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移動中ですよ 其の壱

累計アクセスがいつのまにか10,000超えてました!うわあ!凄い!ありがとうございます♪

 「皆さん!説明致しますので、こちらに注目して下さい!」


 入館後ざわざわと辺りを見回したり、馬車の方へ戻ろうとしたりする「テラ」と「セイロン」メンバー達。まあ、当然の反応だと思いますが、まずは説明をさせてもらおうとみんなに声をかける僕。


 「とりあえずいきなり連れて来てしまい失礼しました。ここは僕のギフトの「亜空間グランデホテル」の中、正面玄関に当たります。正直、長時間馬車の中にこの人数が入るとギチギチになると考えここにお連れしました。

 そしてこの空間の中は僕が許可した人しか入れません。ですから安全な空間となります。因みにこの空間は宿屋の機能しかありません。皆さんに害を与える事はありませんので、ご安心下さい。ここまではご理解頂けたでしょうか?」


 まだざわざわとしながら顔を見合わせる「テラ」と「セイロン」メンバーの中で、まず言葉を発したのは「テラ」のリーダー、ボルクさん。


 「危険がないのはわかったが、移動している馬車からこの空間が離れる可能性はないのか?」

 「その点につきましては、馬車内の空間にこのギフトを召喚しましたので馬車が移動していても離れる事はありません」


 僕が答えた後、次に声をあげたのは「セイロン」のリーダー、ゼノさん。


 「この空間にいても外の様子はわかるのか?」

 「この空間には僕の優秀な仲間がいます。その仲間が馬車の様子を逐一見張っています。何かあってもすぐにお知らせはできます」


 僕からの答えを聞いて、「テラ」のリーダーボルクさんがみんなに向けて話しかけます。


 「クライムメンバーの反応を見る限り、ここはおそらく害のない空間だろう。だが、全員がこの場所に入ると外に危険が差し迫った時にすぐ動けない。それに俺は不確定なところにみんなの命を預けるのはごめんだ。だから提案する。

 まずは各パーティから一人代表者を出して、この空間を検証するのはどうだろう?残りのメンバーはとりあえず馬車に戻って貰うがな。ウチからは当然俺が検証班に入る」


 なるほど、流石はAランクですね。まずは検証ですか。その確実に叩いて渡る精神は素晴らしい!と僕がうんうん頷いていると、「セイロン」のリーダー、ゼノさんからも声が上がります。


 「なら、ウチからは俺だな。ティアさんは信頼しているが、お前はわからん。メンバーの命を預けていいか俺が見極める」


 なんとも格好良いじゃないですか。リーダーってこういう人達がなっているんですね。


 「なら、馬車には私が戻ろう。戻ったメンバーだって聞きたい事はいっぱいあるだろうからな」


 おお!ウチのリーダー、レイナさんも格好良いじゃないですか!


 「なら俺も戻ろうか。レイナだけだと答え切れない場合もありそうだしな。ガレムはトシヤの側にいろよ。俺らの専属護衛の対象なんだからよ」


 ザックさんがまた情報を明かすものですから、よりざわざわする皆さん。リーダー二人も僕をみています。あ、説明しますからと言う意味を込めて頷いて見せます。


 「良し、まずはみんな一度戻って貰えるか?きっちり判断してくるからよ」


 「テラ」のリーダー、ボルクさんの言葉に「頼むぞ、リーダー」「宜しく」と言って戻って行く面々。信頼あるんですねぇ。じゃ、こちらも信頼してもらいましょうか。サーシャさん、ライ君、リルちゃんも待機してますし。


 「では改めてボルクさん、ゼノさんようこそ「亜空間グランデホテル」へ。まずは紹介します。ウチのフロント見習いスタッフのサーシャさん、更にお手伝いのライ君とリルちゃんです」


 僕に名前を呼ばれて頭を下げるサーシャさん。それを見て真似るライ君にリルちゃん。可愛すぎます。


 「そして僕の優秀なスタッフ、フロントのグランです」

 「ようこそ!亜空間グランデホテルへ!総合受付責任者のグランと申します。当ホテルは現在大浴場、喫茶店、休憩室をご用意しております。快適にお過ごし頂く為、何かお気づきの点がありましたらいつでもお申し付けくださいませ」


 ホテルから聞こえる声に、キョロキョロする二人。もはや初入館者の恒例ですね。そして「エア」を見せながら紹介します。


 「そして僕の相棒とも言うべき「エア」です」

 「お初にお目にかかります。トシヤオーナーの補佐をしておりますエアと申します。是非お気軽にご不明な点はお問い合わせくださいませ」


 エアの挨拶にも驚く二人。


 「ここは建物が話したり、板が会話したりするのか?」


 「正確にはフロントとこのタブレットが会話しています。あと、喫茶店にももう一人キイと言う会話をする存在がいます。まぁ、そういうものだと思って下さい」


 ボルクさんが驚くのも無理はありませんね。でも慣れてきたらとても助けになる存在ですからね。早く馴染んでもらう様努力しましょう。


 「おいおい、建物が喋るのかよ。それって監視もされてるって事だろうが」


 なかなか鋭い所ついて来ますね、ゼノさん。そこはグランがすかさずフォローに入ります。


 「ご安心下さいませ。休憩室、脱衣所、大浴場、またこれから用意する客室に関して、個人の尊厳を尊重致しますのでご安心下さいませ」


 うん、これはこう言うしかないですからね。危ない時にすぐ気付ける様にしておくのもホテル管理の一環ですから。


 「そうか、と言うしかないな、今は。済まないが先を案内して貰えるか?」


 少し疑っているゼノさんの肩をポンと叩いて、提案をするボルクさん。その言葉を聞いて、待ってましたと言わんばかりに動き出すサーシャさん。


 「ではまずは当館の説明を致しますので、喫茶店へとご案内致します。どうぞ、こちらへ」


 そう言って先に歩き出すサーシャさんの後に、「どーじょ」「どーじょ」とライ君リルちゃんも手で促します。これには参ったのか、顔を見合わせて笑うボルクさんにゼノさん。ウチの癒し要員がとても良い働きをしてくれていますね。


 カランカラン、という鈴の音が響く喫茶店にキョロキョロしながら入る二人に「「いらっしゃいませ!」」と挨拶で迎えるミック君とキイ。


 今回は二人の為カウンター席に案内するサーシャさん。ライ君、リルちゃんは大人しくテーブル席についています。おお!成長している!


 そして恒例の初入館キャンペーンの内容をミック君が伝えます。メニューの見やすさに驚き、注文した飲み物が一瞬で出てくる様にも驚く二人。ただし、かなり感情を抑えていますね。完璧には気を許していない証拠です。


 そしてサーシャさんも入館キャンペーンの内容を二人に伝えます。うん、更に流暢になって来ました。素晴らしい!


 サーシャさんの話を最後まで聞いてから、二人は顔を見合わせて、テーブル席に座っている僕の方へ振り返ります。代表してボルクさんが話し始めます。


 「それじゃ、今度はなぜ俺らをここに連れて来たのか教えて欲しい」

 

 確かに気になる点でしょう。真面目な顔で聞いて来たボルクさんにゼノさん。大丈夫、しっかり答えますよ。


 「実は、このギフトは成長する宿で、その為には魔石がかなり必要となってきます。僕はこの通り戦闘能力はありません。その為協力者の必要性を感じ、クライムの皆さんに相談した結果、お二方のパーティーの名前が浮かびました。

 正直に申しますと、専属契約に近い事をお願いしようと考えております。勿論魔石に関しては買取させて頂きますし、この話に乗って下さるなら年間入浴無料パスポートを進呈させて頂きます。ここまで質問はありますか?」


 僕の言葉に考え込む二人。

 

 「はっきり言わせて貰うと、答えはわからないだ。確かにすごいギフトだとは思う。だが、パーティ全体に関わってくる事だ。全員の意見が欲しい案件だな」


 ボルクさんがそういうと、「俺の方も同じ意見だ。ただ凄えギフトだ、と言う事には同意出来るがな。」とゼノさん。うん、そうでしょうね。それならば……


 「正直なところいきなりの展開ですし、無理を言っているのもわかります。ですからこの依頼の間、お試し期間として、利用してみませんか?料金はこちら持ちにさせて頂きます」


 またもや顔を見合わせるボルクさんにゼノさん。


 「話はわかった。一度施設全体を見せてくれるか?全体を検証してからみんなと相談したい」


 ボルクさんの言葉に頷くゼノさん。やっぱり良いですねぇ、この二人。パーティ想いですし、慎重さがあります。これは是非引き込みたい逸材です。


 サーシャさんには悪いですが、この二人は僕とエアで案内させて貰いましょう。

 

 サーシャさんを呼んで、今回は僕に説明させてくれる様頼むと、残念そうな顔をしながらも「じゃあ、後ろから見てていい?」と言ってくれました。勿論ですとも!と了承をし、ボルクさんゼノさんにも全体をまず案内する事を提案します。


 そして喫茶店で頼んだ紅茶を二人が飲み干してから、案内を開始します。


 まずは大浴場です。男性用脱衣所を見て「うお!」「おお!!」と驚きの声と、大浴場を見せた時には「「うおお!!凄え!」」という野太い声頂きましたよ。好感触ですね。


 洗い場の使い方、サウナの使い方、お風呂の使い方を説明する頃には二人に笑顔があったのは嬉しいですねぇ。


 そして休憩所の椅子の座り心地を確かめて貰い、自販機の使い方を説明します。やはりと言いましょうか、ビールの自販機に目が行く二人。これは今日の夜に一本はサービスしましょうか。


 ポテチとジュースにアイスを人数分買って、待っている人たちへのお土産にしましょうと言うと、二人とも感謝を伝えてくれます。そして最後に宿泊施設をお見せしましょう。


 「エア、僕の魔力量いくら残っていますか?」

 「現在MP 47,654となっております」

 「では客室二部屋、用意出来ますか?サイズを大きめに出来ますかね?」

 「客室はこの世界の人の体型に合わせ大きめに作られておりますので、ご安心くださいませ。では客室用カプセルルームタイプA [マットレス、敷き布団、薄がけ毛布、枕、リネン付き 備えつけクローク付き 六人用]MP20,000を二部屋用意させて頂きます」


 エアが言い終わると休憩所の壁側に広めの通路が出来、右側通路の壁に扉ができています。


 これには流石の二人も「なんだ?いきなり空間がひろがったぞ!」「何が起こったんだ?」と態度に出して驚いています。


 さて、僕も初めて入りますが、どうでしょうね。


 「ボルクさん、ゼノさん。ここが今日宿泊予定の皆さんの部屋となっています。どうぞ入って確かめて見てください」


 ガチャッと客室扉を開けて二人を中に迎え入れます。


 「なんだこの不思議な空間は?」「上と下に一人入れる空間があるな…… 」とじっくり見ていく二人。


 僕の最初のオーナールームよりかなり大きくなってます。横長の入り口で、上下三つずつのカプセルベッドが左右に一つずつ配置されています。奥には備えつけの大きめクローク付き。向かい合わせのベッドの間にある通路もかなり広めにとってますね。


 「中に入って寝心地や雰囲気を確かめて見てください。皆さんの体格でも大丈夫でしょうか?」


 僕の提案にすぐに下のベッドスペースに入って確かめる二人。


 「うおっ!やわらけえ!なんだこのベッド。気持ち良すぎないか?」


 ゼノさんうつ伏せになって手触りまで確かめてます。尻尾がぶんぶん振られていますからよっぽど良いのでしょう。


 「しかも体格の良いお前の足が出てないぞ、ゼノ。少々狭いが苦しい程でもないし、むしろなんか心地よい感じがする」


 ボルクさんはベッドに腰掛けながら確認をしています。そこにエアが補足情報を付け足します。


 「就寝の際には入り口上部に設置されているロールスクリーンを下ろして下さいませ。その状態ですと、消音、防臭効果が発揮され、空調も適温になり、快適な状態での睡眠をご提供しております」


 エアの案内にロールスクリーンを下ろす二人。そして勢いよく開けて向かいにいるゼノさんに声をかけるボルクさん。


 「ゼノ!俺が叫んだの聞こえたか?」


 今、ロールスクリーンをあげたゼノさんは「ん?なんか言ったのか?」と聞き返しています。それを聞いたボルクさんは本気でガッツポーズを取っています。どうしました?


 「……これであいつらのいびき地獄から解放される……!」


 ああ、これはかなり苦労をしていたんですねぇ。「テラ」にはこれも交渉材料になりますかね。


 ゼノさんはご機嫌でベッドにゴロゴロ転がっています。「セイロン」も宿泊施設での交渉が鍵でしょうかねぇ。


 かなり警戒心の取れた二人に声をかけ、これで大体の施設をお見せした事を伝えます。ガバッと起き上がり、「よし!アイツらにも体験させよう!」と勢いよく宣言するゼノさん。「そうだな。よし、交代制で中を体験させて皆の意見をまとめるか」とボルクさんも同意しています。


 良し!先ずはリーダーは好感触です!

 ほかの皆さんにも気合いを入れてサービスしましょうか。


\(//∇//)\\(//∇//)\\(//∇//)\

アクセスありがとうございます!なんと言う事でしょう!気がつくと評価が13人、ブックマークが41人に!皆さんが私を泣かせに来る(T-T)嬉しいよぉ。

本当にありがとうございます!!!今日二本目あげれたら頑張りたい!ちょっと厳しいけど、でも最低でも明日3/27 0:00には必ずあげます!嬉しい力貰いましたし。宜しければまたアクセスして見て下さいね。

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