう二人いますね。誰でしょう?
「遅くなって済まないね。返事を持って来たよ」とサムさん。「但し、問題も出て来ました」と済まなそうに言うレノさん。
「もしかして私共の事でしょうか?レノさん」
髪をしっかり固めた紳士というのがピッタリの渋い男性が、レノさんに声をかけています。
「いや、俺達は話を通す前に実際に見てみたいと言っただけだぞ」
こちらは長い銀髪を後ろで一つ結びした青年が説明をしています。いやぁ、出て来る人達みんな顔がいいのは今更ですけど、ギルドの人達でしょうか?僕が不思議そうにしていると、サムさんが苦笑いして教えてくれます。
「ああ、そうだったね。トシヤ君まず紹介しよう。こちらは高級宿屋「ヴィンテージ」の主人のダニエル。そしてそっちの元気のいい青年は「バッカスの宿」の料理長ディーノだよ」
サムさんから紹介を受けたダニエルさんは「お初にお目にかかります。ヴィンテージのダニエルと申します」と綺麗な所作で挨拶をしてくれます。次いで、「バッカスの宿の調理長、ディーノだ。宜しく頼む」と無表情で手を差し出して来ます。余り感情を出さないタイプでしょうかね。
僕も「当ホテルオーナーのトシヤと申します」と挨拶をし、二人と握手をかわします。このまま立ち話も何ですし、まずはオープンラウンジに四人を連れて行き、テーブル席に四人を座らせます。僕も一つ椅子を持って来て座り、サーシャさんが給仕して下さいます。
「皆様お飲み物は如何致しますか?」
サーシャさんはさりげなくフリードリンクコーナーのメニューリストを皆さんの前に置いて行きます。おや?これいつ準備してたんでしょう?というか、サーシャさん接客着実に上手くなってきていますねぇ。
流石にアルコールを注文する方はおらず、みんな一律コーヒーを頼んでいます。サーシャさんが皆さんの前にコーヒーを置くと、サムさんが話し始めます。
「まずはトシヤ君、結果だけいえば商業ギルドは君の案におおむね賛成するという事になったよ。まぁ、まだ何だかんだ言っている連中もいるけど、今度商業ギルド上層部を連れてこちらに見学に来る予定になったんだ。
で、早速この街の宿屋の主人に話を通してみたんだけど……余りいい反応はなくてね。ただこの二人は興味を示してくれたから、今回連れて来てみたんだけど……」
サムさんが言葉を濁すので何かあったかと思ったら「可愛くないんだよ!この二人!こんだけすごい施設に表情一つ動かさないんだから!」とぷりぷりしています。
サムさんの言葉に「充分驚いていますよ、ギルド長」「右に同じ」と答えるダニエルさんとディーノさん。確かに冷静ですねぇ。
「ギルド長は置いといて、この二人は特に食に関して自信を持っています。本当に自分達が教わる必要があるのか、とまぁ確かめに来たんです。それで前回私共もその辺は確認していなかったものですから上手く説明できなくて……」とレノさん。
そういえば泊まらずにお風呂とコンビニと会議室だけ見たんですもんね。プレゼンの後はすぐギルドに戻りましたしねぇ。ふむ。キイの喫茶レストランも良いですけど、格調を求めるのなら……
「わかりました。サムさん、この二人には僕のギフトの事について説明していますか?」
「してないよ〜。驚かせたいし。あ、でもこの二人は信用できる事は保証するよ」
サムさんどんだけこの二人を驚かしたいんですか。ニヤニヤしながら僕に伝えて来ます。イタズラ好きなんですねぇ。……でもそれに乗りましょうか。
「ではダニエルさん、ディーノさん。僕のギフトをお見せしましょう。エア、バージョンアップをお願いします」
「畏まりました。【バージョンアップ】に10,000個魔石を消化しまして、シティホテル Aタイプを開放致します。現在の魔石残量は30,350個でございます。また、現在更新された《亜空間グランデホテル設定》を開示致します。
【名称】亜空間グランデホテル
【設定バージョン 5】1・カプセルホテル Aタイプ
2・カプセルホテル Bタイプ
3・ビジネスホテル Aタイプ
4・ビジネスホテル Bタイプ
5・シティホテル Aタイプ
【バージョンアップ】0/10,000(魔石数)
(シティホテル Bタイプ) NEW!
【限定オプション店】漫画喫茶「Green Garden」
コンビニエンスストア
会議室三部屋&館内Wi-Fi
(ビュッフェレストラン&大広間 MP70,000)
《(フィットネスクラブ(ジム・トレーニング器具、温水プール、脱衣室、簡易シャワー付き MP90,000)》NEW!
*シティホテル Bタイプ開放後購入可能。
【空調設備】 ON /(OFF)一日MP300消費
【室内清掃】毎朝(館内全体) ON/(OFF)一回MP4,000消費
【カプセル内防音、消臭】ON/(OFF)一日MP300消費
【音声対応設定】ON/(OFF) 初期搭載機能
こ、これは!また嬉しいものが出て来ました!館内でトレーニング出来るじゃないですか!あ、何気に運営消費MP増えていますねぇ。っていけません。後でゆっくり考えるとして……
「エア、ではビュッフェレストラン&大広間の設置をお願いします」
「畏まりました。ビュッフェレストラン&大広間をMP70,000を消費致しまして設置致します」
エアの言葉の後に光出す、休憩所隣り一階空きスペース。これには「おお!」「うおっ!」というダニエルさんとディーノさんの声がします。
光が収まり見えてきたのはどこかの高級レストランの様な入り口。白の大理石を基調とした入り口の自動ドアの向こうには、清潔感溢れ明るそうな店内がみえています。壁には「ビュッフェレストラン〈ottimo〉」と記載されています。
エアに聞いたらottimoってイタリア語でとても美味しいって意味なんですって。これは期待持てます。で、大広間はどこにできたんでしょう?っと思っていたら……
「おいおいおいおい…… 何なんだこれ!?」
と騒ぎ出すヴァントさん。あ、戻って来たんですねぇ……って、ん?
「ヴァント!お前が何でここに居る!?」「げえ!ディーノ!」
どうやら知り合いみたいですね。ディーノさんがヴァントさんと、口喧嘩を始めてしまいました。サムさんは「あちゃあ」と頭を抱えていますし、レノさんは「また始まった」と呆れています。ダニエルさんは、そんなのお構い無しに「これはこれは……」とビュッフェレストランに興味深々です。
う〜ん、これはどうしましょう?
早く中を確認したいんですけどねぇ……
(=´∀`)人(´∀`=)皆さんのおかげです!
アクセスありがとうございます!皆さんの思いが日々の更新の力になります。が、どうしても見つかる誤字脱字( ̄▽ ̄;)お世話になっております。皆さんの助けで何とか作品になっています。本当にありがとうございます♪ただ更新ぐらいしかお礼が出来ないのが申し訳ないのですが、頑張りますからね〜!なのでまた誤字を見つけましたらお願いします。m(__)m←一応何度も見てるんです、と言い訳してみたり。