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現場から報告と帰還です

 みなさん、こんにちは。只今僕は元オーク集落にいます。ここはさながら地獄絵図です。数多くのオークの死体がゴロゴロしています。ダジャレじゃないですよ。


 ええ、皆さんも予想した通り、僕は既に吐いて胃の中に何もありません。…… いや、日本人は誰だってこうなるでしょう!血もスプラッタも慣れて無いんですから!まぁ、特例はあるかもしれませんけど。


 はい、故にふらふらです。でも僕の仕事は収納です。エアがほとんどやってくれますが、エアに手助けは必要ですからね。


 「おーいトシヤ、次こっちだ!」


 ザックさんが僕を呼んでいます。今度は黒焦げゾーンです。お肉の焼けた匂いがします。


 「ザックさん、ここは黒焦げなんですね」

 

 「ああ、気合いの入った「テラ」のグレッグが、特大火魔法をぶっぱなしたからなぁ。すごかったぜ」


 ああ、それで…… (遠い目)。いやぁ、広範囲が黒くてこれ素材とれるんですかねぇ、と僕が思いながらもエアが収納していきます。


 「凄えなぁ、こんなに片付け楽なのって初めてじゃねえか?」


 僕の収納する姿を見て、当の本人グレッグさんが近づいて来ました。


 「トシヤいて良かったぜ。普段は魔石取りと素材取りの作業もあるんだぜ。本当に大変だったんだよなぁ」


 これは「テラ」の斥候スレインさん。二人共結構オークの返り血ついてますが、装備は壊れていません。戦い慣れているんですね。


 「ちょっとぉ!グレッグあんたも手伝いなさいよぉ!」


 ティアさんが僕が収納した後の地面を、水魔法で綺麗に流しています。あ、ティアさんの使える魔法、水と雷だそうですよ。でもあの人近接戦も得意なんですって。どうりで、かなり返り血で汚れてますねぇ…… 。


 そう、現在三チーム総出で元オーク集落の後片付けです。その中でも力のある「セイロン」リーダーゼノさん、ガレムさん、ジェイクさんがオークの死体をまとめています。


 レイナさんケニーさんはスレイプニルの警護に戻っていますが、残りのメンバーは家を壊したり周りを警戒したりと、完全には油断出来ません。あ、ザックさんが今僕の警護をしてくれています。


 グレッグさん「悪い悪い」と言ってティアさんの手伝いにいきましたね。「俺も警戒に戻るわ」とスレインさん。すると、奥から僕を呼ぶボルクさんの声がします。


 「トシヤ!オークキング先にしまってくれるか?」


 ボルクさんの近くには4mはあろうかという、でかいオークの死体が。結構斬り合いしたであろう傷跡がかなり残っています。


 「うわぁ…… これ倒したんですか」


 僕がちょっと引いていると、「これぐらいは軽い軽い」と余裕のボルクさん。確かに余り返り血は浴びてませんね。


 「ボルクは規格外だ」


 そう言いながら現れた「セイロン」の剣士ヒースさん。確かに、ヒースさんはみんなと同じ様に返り血を結構浴びてますね。僕がそう観察しながらも仕事をしていってくれるエアのおかげで、次々とオークが収納されていきます。


 これには二人共苦笑して「一番の規格外はここにいるがな」というボルクさんの言葉に「全くだ」と頷くヒースさん。凄いのはエア達ですって。


 まぁそういうやり取りをしている間に、後片付けは終了。エア曰く、収納したオークの死体は345体。…… 皆さん真面目に凄いですね。


 全員揃ってワイワイとスレイプニルの馬車に戻ると、全員にいきなりクリーンの魔法をかけるケニーさん。


 「全く!自分達で綺麗にしなさいよ!またライちゃんリルちゃん泣いちゃうじゃない!」


 とぷりぷり怒っています。あー…… もしかしてグランに聞いたんでしょうかねぇ。


 実は、僕を呼びに来た時の事なんですけど…… 来てくれたのはザックさんと「セイロン」の斥候ハックさん。いやぁ、戦いの後そのままで正面扉から声かけて来たんですよ。


 みんな心配していたので、走って出迎えに行くじゃないですか。


 で、迎えられた当人達はすっごい笑顔で「全員無事だぞ!」「片付けて来たからもう大丈夫だ!」とサムズアップで決めてくれたんですけど…… まぁ、多少怪我もしていたらしく血を流して、返り血あびてる状態ですよ。


 「「うああああああん!」」「うわぁ!」「きゃあ!」


 ミック君、サーシャさんは怖がりますし、ライ君リルちゃんは大泣きです。いや、僕もドン引きしてしまったんですけど。戦いだから仕方ないとはいえ、子供達には刺激が強すぎましたねぇ。


 すぐ様自分達の姿に気づいて、クリーンをかけたザックさん、ハックさん。しかし、時既に遅し。ライ君リルちゃん泣きながら喫茶店の方へ逃げていっちゃいまして、サーシャさんとミック君も後を追います。


 残された二人のなんとまぁ悲壮な事。「ええと、いきましょうか」という僕の言葉に「ああ…… 」「そうだな…… 」と落ち込んだ二人の返事が返って来ます。うーん、戦いには勝っているんですけどねぇ。


 そのことをケニーさんはグランから聞いたのか、ザックさんとハックさんはスレイプニルの側に、見張りという名の待機だそうです。「嘘だろ!」「おい!そこは俺らに言い訳させに行かせろよ!」と抗議しています。


 でもそこは妙に迫力のあるケニーさんの「何か?」というひと睨みで押さえつけていましたねぇ。やはり男の中に一人いる女性というものは強いものなんだ、と認識をした僕。


 そしてホテルの正面玄関をくぐると出迎えてくれたのは、サーシャさんとミックさんとグランの声。


 「「「お帰りなさい!お疲れ様でした」」」


 これにはみんなほっこり。で、サーシャさんミック君の後ろに隠れているライ君、リルちゃん。


 「こわくない?」「だいじょうぶ?」


 チラッと顔を出してみんなを見てます。怖くてもみんなを迎えたかったんでしょうね。一斉にチェックに入るメンバー達。


 「大丈夫よぉ。ライちゃんリルちゃん、いらっしゃい」


 ティアさんが屈んで二人を呼びます。そろそろと顔を出し、いつものみんなだとわかると駆け出して行く二人。


 「「おかえりなしゃい!!」」


 とティアさんに抱きついた後、みんなに「「おかえりなしゃい」」ハグをしていきます。ライ君リルちゃんを抱っこしたり、高い高いしたりと、みんなも二人を迎えます。その他のメンバーも、サーシャさん、ミック君に「ただいま」「ありがとうな」「後で話聞かせるからな、楽しみにしてろよ」と声をかけたり、頭を撫でたり。


 さっきとは違って子供達みんなが笑顔になっていたので、僕もホッとします。


 で、中に戻った面々の目にするものといえば、増設した休憩所とフリードリンクコーナーです。


 「おいおい広くなってるじゃねえか」という「テラ」の魔法使いグレッグさんと「なんか見慣れんもの並んでるぜ」とボルクさん。さすが目敏いです。「変わった魔導具増えたわねぇ」とマッサージチェアを触るティアさんとレイナさん。


 「ふかふかじゃねえか!」「気持ちいい!」と座り心地を確かめている「テラ」のスレインさんに「セイロン」のケニーさん。


 早速コーヒーを飲もうとしている「セイロン」ヒースさんに、酒好きの勘なのか、説明する前からお酒の前から動かないガレムさんと「セイロン」リーダーゼノさん、「テラ」の盾使いジェイクさん。


 「みんなおつかれさまなの」「リルたちからなの」


 お酒前でたむろしていた面々は、笑顔でフリードリンクコーナーからジュースを配るライ君リルちゃんに苦笑い。「嬉しいんだけどよぉ」「……ああ、言うな」「……(頷き)」と言った感じで、ジュース飲んでました。


 さて、流石にこの設備の説明を求められたので、エアに頼んで詳細を伝えてもらったところ……


 「宿泊したら飲み放題だとぉ!」と叫ぶ「セイロン」リーダーゼノさんを始め、「待て!ここだと拙い!さっさと戻ってゆっくり飲んだ方が良い!」と力説する「テラ」のリーダーボルクさん。


 その言葉を聞いたメンバー全員すぐに出発準備にかかります。さっきまで戦って来た人達とは思えないほど、みんな素早く動きだしました。


 いや、あの……今もう五の刻(14時)ですけど、帰っても街の閉門時間に間に合うんですかね?


 僕の考えを読んだのでしょうか。ガレムさんが僕の肩にポンっと手をおき「大丈夫だ、間に合わせる」と言い切ります。……僕ガレムさんの笑顔初めて見ました。


 ここまで期待されて、このまま皆に宿泊費出させるのは違いますよねぇと思い、みんなに声をかける僕。


 「皆さん!街に戻ったら今日の宿泊費は僕が持ちます!夜はホテルを上げて祝勝会をしましょう!」


 「「「「「「「「うおおおおお!!!」」」」」」」「やった!!」「流石トシヤちゃん!」「急ぐぞ」「ああ」


 僕の言葉に歓喜の声を上げる皆さん。全員一丸となって帰還準備に入ります。


 この時この場にいなかったザックさんに「セイロン」のハックさん。その場にいなかった事を悔しがっていましたが、ライ君リルちゃんが二人に「おつかれしゃま」「おかえりなしゃい」と近づいてくれた事で機嫌を直していました。


 ウチの癒し要員はいい仕事をしてくれます。


 さぁ、急いで帰りましょうか。

♪───O(≧∇≦)O────♪

アクセスありがとうございます!なんとか更新出来ました(*´꒳`*)そしてありがとうございます!!!またまた評価やブックマーク、いいねが増えていました!くぅ〜、感動(//∇//)

今日も頑張ります!多分午後になると思いますがもう一本更新します。是非また皆さんにお会いできたら嬉しいです♪

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