自業自得ですねぇー苦労人の副ギルド長登場ですー
「っっっかぁ〜!美味え!」
「このポテチってやつがまた合うんだ、これが!」
「チョコレートもいける」
ええと、やっぱりこうなるんですよね…… 現在休憩所で酒盛り中の三人です。誰かというと大体想像つきますよねぇ。
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話がまとまった後、ギルド長をお風呂に入らせようとしたんですけどね。喫茶店を出たら聞こえてきたんですよ。
「おい、ガレム!こっち飲んでみろ!」
「うますぎる。なんだこれは?」
「だろう?おいそっちはどんな感じなんだ」
「これはスッキリした飲み口の辛口だな」
「くぁあ〜、それも試さねえと!」
この休憩所が酒盛り場になっていたんですよ。いや、二人もお金持って来ていたんですね。ええ、お気づきの通り、最初っから休憩所を目指していたガレムさんとザックさんです。
まぁ、酒好きが黙っているわけ無いと思っていたんですが、思ったより豪快に飲んでいます。空き缶が既に6缶くらい転がっています。なんせ地球の有名どころメーカーが開発したビールですし、冷えてますからねえ。止まらないんでしょう。
当然、酒好きギルド長はその匂いを嗅ぎつけますよね。そして始まるビール祭り。なんせ銅貨2、3枚で一本買えるんです。「安いじゃねえか!」とギルド長もポケットに入っていた硬貨を使いまくっています。
ガレムさんとザックさんに、自販機の使い方とプルタブの開け方教えなければ大丈夫でしょうと、思っていた僕が甘かったです。酒飲みの執念ですね。
床に座り込んで酒盛り始める3人をみて、酒飲み用の休憩所が必要ですねぇ、と考える僕。レイナさんティアさんはいつもの事なのか構わずお風呂に入りにいきましたね。(ギルド長に繋いでくれたので、僕が料金出してますよ)
サーシャさん、グランのところに行ってましょうねぇ。見ちゃいけません。とグランのところに連れて行く僕。「サーシャ、よく見てるから大丈夫だよ」というサーシャさんですが、僕の精神安定上いて欲しく無いのでグランに任せます。
僕はというと、この状況打開の為副ギルド長をまずは呼んで来ようと、正面扉からギルド長室に戻ります。すると、ギルド長室の机の上が書類だらけになっており、奥でカリカリカリカリ作業の音が聞こえて来るじゃないですか。
書類で人が見えなくなるなんて本当にあるんですね、と感心している僕に「誰かいるんですか?」と奥から声がかかります。
「突然に失礼します。あの、もしかしてギルド長を探していらっしゃいませんか?」
「あの馬鹿の居場所がわかるんですか?!」
ガタタッと椅子を引いて書類の山から顔を出したのは、目の下にはっきりとした隈を作った人間の男性。背も高く顔も整っているだろうに、やつれているのと濃い隈で台無しになっています。
「教えて下さい!あの馬鹿連れ戻して、書類作成させないと僕はまた家に帰れないんです…… 」
力なく崩れて行くこの男性、多分副ギルド長ですよねぇ。いきなり現れた男に頼み込んでくるくらい切羽詰まっているんでしょう。原因を作った僕は、大変申し訳ありません!という思いが込み上げて来ます。
「あれ?ところであなた誰ですか?」
今になって気づいた男性に、改めて自己紹介とこれまでの経緯を説明します。すると……
「ふむ、その話が本当ならば確かめに行くのはわかります。が!あの馬鹿にはもっと仕事を与えねばなりませんね。わかりました、そこへ連れて行って下さい」
急に人が変わったように、キビキビと動き出します。あ、この部屋から行けますから!ギルド長室を出ようとする男性を止めて、また更に説明をします。
「失礼しました。私はヤンと申します。31です。副ギルド長なんてものを押し付けられております」
ヤンさんはいきなり現れた僕の話を頭から馬鹿にしたりせずに、終始真面目に取り合ってくれます。いったいなぜ、と思ったら鑑定スキル持ちだそうです。僕のステータス見たんですね、納得。
理解が早く入館登録もすぐ様終えて、いきなり見えたであろう正面扉にも臆せずに入っていきます。出迎えたグランとサーシャさんの対応にも真摯に受け答えてくれるあたりプロです、この人。
そしてサーシャさんに連れられて喫茶店に着く前に、休憩所で酒盛りしているギルド長が目に入ったんでしょう。「ちょっと失礼します」とサーシャさんに一言入れて早足でギルド長の側に向かっていきます。
なぜかギルド長逃げて下さい、と思えるくらい怒りのオーラを背負っているのが見えたような気がします。
「さて、ギルド長。ここで何をしていらっしゃるのですか?」
「げぇ!ヤンもう来たのか?!」
何やら雲行きが怪しくなって来た事を察した冒険者二人組は、ササっと自分の飲み物を持って移動しています。その辺は流石ですよね。
「ええ、ええ。誰かさんが居ない事をわざわざ教えに来てくれた方がいらっしゃいましたからねぇ。それで、自分の仕事を放り出して酒盛りとはいいご身分ですね」
「いや、ヤンこれはだな、検証というか確認というかだな…… 」
「ほう…… 、ここまできて言い訳しますか。ならばクレアさんに報告しなければいけませんね」
「うわっ!お前そりゃ卑怯だぞ!」
「ほう、卑怯結構。酒盛りして仕事から逃げている卑怯者には敵いませんがね」
「はい、わかりました。戻りますよ、戻ればいいんだろ」
渋々腰を上げ「あ、お土産にもう一本だけ」と自販機に近づく諦めの悪いギルド長をひと睨みで撃退しています。「ほらさっさと戻る!」と言ってギルド長をホテルから追い出していきます。
「くそお!必ず時間取ってまた来るからなぁ!」とどこぞのチンピラの様な捨て台詞を吐いて退場して行ったギルド長。
呆気に取られている僕らにヒョコッと顔を出して、「詳しくは後ほどまた話しましょう。都合付き次第すぐに連絡させます。木陰の宿でよろしいですね」とヤンさん。頷き返すと、「では後ほど必ず」と言って去っていきました。
ええと、とりあえず冒険者ギルド長には話が繋がりましたね。怒涛の展開でしたけど。次は商業ギルドですね。よし、一歩ずつ足場固めていきますよぉ!と、その前に…… まだ飲もうとしている二人を止めますか。
「はーい、お二人とも今日は終了です!」
僕が禁止を言い渡すと、ガレムさんやザックさんが自販機を何度も押しても動かなくなり、お金だけ戻ってくる様になりました。おお、グラン、ナイスフォロー。
「トシヤ〜、あと一本だけでも」と粘るザックさん。「今後買えなくなりますよ?」と脅すと「よーし、ガレムこの辺片付けるか」という切り替わり様。ある意味凄い。
ガレムさんは割り切りが早く、缶をどうしたら良いか聞いてきます。とりあえずエアにトランクルームに入れて貰い片付けていると、丁度良く上がって来たレイナさん、ティアさん。
「トシヤいると、この二人飲み過ぎないから良いな」
「そうねぇ、しかもうわばみだもの。手がつけられなかったのよねぇ、ありがたいわぁ」
確かに、あれだけ飲んでいてもケロッとしている二人。しかもそのまま「お風呂へ行くぞ〜」「(頷き)」と仲良く行ってしまいました。本来お酒飲んだら止めるべきなんですけどね。まぁいいでしょう。
「そうだ、トシヤ。ポーターに本当に登録しないか?」
自販機でジュースを買いながらレイナさんが僕に提案して来ます。そういえば、そんな話ありましたね。
「そうすると、護りやすいのは確かなのよぉ。で、トシヤちゃんは一切戦闘に関わらないで、ホテルの中に居てくれるだけでいいから。最後に魔物収納してくれるだけでいいわ」
ティアさんは休憩所備え付けのコーヒーをカップに入れながら、補足してきます。それならできそうですけど、いいのでしょうか?
「ちょっと〜、いいの?って顔してるけど、これ私達の我儘よ。トシヤちゃんいれば楽に休めるんだから私達の方が得してるの!」
「だな。だから明日の招集にもついて来てほしいしな」
さりげなく明日の討伐にも参加を持ちかけられています。でも、そうなると気になるのは「テラ」と「セイロン」パーティなんですよねぇ。どうなんでしょう?
「因みに「テラ」は信頼してもいいパーティだと推そう。引き込んでもあいつらなら大丈夫だ」とレイナさん。
「あ、「セイロン」も大丈夫よぉ。あそこのリーダー私の舎弟だから」
いや、逆に心配になって来ましたけど…… 。でもそうですね、魔石集めるのに信頼できる協力者は多いほうがいいですからねぇ。
「わかりました。やってみましょう」
僕の返事に「良し!」「良かったわぁ」と安堵の表情をする二人。
あ、でも約束あったんでした。ジーク君とドイル君の約束の日までに帰ってこれますかね?
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本当にありがとうございます♪明日も頑張って更新します!ただ…… 予定があるので午後なんですけど。力貰ったのでやる気はありますから!そして宜しければ明日もお会い出来たら嬉しいなぁ。