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サムさんとレノさんにプレゼンテーションです 其の弐 解決案とその先と

今回はない知恵絞り出しました…… ( ̄▽ ̄;)プレゼン難しい……

 「僕のメインの考えはコレです」


 正面の大型モニターに映し出してもらったのは[街と共に歩む上質な時間]という文字です。


 「皆さんもご存知の様に僕はのんびりが好きです。人も好きですし、便利な暮らしが好きという我儘者です。その我儘を通す為に僕が提案するのはこの三つ」


 また正面モニターの画面に映し出してもらったのは……


 1・会員制

 2・分散型ホテルの設置

 3・各宿の特色強化&ポイント制


 「この三つの中で一番わからないのはなんですか?はい、ボルクさん」と難しい顔をしていたボルクさんを指名します。


 「え?俺か?……会員制はわかるが分散型ホテルって何のことだ?」

 

 確かにわかりづらいですよねぇ。あ、ライ君リルちゃん眠そうです。うんうん、君たちには時間をかけて伝えますからね。


 「2番の「分散型ホテル」ですね。それを理解する為に、今度はサムさん答えてくれますか?この街に空き家、空室、空き店舗、住んで居ない邸宅はありますか?」

 「それは勿論あるけど……更に宿屋を追い詰める気かい?」

 「いいえ、鍵は[街と共に歩む]ですよ。では全く知らない街に行って困る事はなんですか?はい、冒険者代表ゼノさん」


 ゼノさん、欠伸をしてましたからね。多分自分には関係ないとでも思っていたんでしょう。


 「うぇ!俺ぇ?……えーと、どこに泊まるかって事じゃねぇの」

 「選ぶ基準は?」

 「ウチは安さとメシの旨さだな」


 うん、「セイロン」らしいですねぇ。でも一般的な答えでしょう。


 「じゃ、ちょっと考えて下さい。綺麗な泊まるだけの貸切宿に美味しい食事所が何軒もわかる場合と、普通の食事が出来る普通のお宿の場合。宿泊の値段一緒であれば、ゼノさんはどちらを選びますか?」

 「ま〜、懐具合にもよるが、美味いメシ食える方を選ぶだろうな。宿屋はただでさえ壁が薄くてうるせえし、貸切宿なら気をつかわなくて良いしな」


 お、上手い具合に乗ってくれました。すると黙って聞いていたレノさんが、ここで声を出します。


 「これが上手く運べば近隣の料理店、屋台が潤いますね。ではより3番が気になって来ます。宿屋はどうするんですか?」


 うん、商業ギルドサイドが関心を持ってくれましたね。


 「その前に僕の持っている情報を公開しましょう。


 【館内設備】

 ・調理場[調理道具、器具、食器、空調、防音、防臭完備]MP70,000 NEW!

 ・ミニ映画館[大型モニター、座席完備、空調、防音、防臭設備完備]MP65,000 NEW!

 ・多目的作業場[長テーブル、椅子、空調、防音、防臭完備]MP15,000 NEW!

 ・大型男女別トイレ[パウダールーム、洗面所、個室20、空調、防音、防臭完備]MP30,000 NEW!


【(お土産コーナー)】0/10,000(魔石)

 亜空間グランデホテル厳選のお菓子、酒、アメニティ、お茶、コーヒー、パジャマ、ガウン、リネンなどを販売するコーナー。魔石10,000個で取得可能。


 「これは増設出来る設備です。僕は調理場を優先して設置したいと考えています。しかもこれで何ができるか?キイに答えて貰います」

 「喫茶店担当AIキイと申します。この設備が出来ましたら「料理教室」を担当する予定でございます。受講生予定は宿屋の皆さま。各宿の特色となる料理をご教授致します」


 やはりこれに一番に反応したのはリーヤです。


 「キイさんと一緒に実践できるのか!というか今まで話していたのが実現出来るのか!」


 興奮気味に反応していますが、ちょうど良いのでここはリーヤに語って貰いましょう。


 「リーヤ、キイと何を話したのか教えて貰っても良いですか?」

 「勿論だ!俺達は木陰の宿だけじゃなく、他の宿屋の食堂でも出来る料理についてずっと考えて来た。一店舗一店舗違う味を出す店についてだ。それにこれを話している時、どんなにここに調理場が有ればと思った事か!それが出来てキイさんの助けがあって、みんなが乗ってくれれば!この街は美食の街になるぞ!」


 リーヤの熱意のこもった言葉に反応したのは冒険者サイド。「良いねぇ、食べ歩きが出来る街か」「日によって食べる物と場所が変わるのも気分が変わっていいだろうな」「どこ入ってもハズレがないってスゲぇよ!」「甘いものの店も当然出来るんだろうな」と好印象です。美味しい匂いに囲まれて散策って楽しいですよねぇ。


 「はい、そこで役立つのがポイント制です。例えばお店で食事をすると一回ハンコを押すとしましょう。この街のどの店で食べても五十回ハンコを貯めると一回の食事が半額。百回貯めると亜空間グランデホテル一日入浴無料券を渡すサービスを始めたとします」


 僕が語ると同時に正面モニターでは、ハンコを押して貯まっていく様子とそれが半額や入浴券にかわるイラスト画像が流れています。あ、これも勿論「ファイ」制作です。


 「そして五百回で一日宿泊無料券。千回で一週間会員に登録。以後千回毎に一ヶ月会員、年間会員と登録していく事で地域の宿も潤い僕の希望もかなうだろうと考えました」


 僕の考えになんとなくわかったみんなは「ほ〜……」「そうなればいいが」「いんじゃね?」と好意的。そこで「セイロン」ヒースさんが手を上げます。


 「食堂については良いが、肝心の宿泊の方はどうなんだ?そのままにするつもりはないだろう?」


 ヒースさん、良いタイミングですね!


 「そこで[お土産コーナー]です。エア、魔石を消費してお土産コーナーを設置して下さい」

 「畏まりました。【(お土産コーナー)】10,000(魔石)を消費して設置致します」


 エアの言葉の後、正面モニターに映し出された一階フロント。フロント右側に出来たのは、かなり大きめで洗練された作りのお土産コーナー。


 「これは実際にみんなで見に行きませんか?」


 僕の言葉に「よっしゃ!」「やっと動ける!」「ガレム酒が増えたんだろ?」「ああ、あるかもしれん。例の酒が」「また面白いの増えたね」「楽しみです」と移動する面々。


 一方眠ってしまったサーシャさん、ミック君、ライ君、リルちゃんを優しく運ぶティアさん、「セイロン」ハックさん、「テラ」グレッグさん、「テラ」スレインさん。リーヤがメンバーに「助かる」とお礼を言ってますね。みんな優しいですねぇ。


 子供達は休憩所のリクライニングチェアに毛布をかけて眠らせ、みんなでお土産コーナーを見にいきます。


 「こ…… これだ!幻の◯龍!生産が少なく手に入りづらいと言われる逸品!」「見ろ!ガレム!次世代の酒◯今まであるぞ!品評会を総なめにし、華やかで果実の様なジューシーさが味わえるという……」「待て!飛◯喜があるぞ!フレッシュな味わいで無ろ過生原酒の先駆けを作った味が楽しめるのか!」


 ガレムさん、ジェイクさん、親父さん……どんだけ「厳選日本酒名鑑」熟読しているんですか……?僕にはサッパリわかりません。幻の酒と呼ばれるものらしいですけどね。


 いや、わからないと言えばこちらもですねぇ。


 「ケニー!このオールインワンジェルって雑誌についていたものでしょう?」「キャー!ティアさん見て!超有名メーカーの化粧品が一式揃ってる!こんなに種類があったのね!」「あらキャシーその色素敵」「クレアさんのそのマニキュアって限定品じゃ……!?」


 こちらもコンビニで有名女性誌を買って読んでいる方々ですから、僕の知らない単語も飛び交っています。ティアさんも女性誌の愛読者だったんですねぇ。最近肌艶が良いですしね。でも誰得でしょう…… いえ、人の好みを非難するのはいけませんね。放っておきましょう。


 「すっげぇ、このタオルふかふかじゃね?」「このバスローブも着心地良さそうだな、俺欲しいかも」「スレインにはもったいねえよ、どうせ裸で寝るんだからな」「だからこそ肌触りがいいのが欲しいんだって」


 いや、「テラ」のスレインさんの寝る時の状況を知りたいわけじゃなかったんですけど……

 リネン、バスローブ、タオルケット、薄がけ毛布が売られているコーナーで騒いでいるのは「テラ」グレッグさん、スレインさん、「セイロン」ハックさん。気持ちいい睡眠には欠かせないものですからねぇ。わかります。


 「これは味見は出来ないのか……?」「へえ!厳選ウィンナーとベーコンか!これ野営にいいな」「うわ、生ハムってこんなデケエ塊だったのか?」「なんだ?フカヒレって?」


 こちらはグランデホテル厳選食品コーナーにいるレイナさん、ボルクさん、ゼノさんとザックさん。生ハムまさかの塊ですね!一個丸々売るとは凄い!あ、ちゃんと生ハムナイフがセットになってます。

 レイナさんはお菓子の見本を見て涎垂れて来そうな顔してます。いやいや、折角の美人さんなんですから、隠しましょうよ、レイナさん。あ、フカヒレってまだ食べた事ないでしょうからね。そのうちビュッフェを設置したら出てくると思いますよ、ザックさん。


 そして商人の二人、ジーク君ドイル君はスマート端末で調べまくっています。ここにもスマート端末あったんですね。流石目敏いなぁ。


 みんなの様子を見ている僕に「トシヤ君」と声をかけてサムさんとレノさんが近づいて来ます。


 「なぁ、トシヤ君。君の口からしっかりと答えを聞かせてくれないか?」


 「はい。僕は街の協力店舗のみに格安でこれらの商品を卸し、ここに似た雰囲気の部屋を宿屋に作って貰おうとも思っています。グレードアップの部屋を用意して街で実体験してもらう事で、このホテルに対する認知度を上げつつ、宿屋も得をする方法を作り上げたいのです」


 「そうか。でもそれをやるには足りない物が多くないかい?」


 「はい、ですからまずは商業ギルドに介入をお願いしたいのです。人材の紹介役、街とホテルとの連携役、上げればまだまだ切りがありません。ですから穴だらけの僕に、出来たら助言と経営の助けをお願い出来たらと考えています」


 「こちらのメリットは?」とレノさん。


 「地域の活性化によるギルド収入の増加、ギルド社員の福利厚生の一環としての利用、また将来的には[出張扉]による安全な運搬の確保を考えています」


 僕の答えに考え込むレノさん。ついでサムさんが質問してきます。


 「冒険者と商人、貴族の宿泊の兼ね合いはどう考えているんだい?」


 「実は次のバージョンアップのホテルがシティホテルと言って、更に上質な空間を演出するホテルなんです。その部屋を高ランク冒険者や高ランク商人、貴族用に分けようと考えています。正直設置しないと詳細はわからないですが」


 「入館者登録については?」


 「これについては「ファイ」に説明を頼みます」


 「はい。入館者登録に関してはオーナーが皆さんに渡した携帯電話、タブレットPC端末からも行えるように設定できます」


 「携帯?タブレットPC端末?」「?」


 そういえばサムさんレノさんにはまだ見せてなかったですね。すかさず「エア」が[トランクルーム]から携帯を出し、商品説明と一連の動作説明を行います。理解の早い二人は……


 「凄いじゃないか!遠くにいても連絡できるなんて!」「それにこのなかに入っている機能は商業ギルドでは必須になりますよ!」と興奮しています。


 「商業ギルドがご協力頂けるので有れば、数台貸し出す予定でいますよ」

 「本当かい!」「ギルド長!これは凄い事ですよ!」


 冷静だったサムさん、レノさんがやっと感情を出してくれました。ここが正念場!


 「では協力が確定した暁には、モバイルルーター10台、タブレットPC端末10台、携帯10台お付けしましょう。それも無料講習付きで。どうでしょうか?前向きに検討して頂けそうですか?」


 僕の提案に今度はすぐさま答える二人。


 「これは魅力的だね!僕の一存では言えないけど頑張ってみるよ!」

 「ギルド長早速帰って対策を練りましょう!」

 「そうだね!僕らはこれで失礼するよ!結果出るまで時間かかると思うけど待っててね!あ、コレ借りて行くよ」


 サムさんが慌てて正面扉に向かい、その後を追うレノさん。ちゃっかりモバイルルーターも借りて行きましたよ。使い方は……なんかすぐに扱えそうですねぇ、あの二人なら。


 サムさんとレノさんの後ろ姿にやっと肩の荷が一つおりた僕でした。そんな僕の後ろからは賑やかな声が。


 「ああ!これは◯樂!」「待て!鍋◯もあるぞ!」「七◯じゃねぇか!」


 ……酒好きはとどまる事を知りませんねぇ。


∑(゜Д゜)えっ!ランキングにまだいるんですか?うひゃぁぁ!


アクセスありがとうございます!誤字報告も本当に嬉しいです!見つけられないんですよ…… 誤字って。そんな中読んでくださる皆さんに感謝しかありません。そしてこの回の日本酒の銘柄を当てた皆さんは「厳選!日本酒名鑑」の愛読者ですね!素直に凄いです。

今回はいつも以上に苦労しました。色々ボロがありますが、そこは是非見逃して下さいませ(>_<)

凄いな、ビジネスマンと尊敬をする回でした。こんな作者ですが、皆さんに力をもらって明日も頑張ります!是非明日もアクセスしてみて下さいねぇ(*´꒳`*)

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